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戦いの後
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それからの魔法少女と魔王軍の行動は迅速だった。
魔法と能力で廃工場を元の状態に戻し、それぞれの母艦に帰還した。
業務的な行動に驚く。
もっと誉めあったりしてもいいのではと思ったが、それがこちらの文化なのだろう。
「未来、我らはこの星を去ることにする。またいつやつらが現れるかわからないからな。何度倒しても新しい女王が生まれて同じことの繰り返しだ。これ以上地球に迷惑はかけられない」
あっさりとしたお別れに寂しさは感じるけれど、私にはどうしようもない。
「そうですか」
そんな言葉しか出なかった。
そのかわり、ボンバーくん、マッドちゃん、クロくんとは泣きながらお別れをした。
最初こそ大泣きする私たちを落ち着かせる役だったクロくんも空気にのまれてもらい泣きをし、最終的には抱き合って泣いた。
それでも最後は笑ってちゃんとお別れができた。
「それでは、さようなら」
「うん、さようなら」
家の近くの公園に移動してもらい、送り役のクロくんに最後のあいさつ。
お互いに手を振って、消えるクロくんを見送った。
「未来」
と、後ろから話しかけられる。
振り向くとフローラが立っていた。
「ここで待っていれば会えると思いまして」
ここはフローラと初めて会った日に彼女から逃げ出した公園だ。
「ごめんなさい」
突然フローラが頭を下げる。
「どうしたの!?」
「わたくしのわがままで未来を戦いに巻き込みました。新人戦だけならともかく、やつらとの戦いにまで駆り出されて。全部わたくしのせいです。ごめんなさい」
「いいよ、今さらそんなこと。なんやかんやで私は楽しかったし友達もできた。確かにフローラに利用されてるって腹を立てたこともあったけど、もうなんとも思ってない。私はフローラにお礼を言いたいよ。一緒に戦ってくれて、守ってくれてありがとう」
「お礼を言うのはわたくしの方です。コンプレックスだったわたくしの固有魔法が誰かの役に立つとわかったのは未来との戦いのおかげです」
私たちは笑いあい、握手をした。
「魔法女王になってね」
「ええ、必ずなってみせます。その時はまた地球にお邪魔しますね」
「今度はこっそり来てね」
「……それでは」
「うん、じゃあね」
握手がはらりとほどけると、もうそこにはフローラはいなかった。
まるで夢を見ているような、そんな感覚だった。
魔法少女と魔王軍がいなくなったことは大ニュースになり世間を賑わせた。
しかし、それも数日のことで、今では話題になることすらない。
きっとこのまま忘れ去られてしまうのだろう。
でも、きっとそれでいい。
元々彼らはこの星には必要のない存在だったのだ。
私は相変わらず学校と家の往復の毎日。
時々遊びに行ったりと中学生活を満喫している。
あの魔王軍として戦ったおかげで少し自分に自信を持てるようになった気がするし、ちょっとは成長したのかもしれない。
「いってらっしゃい」
「いってきます」
お母さんの声に返事をして家を出る。
今日もきっと平和な1日になるだろう。
私の部屋のクローゼットには、あの日そのまま持ち帰ってしまった戦闘服と武器が大切に仕舞われている。
魔法と能力で廃工場を元の状態に戻し、それぞれの母艦に帰還した。
業務的な行動に驚く。
もっと誉めあったりしてもいいのではと思ったが、それがこちらの文化なのだろう。
「未来、我らはこの星を去ることにする。またいつやつらが現れるかわからないからな。何度倒しても新しい女王が生まれて同じことの繰り返しだ。これ以上地球に迷惑はかけられない」
あっさりとしたお別れに寂しさは感じるけれど、私にはどうしようもない。
「そうですか」
そんな言葉しか出なかった。
そのかわり、ボンバーくん、マッドちゃん、クロくんとは泣きながらお別れをした。
最初こそ大泣きする私たちを落ち着かせる役だったクロくんも空気にのまれてもらい泣きをし、最終的には抱き合って泣いた。
それでも最後は笑ってちゃんとお別れができた。
「それでは、さようなら」
「うん、さようなら」
家の近くの公園に移動してもらい、送り役のクロくんに最後のあいさつ。
お互いに手を振って、消えるクロくんを見送った。
「未来」
と、後ろから話しかけられる。
振り向くとフローラが立っていた。
「ここで待っていれば会えると思いまして」
ここはフローラと初めて会った日に彼女から逃げ出した公園だ。
「ごめんなさい」
突然フローラが頭を下げる。
「どうしたの!?」
「わたくしのわがままで未来を戦いに巻き込みました。新人戦だけならともかく、やつらとの戦いにまで駆り出されて。全部わたくしのせいです。ごめんなさい」
「いいよ、今さらそんなこと。なんやかんやで私は楽しかったし友達もできた。確かにフローラに利用されてるって腹を立てたこともあったけど、もうなんとも思ってない。私はフローラにお礼を言いたいよ。一緒に戦ってくれて、守ってくれてありがとう」
「お礼を言うのはわたくしの方です。コンプレックスだったわたくしの固有魔法が誰かの役に立つとわかったのは未来との戦いのおかげです」
私たちは笑いあい、握手をした。
「魔法女王になってね」
「ええ、必ずなってみせます。その時はまた地球にお邪魔しますね」
「今度はこっそり来てね」
「……それでは」
「うん、じゃあね」
握手がはらりとほどけると、もうそこにはフローラはいなかった。
まるで夢を見ているような、そんな感覚だった。
魔法少女と魔王軍がいなくなったことは大ニュースになり世間を賑わせた。
しかし、それも数日のことで、今では話題になることすらない。
きっとこのまま忘れ去られてしまうのだろう。
でも、きっとそれでいい。
元々彼らはこの星には必要のない存在だったのだ。
私は相変わらず学校と家の往復の毎日。
時々遊びに行ったりと中学生活を満喫している。
あの魔王軍として戦ったおかげで少し自分に自信を持てるようになった気がするし、ちょっとは成長したのかもしれない。
「いってらっしゃい」
「いってきます」
お母さんの声に返事をして家を出る。
今日もきっと平和な1日になるだろう。
私の部屋のクローゼットには、あの日そのまま持ち帰ってしまった戦闘服と武器が大切に仕舞われている。
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