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8・月明かり

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 いつの間にか、すっかり夜が更けていた。窓から差し込む月明りが、寝室を青白く照らしている。

「あっ……、んんっ」

 抑えきれずに漏れてしまう甘い声が恥ずかしく、パメラは必死に口元を押さえていた。少女のようなその反応が気に入って、ロドリゴはパメラを啼かせることを楽しんでいる。ボスにかかってはパメラは蜘蛛に捕らわれた蝶も同じだ。もがけばもがくほど、糸に絡め取られてゆく。

「ん? ここがいいのか」
「んっ、ふぁ……っ! や、そこはだめぇ……!」
「声を我慢するなと言ってるだろう? ここには誰もいない。―――何なら窓を開けてやろうか」
「やっ、それは……っ、ああっ!」

 ロドリゴの指が、痛いほどに尖ったパメラの胸の頂を摘まんだ。顔を埋めた脚の間からは、ぴちゃぴちゃと水音がひっきりなしに続いている。身体中が蕩けて、今にも崩れてしまいそうだ。

「あっ、ああ……っ! お願いです、もう……、んっ」
「なにが『お願い』なんだ?」
「あ―――っ!?」

 ぷっくりと赤く充血した蕾を舐め上げられ、パメラは白い喉を反らせる。同時につぷりと指が入り、パメラの膣内なかを探り始めた。

「あっ、はぁぁっ……! だめ、もう……!」
「……きついな。―――もうイきそうなんだろう」
「やっ……!」

 図星なのだろう、パメラはふるりと身体を震わせる。ボスの低い声で何か言われるたび、パメラのなかが熱くなってゆくようだった。


 ―――まったく、まさかこんな反応を見られるとは……。

 コルデラーラでは「鋼鉄の女幹部」と呼ばれ、美女でありながらまるで女を感じさせない。それでいてひとたび「愛人」としてふるまうと、零れるほどの色香を振りまき、妖艶な「愛人」を見事に務め上げる。そのパメラがベッドではまるで少女のように恥じらうだなんて、誰が想像するだろう。

 ―――初心うぶなパメラも実にいい。だがいずれ、淫らに溶け崩れて懇願するパメラも見てみたい。

 ロドリゴは口元をほころばせ、指の角度を変える。

「ひっ!?」

 途端にパメラがぴくんと震え、狼狽えたような声を出した。ロドリゴはそれにかまわず、執拗にそこをせめてゆく。

「ああっ、やあっ! そこ……、そこはだめ、ひ……ああっ!」

 声を抑えることなど忘れ、シーツを掴んで必死に快感から逃れようとするパメラに、ロドリゴは笑い含みに囁いた。

「だめじゃない。乱れることを怖がるな、パメラ」
「ああっ、……や、もう」

 ―――もうそろそろ、頃合いか……?

 パメラの身体ががくがくと震え出した。泣きそうな声を出しながら、ロドリゴに向かって手を差し伸べる。

「や、も……イく……っ、ああボス……ボスっ!」

 ロドリゴの金髪に指を絡め、パメラは全身を震わせる。
 身体を起こしたロドリゴはそっと頬を撫で、乱れて貼りついた黒髪を払った。瞼にひとつ口づけを落とし、未だ震える両脚を抱える。

「―――パメラ」

 無意識にその名を呼びながら、ロドリゴはパメラにのしかかった。


「あ、ああ―――っ!!」

 絶頂が完全にひかないうちに挿入され、パメラは高く喘いで背をしならせた。

「や、待って……! まだ、あぁ!」
「だめだ、待たない。……こんなにきつく締め付けて、君は、本当に」
「あんっ、はぁっ!」

 ロドリゴはパメラの両手を絡め取り、シーツに縫い付けた。そのまま肘を落として口づける。まるで恋人のような仕草に、パメラの胸が高鳴った。だめ、ボスなのに、こんなふうに優しくされたら……、勘違いしてしまいたくなる。

「綺麗だ、パメラ」

 抽送に合わせて次第に荒くなる息の下で、ロドリゴが囁く。耳に流れ込むその声に、パメラのなかがきゅんと疼いた。

「あっ……、は……ぁっ、ボス……」
「ロドリゴ」

 薄く笑って訂正するロドリゴのこめかみから、汗が伝う。

「さっきも『ボス』って言ったな。本当に頑固なやつだ」

 パメラは答えられない。ロドリゴの動きに合わせて喘ぐだけだ。身体中に浮かぶ赤い痕を眺め、ロドリゴは目を細めた。

「もう、印をつける場所も残っていないか? なら……」
「んっ!」

 手を解き、唇に喰らいついてきつく吸った。パメラの手が宙を泳ぎ、首に巻き付く。ロドリゴの抽送が激しさを増した。

「んっ、ふ……! あああっ、また……、ぁ!」
「イくがいい、何度でも……!」

 腕の中の身体がまた強張るのに合わせ、ロドリゴも己を解き放った。





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