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4・弟王子が牙をむきました 後
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「―――ひっ!」
突然そこに歯をたてられ、私は痛みに身を捩った。
「ああ、強かった? ごめんね、姉さま。―――じゃあ、これくらいかな?」
「ひぁ……っ」
「ああ、いいみたいだね?」
さっきとは反対側を今度は甘噛みされて、私は悶え、背をのけ反らせる。クリスは両手でやわやわと揉み、指先で転がし、舌を這わせ、ときにはきつく吸い、歯をたてる。私はその度に身体を震わせ、声を上げさせられる。何度も身を捩っていたせいで、複雑に結い上げた髪は無残に崩れてしまっていた。
「や、だめ……、クリス、もうやめて」
「何言ってるの、姉さま。ここ、こんなに固くなってるのに」
「嫌……! そんな、知らない」
乱れた息の下でもう何度目か訴えても、クリスは笑うだけでやめてはくれない。
「ああ……もういやぁ……!」
弟としか思えないクリスにこんなことをされて、どうして私は感じてしまっているの?
恥ずかしさと悔しさに流した涙は、クリスの唇で吸い取られる。私はますます追い詰められていった。
「もう、認めなよ。こんなに感じてるんだから」
クリスがそう言って、何度目かの深い口づけをした。私はもう抗うことも出来ず、流れ込むクリスの唾液を受け止めるしかない。
「社交界の薔薇、清楚でしとやかなマリィ姉さまの乱れる姿……。こんなにいやらしくて美しいなんて、誰も知らないんだ」
「や……いや、ちがうの」
私は弱弱しく首を振る。そんな言い方は、やめて。
「違わないよ、姉さま。姉さまは淫らで感じやすくて……そうだ、きっとここも」
そう言ったクリスの手が何をしようとしているか分かった瞬間、私は最後の抵抗を試みた。結局身体で抑え込まれ、まったく効果は無かったけれど。
「いや、クリスお願い! そこはだめぇ!」
「もう姉さまったら、恥ずかしがることないのに。可愛いなあ」
ドレスの裾から入り込んだ手が、私の脚を撫であげる。そしてそのまま下着の中へ入ってきてしまった。
「ああっ……、いやあ」
「ほら、こんなに熱いよ。―――それに」
くちゅ、と濡れた音がして、クリスの指が脚の間でぬるりと動いた。
「や……!」
「ほら、分かっただろう? 姉さまは僕にこんなことされて、感じてるんだ」
「ああ、言わないで!」
もう無理、耐えられない。私は両手で顔を覆った。
まだダンスは終わっていないようで、広間のほうから風に乗って、楽隊の奏でる曲が聞こえてくる。
もっとも私はそんなことを考える余裕もない。
「あ……っ、や、もうだめぇ!」
「そんなこと言って姉さま、また溢れて来たよ。……うわ、すごい。そんなに気持ちイイの?」
「ちが……もうやだぁ……」
片脚をソファの背もたれにかけ、ペチコートの中へ潜り込むようにして、クリスは私の秘所に指を挿れていた。恥ずかしい言葉で私に死にそうな思いをさせる一方で、指とは別に、今まで知らなかったところを舌で舐られ、あまりに強い感覚にどうかしてしまうのではと思った。
そして今も、クリスの舌がそこをつつく。
「あっ、あっ! そこ、そこはだめぇ!」
「違うでしょ、姉さま。ほら……」
「あんっ、やだ、いやぁ……っ!」
ごく小さなそこを弄られると、身体中が痺れたようになってわけがわからなくなる。そして指を抜き差しされる水音が増してしまうのだ。もう認めるしかない、私はクリスの思うまま感じさせられ、あられもない声をあげて乱れている。クリスの言う「溢れる」という感覚が、私にも分かりかけていた。
「すごい、熱くなってきた」
「やだぁ、もうやめ……」
「やめないってば」
クリスの指が角度を変えた。
「きゃあっ!?」
身体中を快感に鷲掴みにされたような気がした。今のは、何?
「……なるほど、ここか」
一人合点したようなクリスの声が聞こえると、クリスは探るように指を動かし始めた。すぐに突き止めたクリスは、執拗にそこを擦ってゆく。
「え、あ? ……やだ、それ! だめぇっ!?」
擦られる度ごとに声が裏返り、腰が跳ね上がるのを抑えられない。私は慎みも忘れ、クリスの頭を押さえつけて声をあげてしまった。
初めてのことで、記憶はあまりはっきりしない。あまりに強烈な感覚から何とか逃れたかった私は、身体にさらなる異変が起きていることに気がついた。
―――何、これ……?
一度だけ船に乗ったことがある。それはあの時の、ぐうっと押し上げるうねりに少し似ていた。
クリスの手に合わせ、繰り返し繰り返し押し上げるような……、違う、あんな生易しいうねりじゃない。
「や……お願いクリス、もうやめて! 私……」
急に怯えたような声を出した私に、クリスは尋ねた。
「なに姉さま、どうしたの?」
「や、何か変なの、あっ……、やだやめてぇ」
「ん? ああ、そうか。大丈夫だよ姉さま。そのまま感じてて」
クリスの落ち着き払った声も、私はもう耳に入らない。
「やだ、クリスやめて……! 怖い、あ、ああ……!」
「姉さま」
クリスが急に身を乗り出して私の肩を抱き、口づけた。私の中の手はそのまま、さらに激しく動き続ける。いっそう深いうねりが身体の中から沸き起こり、頭が真っ白になった。
「んん、む、ん――――――っ!」
嵐のような一瞬が過ぎると、クリスが私の頬を撫でていた。
「姉さま、イってくれるなんて嬉しいな」
「……え? あんっ」
さわ、と撫でられただけで、いまだ落ち着いていない身体がひくりと震えた。
「や、だめ……さわらない、でぇ」
クリスはにやりと笑った。
「もう、マリィ姉さまっていやらしいなあ。どうしよう、ここまでと思ってたけどまだ間がありそうだし……思い切って、姉さま貰っちゃおうか」
相変わらず可愛い声だけれど、言っていることはひどく不穏だ。でもまだ息すら整わない私は、ゆるゆると首をふるだけだった。
「いや、お願い……」
「お願いなら違うほうがいいけどね、それはまた今度ということで。大丈夫だよ姉さま、これだけ感じてれば……」
「や……! やめ……」
不吉な衣擦れの音がした。その時音をたててドアが開き、低い声がした。
「そこまでだ、この馬鹿が」
突然そこに歯をたてられ、私は痛みに身を捩った。
「ああ、強かった? ごめんね、姉さま。―――じゃあ、これくらいかな?」
「ひぁ……っ」
「ああ、いいみたいだね?」
さっきとは反対側を今度は甘噛みされて、私は悶え、背をのけ反らせる。クリスは両手でやわやわと揉み、指先で転がし、舌を這わせ、ときにはきつく吸い、歯をたてる。私はその度に身体を震わせ、声を上げさせられる。何度も身を捩っていたせいで、複雑に結い上げた髪は無残に崩れてしまっていた。
「や、だめ……、クリス、もうやめて」
「何言ってるの、姉さま。ここ、こんなに固くなってるのに」
「嫌……! そんな、知らない」
乱れた息の下でもう何度目か訴えても、クリスは笑うだけでやめてはくれない。
「ああ……もういやぁ……!」
弟としか思えないクリスにこんなことをされて、どうして私は感じてしまっているの?
恥ずかしさと悔しさに流した涙は、クリスの唇で吸い取られる。私はますます追い詰められていった。
「もう、認めなよ。こんなに感じてるんだから」
クリスがそう言って、何度目かの深い口づけをした。私はもう抗うことも出来ず、流れ込むクリスの唾液を受け止めるしかない。
「社交界の薔薇、清楚でしとやかなマリィ姉さまの乱れる姿……。こんなにいやらしくて美しいなんて、誰も知らないんだ」
「や……いや、ちがうの」
私は弱弱しく首を振る。そんな言い方は、やめて。
「違わないよ、姉さま。姉さまは淫らで感じやすくて……そうだ、きっとここも」
そう言ったクリスの手が何をしようとしているか分かった瞬間、私は最後の抵抗を試みた。結局身体で抑え込まれ、まったく効果は無かったけれど。
「いや、クリスお願い! そこはだめぇ!」
「もう姉さまったら、恥ずかしがることないのに。可愛いなあ」
ドレスの裾から入り込んだ手が、私の脚を撫であげる。そしてそのまま下着の中へ入ってきてしまった。
「ああっ……、いやあ」
「ほら、こんなに熱いよ。―――それに」
くちゅ、と濡れた音がして、クリスの指が脚の間でぬるりと動いた。
「や……!」
「ほら、分かっただろう? 姉さまは僕にこんなことされて、感じてるんだ」
「ああ、言わないで!」
もう無理、耐えられない。私は両手で顔を覆った。
まだダンスは終わっていないようで、広間のほうから風に乗って、楽隊の奏でる曲が聞こえてくる。
もっとも私はそんなことを考える余裕もない。
「あ……っ、や、もうだめぇ!」
「そんなこと言って姉さま、また溢れて来たよ。……うわ、すごい。そんなに気持ちイイの?」
「ちが……もうやだぁ……」
片脚をソファの背もたれにかけ、ペチコートの中へ潜り込むようにして、クリスは私の秘所に指を挿れていた。恥ずかしい言葉で私に死にそうな思いをさせる一方で、指とは別に、今まで知らなかったところを舌で舐られ、あまりに強い感覚にどうかしてしまうのではと思った。
そして今も、クリスの舌がそこをつつく。
「あっ、あっ! そこ、そこはだめぇ!」
「違うでしょ、姉さま。ほら……」
「あんっ、やだ、いやぁ……っ!」
ごく小さなそこを弄られると、身体中が痺れたようになってわけがわからなくなる。そして指を抜き差しされる水音が増してしまうのだ。もう認めるしかない、私はクリスの思うまま感じさせられ、あられもない声をあげて乱れている。クリスの言う「溢れる」という感覚が、私にも分かりかけていた。
「すごい、熱くなってきた」
「やだぁ、もうやめ……」
「やめないってば」
クリスの指が角度を変えた。
「きゃあっ!?」
身体中を快感に鷲掴みにされたような気がした。今のは、何?
「……なるほど、ここか」
一人合点したようなクリスの声が聞こえると、クリスは探るように指を動かし始めた。すぐに突き止めたクリスは、執拗にそこを擦ってゆく。
「え、あ? ……やだ、それ! だめぇっ!?」
擦られる度ごとに声が裏返り、腰が跳ね上がるのを抑えられない。私は慎みも忘れ、クリスの頭を押さえつけて声をあげてしまった。
初めてのことで、記憶はあまりはっきりしない。あまりに強烈な感覚から何とか逃れたかった私は、身体にさらなる異変が起きていることに気がついた。
―――何、これ……?
一度だけ船に乗ったことがある。それはあの時の、ぐうっと押し上げるうねりに少し似ていた。
クリスの手に合わせ、繰り返し繰り返し押し上げるような……、違う、あんな生易しいうねりじゃない。
「や……お願いクリス、もうやめて! 私……」
急に怯えたような声を出した私に、クリスは尋ねた。
「なに姉さま、どうしたの?」
「や、何か変なの、あっ……、やだやめてぇ」
「ん? ああ、そうか。大丈夫だよ姉さま。そのまま感じてて」
クリスの落ち着き払った声も、私はもう耳に入らない。
「やだ、クリスやめて……! 怖い、あ、ああ……!」
「姉さま」
クリスが急に身を乗り出して私の肩を抱き、口づけた。私の中の手はそのまま、さらに激しく動き続ける。いっそう深いうねりが身体の中から沸き起こり、頭が真っ白になった。
「んん、む、ん――――――っ!」
嵐のような一瞬が過ぎると、クリスが私の頬を撫でていた。
「姉さま、イってくれるなんて嬉しいな」
「……え? あんっ」
さわ、と撫でられただけで、いまだ落ち着いていない身体がひくりと震えた。
「や、だめ……さわらない、でぇ」
クリスはにやりと笑った。
「もう、マリィ姉さまっていやらしいなあ。どうしよう、ここまでと思ってたけどまだ間がありそうだし……思い切って、姉さま貰っちゃおうか」
相変わらず可愛い声だけれど、言っていることはひどく不穏だ。でもまだ息すら整わない私は、ゆるゆると首をふるだけだった。
「いや、お願い……」
「お願いなら違うほうがいいけどね、それはまた今度ということで。大丈夫だよ姉さま、これだけ感じてれば……」
「や……! やめ……」
不吉な衣擦れの音がした。その時音をたててドアが開き、低い声がした。
「そこまでだ、この馬鹿が」
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