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28・魔王は逃げる 上 ★

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「あっ、んん……っ」
「マジで、エリーに褒美をやらないとな。この肌触り、たまんねえ」
「はぁぁ……、あん、もう……」

 長椅子の背もたれに必死で縋りついて自分を支える。謙斗は後ろ向きになった私のお尻を両手で掴んで撫でまわし、ぱっくりと開ききった花びらに舌を這わせていた。
 とめどなく溢れる蜜は謙斗の顎を濡らし、腿を伝わり落ちている。

「すげえ、床まで濡らしてるぜ」

 謙斗が口を離して、感嘆の声を漏らした。その声がかかるだけで、私は背中を震わせてしまう。

「ねえ、謙斗お願い」
「……もう欲しいのか」

 もう崩れ落ちそうで、肩越しに振り向くのもやっとだった。謙斗は手の甲で口元を拭うと、立ち上がって前を寛げる。固くそそり立ったそれが現れ、私は自分でも気づかずに、こくりと息をのんでいた。



 長椅子で何度かイかされ、腕に力が入らなくなって崩れ落ちた私は、いつの間にかベッドへ運ばれ、謙斗にのしかかられていた。謙斗が動くたび私のそこからは、ぐちゅんとかじゅぽっとか、かなり卑猥な水音がする。そして私自身も、もうぐちゃぐちゃに蕩けてしまっていた。

「あっ、あっ……! だめ、もうイく……っ!」

 謙斗もここまでくると、いくらか余裕を失った顔になっている。半目になってほんの少し眉を寄せ、私をじっと見つめている顔……。それを見ると私の身体まで、きゅんと締まってしまう。

「っ……、また、そんな締め付けるな」
「ああんっ、だっ、てぇ……。あ、やぁっ!」
「くそ、もう……っ!」
「え、ああっ……! だめ、イっちゃぅ……っ!」


 気が付くとまた、指一本も動かせないほどぐったりとして横たわっていた。ぎしぎし言いそうな首を動かして謙斗を見上げると、なんだか幸せそうに私を見ている。文句の一つも言いたかったのに、その顔を見たら何も言えなくなってしまった。

「なあ、好きって言えよ」

 あれ以来、謙斗は私に好きだと言わせたがる。見た目はおっさんで魔王より怖いくせに、そういうところが何だか可愛い。それに、私にはまだ例の事故の時の負い目もある。そのせいで私の言葉が欲しいのかも、とも思ってしまうのだ。

「謙斗が好きよ」

 だから、素直に答える。初めて言わされた時と違ってちゃんと真実だから、恥ずかしいけれど嫌ではない。
 謙斗は私の頬にちゅっとキスをくれた。でもその後、ふっと微笑んで言う。

「でも、俺の方が好きに決まってるよな」
「……」

 これにも反論できない。どう考えてもそうだろうから。
 ぱっと見40代のおっさんが、自分のほうが好きだなんて言うのは……ちょっとキモいかもしれないけれど。でも、私達はきっとこれでいいんだろう。

「だから安心しろよ、毎日たっぷり、何度でもイかせてやるからな」
「……はあっ?」

 ―――そんな愛情表現してほしいなんて、言ってない! さすがの魔王わたしも、死んじゃうかも……!?

 またしても動き始めた謙斗に、私はまたドロドロにされていくのだった。










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