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16・魔王の褥(しとね) 上 ★

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「んん……っ、ふっ……」
「まだ我慢するのか、強情だな」

 ああ、どうしたことだろう。昨日までの私は、こんな目に遭うなんて思ってもいなかったのに。
 この私、魔王オリアニスともあろうものが、ベッドに両手を縛られ、男になぶられているなんて。
 しかもそれが人間が送り込んできた勇者で、まさかの前世の元カレで。おまけにそいつのせいで私は……。そんな奴にいいようにされて、しかもイきそうなのを必死に耐えているなんて、信じたくない。

「んっ、は……」
「もう、辛いだろ。さっさと楽になっちまえ」
「……嫌、誰が、あんたなんかに……っあぁ!」


 ぱっくりと割り開かれた両脚の間に、謙斗の頭が見える。指が蜜壺を探り、舌が花芯を舐る度に、本当はもう気絶しそうなくらいの快感が襲いかかる。いくら虚勢を張ったって、私のそこは溢れるほどに蜜を垂らして、全て謙斗の前に晒されているのに。分かっているけれど、それでも私は抗わずにはいられない。

「やあっ……」
「ほら、もう限界だろ? 無理すんなよ」
「……誰、が……!」

 歯を食いしばって頭を右に左に振り、次第に強く、耐えがたく迫ってくる絶頂を、何とか逃がそうと足掻く。身体中の細胞がもう無理だと叫んでいるけれど、わずかに残った理性とプライドが、自分を明け渡すのを必死で拒んでいた。

「そういや昔から、意地っ張りだったよな。……どうせ無駄なのに」

 謙斗が鼻で笑う気配がした。そして一気に指を増やして、激しく抜き差しを始める。

「ああぁっ! やっあ、だめ……っ! んんっ!」

 ぐちゅぐちゅと音をたてて中のいいところを擦られ、嫌が応にも高まっていく身体。ああ、だめだ。たぶんもう……限界。

「ほら、イっちまえよ」
「ああ、いやぁ……や……あ、ああ」

 ああ、もうだめだ。これ以上抑えきれない。甘い痺れが、止めようもなく腰から広がっていく。その時、謙斗が固く尖った花芯に歯をたてた。

「あ、ああ――――――っ!!」

 ついに全身を震わせて絶頂してしまった私は、戻れない一線を越えてしまったような、敗北感を感じていた……。


 謙斗にベッドに投げ出されてから、もうどれくらい時間が経ったのか。部屋はむっとするような熱に包まれていた。

「あんっ、や……っ! また、また……っ!」

 天蓋のカーテンの中は、熱どころかかすみがかかっているかもしれない。それともかすみがかかっているのは、私の意識のほうか。

「あっ、あああっ! やだ、もうむりぃ……っ!」
「魔王様ともあろうものが、情けないこと言ってんなよ」
「あっ、だって……! いや、そこはだめぇ!」
「ここはそうは言ってないぜ?」

 謙斗の指に、私は思うままに啼かされていた。何度達しても休むことは許されず、開かれた脚を自らの意志で閉じることすら出来ない。
 もともと魔族の特徴で、身体中の感覚は鋭い。それが謙斗の執拗な愛撫で、さらに信じられないくらい敏感になり、風が吹いたって感じてしまうほどになっている。例えではない、本当なのだ。だって、謙斗の吐息がかかるだけで、滴る汗を受けただけで、私はひくりと震えてしまうのだから。

 必死になって魔王の矜持を保とうとしたけれど、私は今まさに、理性の最後のひとかけらを手放そうとしているところだった。

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