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異世界編
魔王城進撃!
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魔王城には暗雲が立ち込め、雷鳴が轟き、空気は冷たく、鳴き止むことを知らぬ黒鳥が群れなしていた。
とりあえず、俺とバルバロスは見学ってことで存在感を薄めつつ同伴する。
シリウスたちはというと非常に、というか文句ひとつないほど順調に事を進めていた。
「ようちっこいの、お前がここを攻略しようなんて一億光年早いぜ?」
こんなことを言いつつ、槍を突き立ててきた門番は瞬殺。
「な、何だこいつら.....!?」
守衛を倒すと門はひとりでに開いた。
わずかの間すらも足を止めず、城の最上階を目指して駆け上がる。
剣と剣のぶつかる音が響き、鎧を叩き切る太刀筋が雲の間から差し込む陽の光に反射する。
「み、道を開けろ!撤退だ撤退!」
そのうちに雑兵は恐れをなして、彼らの相手をするのを投げ出した。
「あんなの人間技じゃねぇ!あいつらの相手は幹部の方々に任せて、俺たちゃさっさと退散しよう!
「さもなきゃ、命なんか幾つあっても足りねぇ!」
彼らも逃げる者たちを追うような真似をしない分別を弁えている。
しかし、仇なすものに対しては容赦しなかった。
例えばこんな場合。
パーティーの魔法使いの子がつまずいて、伏兵のナイフが彼女の首をかすめた時。
「ほ、ほら!勇者様よ!これ以上進もうっていうなら、こ、こいつを殺すぞ!?」
恐怖のあまり噛みまくる敵に比べて、シリウスの声は怒りに震えていた。
「僕は仲間を脅かすものに容赦はしないぞ?」
シリウスの眼光が鋭く敵を捉える。
刹那、あたりに突風が吹き抜けた。
風圧が肌にピリピリと伝わる。
「ひ、ひいィッ!」
ドサリ、と木々が倒れるように周辺の兵士が倒れる。
シリウスが剣を抜き終える頃には既に敵は気絶していた。
後でハニーに聞いた話だが、これは本人は気づいていないにしろ、直接触れずに相手を気絶させるという特殊スキルの一つらしい。
『勇者の覇気』とでも言ったところか?
なんか羨ましかったので、俺もやってみたら出来た。
「ば、化け物...!!」
あたりにいた雑魚敵がバタバタと倒れていく。そのうち使う機会があるかもしれない。
シリウスは転んだ魔法使いの子の手を取り、体を支える。
「怪我は無いかい?」
こんなセリフ、俺も言ってみたいものである。
中階層にもなると出てくる敵の質が少しずつ向上し、より強力な相手と対敵するようになる。
並び立つ幹部たちを、こちらは雑兵のように瞬殺とは行かなくとも、秒殺で葬り去って行く。
例えばこんな感じで。
「我こそは魔王城第十三位の実力を誇る剣闘士オルファイン。貴様らの如きザコなど一瞬で仕留めてくれ.....」
口上の途中で仕留められる幹部。
今さっき秒殺って言ったけど、やっぱり瞬殺だったかもしれない。
そうして、立ちはだかる幹部たちをバッタバッタと倒し、遂には四天王をも打ち破り、魔王の間の扉をこじ開けた。
影の多い薄暗い部屋に佇んでいるのは紫色の鎧を身につけ、顔を兜で覆い隠した魔王。
勇ましい大剣が見るものの目を引く。
「アキヒサ、我よりも魔王っぽいぞ、こやつ」
弟子たちの出来に満足しながら見守るバルバロス。空気を読まないのは俺たちの共通点みたいだな.....。
「よく来たな若き勇者よ、そして勇敢なる仲間たちよ。俺を打ち滅ぼした暁にはこの力、称号を与えよう」
かくして戦いの幕が切って落とされた。
とりあえず、俺とバルバロスは見学ってことで存在感を薄めつつ同伴する。
シリウスたちはというと非常に、というか文句ひとつないほど順調に事を進めていた。
「ようちっこいの、お前がここを攻略しようなんて一億光年早いぜ?」
こんなことを言いつつ、槍を突き立ててきた門番は瞬殺。
「な、何だこいつら.....!?」
守衛を倒すと門はひとりでに開いた。
わずかの間すらも足を止めず、城の最上階を目指して駆け上がる。
剣と剣のぶつかる音が響き、鎧を叩き切る太刀筋が雲の間から差し込む陽の光に反射する。
「み、道を開けろ!撤退だ撤退!」
そのうちに雑兵は恐れをなして、彼らの相手をするのを投げ出した。
「あんなの人間技じゃねぇ!あいつらの相手は幹部の方々に任せて、俺たちゃさっさと退散しよう!
「さもなきゃ、命なんか幾つあっても足りねぇ!」
彼らも逃げる者たちを追うような真似をしない分別を弁えている。
しかし、仇なすものに対しては容赦しなかった。
例えばこんな場合。
パーティーの魔法使いの子がつまずいて、伏兵のナイフが彼女の首をかすめた時。
「ほ、ほら!勇者様よ!これ以上進もうっていうなら、こ、こいつを殺すぞ!?」
恐怖のあまり噛みまくる敵に比べて、シリウスの声は怒りに震えていた。
「僕は仲間を脅かすものに容赦はしないぞ?」
シリウスの眼光が鋭く敵を捉える。
刹那、あたりに突風が吹き抜けた。
風圧が肌にピリピリと伝わる。
「ひ、ひいィッ!」
ドサリ、と木々が倒れるように周辺の兵士が倒れる。
シリウスが剣を抜き終える頃には既に敵は気絶していた。
後でハニーに聞いた話だが、これは本人は気づいていないにしろ、直接触れずに相手を気絶させるという特殊スキルの一つらしい。
『勇者の覇気』とでも言ったところか?
なんか羨ましかったので、俺もやってみたら出来た。
「ば、化け物...!!」
あたりにいた雑魚敵がバタバタと倒れていく。そのうち使う機会があるかもしれない。
シリウスは転んだ魔法使いの子の手を取り、体を支える。
「怪我は無いかい?」
こんなセリフ、俺も言ってみたいものである。
中階層にもなると出てくる敵の質が少しずつ向上し、より強力な相手と対敵するようになる。
並び立つ幹部たちを、こちらは雑兵のように瞬殺とは行かなくとも、秒殺で葬り去って行く。
例えばこんな感じで。
「我こそは魔王城第十三位の実力を誇る剣闘士オルファイン。貴様らの如きザコなど一瞬で仕留めてくれ.....」
口上の途中で仕留められる幹部。
今さっき秒殺って言ったけど、やっぱり瞬殺だったかもしれない。
そうして、立ちはだかる幹部たちをバッタバッタと倒し、遂には四天王をも打ち破り、魔王の間の扉をこじ開けた。
影の多い薄暗い部屋に佇んでいるのは紫色の鎧を身につけ、顔を兜で覆い隠した魔王。
勇ましい大剣が見るものの目を引く。
「アキヒサ、我よりも魔王っぽいぞ、こやつ」
弟子たちの出来に満足しながら見守るバルバロス。空気を読まないのは俺たちの共通点みたいだな.....。
「よく来たな若き勇者よ、そして勇敢なる仲間たちよ。俺を打ち滅ぼした暁にはこの力、称号を与えよう」
かくして戦いの幕が切って落とされた。
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