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異世界編

勇者修行!

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五分ほどの試行錯誤の末、シリウスは復活を遂げた。

「あれ....今、死んだ母さんと会ってたよ....。まだ来ちゃダメだって....」

うん、それは多分本物だな。

「シリウスっ!よかった!」

三人はやっと我に返った様子で、シリウスの方に駆け寄った。

ソフィアは起き上がったシリウスに抱きついたが、すぐに顔を赤くして突き飛ばした。

「べ、別に、恐くなんて無かったんだから!仲間がいなくなるのが、ほんのちょっと心配だっただけだし!?」

ツンデレかな?
いや、その返り血はジョークでは済まされないような気がするのだが....。

「そうか、心配してくれたんだね。僕なんかのために、ありがとう」

「『僕なんか』って....ああ、もう、知らない!」

流れる涙を我慢出来ないほど嬉しいのは俺にもよくわかったよ、ソフィアのきみ

順調に他の2人も抱きついて終了!
俺よりも純粋にハーレムしてるとは、なんとも言えないことではある。

いや、さっきの惨状見てたら何とも言えないんだけど。

「でも何でみんなそんな血だらけなの?しかもソフィアの剣の血って誰の血なの....?」

シリウス君、それは気づいてはいけないことなんだよ。
君のためにも仲間のためにも.....。



ーーーーーーーーーー


「師匠!僕を魔王を倒せるまで鍛えてください!父の仇、魔王を倒せるだけの力をください」

突然改まって彼が頭を下げたのは、俺ではなく、バルバロス。

「はは、我が力に感動したか?よかろう、指導はしてやる。ただし、力は自分で手に入れるのだぞ?」

かくしてシリウスたちの修行が始まった。

しかしそれは大変厳しく、その実情は苛烈を極めた。

「カオスピさん、何かアドバイスはありますか?」

「カオスピじゃくて、アキヒサな。そうだなぁ、朝4時に起きて、生卵を5個飲んでからランニングしろ。 世界チャンピオンも遠くないぞ」

映画「ロッキー」で見た、とは言わないでおく。

「生卵ですか....やってみます!」

本当にやるのか.....驚いたなぁ....。

そうして一週間、他のパーティメンバーも修行を重ね、その間に俺は竜王の部屋を直したり、竜王の娘のフレイアちゃんと交流をしたりした。

彼女はいわゆる思春期で、ちょっとめんどくさかった。

「遊んで欲しいのか、欲しく無いのかどっちなんだ!?」

「遊ぶって何!もうそんな年齢じゃないし!でも、まあ?カオスピがどうしてもっていうなら付き合ってあげてもいいけど?」

別に年下好きじゃないけど、懐いてくるので、意外とかわいいやつである。
実際かわいいが。

「カオスピいー!何でにやけてるのー?」

でも機嫌損ねたハニーの方が面倒だっていうのは秘密。

「こっちの世界では知らんが、我が魔王城なら今のお前らごときでは攻略できんぞ。もっとチームワークを意識しろ!」

朝から晩まで、シリウスたちは修行続き。

魔法使いの子は、ハニーに何か教わっていたし、剣士の子にはMr.デリシャスを呼び寄せてやった。

回復役の子にはクリスタリアをつけてやった。

「こうステッキを素敵に、とうっ!てやるの」

「こうですか先輩、とうっ!」

夜になるとバルバロスとの実戦演習が行われていた。
暗闇の中でも相手と仲間を把握できるように、ということらしい。

はじめは慣れない様子で仲間の間での衝突、というか同士討ちの事故が多発したが、今となっては片目をつぶってでも空間を把握できるとか。

「今よシリウスっ!」

暗闇の中、魔法と剣がぶつかる瞬間の光が点滅し、反射する。

「貫け『聖なるいかづち』!」

振り下ろされた剣先から雷が轟き落ちる。

「ぐっ......」

大方は弾いたものの、さすがに全ては防ぎ切れず、バルバロスはここで止め、との合図を出した。

「よくやったぞお前たち。これで殆ど言うことは無い。明日、この世界の魔王城へ発つ。今日はよく寝るがいい」

シリウスたちにとって、旅の到着地となる魔王城。
今の彼らなら倒せそうな気がするのだが.....。 

「魔王の討伐は僕たちの独力で行うつもりです。どうか手出しは無用でよろしくお願いします」
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