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第九十七話 盗人エルフ?

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 外は夕陽が沈もうとしておりオレンジの光が眩しく輝いており地下からでた海斗とアリスは時間の経過に驚いている

 海斗「もうこんな時間かよ」

 アリス「そうみたいだね それにお腹も減ってきちゃった」

 海斗「よし さっさと食材を買って森に戻ろうか」

 アリスは頷いて海斗の後を着いていき市場へと食材を買いに向かったのだが

 海斗「ん? お店やってないのか」

 アリス「さっきから変だとは思ってたけど全然人がいない」

 おかしな事に獣人の気配は一切せず本来賑わっているはずの時間なのだが海斗とアリス二人だけであり風が吹き荒れており気味悪く感じている

 海斗「何だこの感じは」

 アリス「何かあったのかな?」

 海斗「エナ達が心配だな 早く戻ろうか」

 アリス「うん」

 二人はエナ達を心配し森に戻っていると信じて急いで門へと走っていく

 その間にも獣人を一人も見かける事はなく何が起きたのか本当に分からなかった

 そしてひたすらに走り続け森に近付くに連れて二人は安心する

 アリス「海斗お兄ちゃん この匂いは」

 海斗「ああ、エナの料理の匂いだなという事は戻ってご飯を作って待ってくれてるはずだ」

 二人共笑顔になって匂いの方へと近づいていくのだがそこで見たものは違うものであった

 海斗「誰だお前は!!」

 ?「はふ!?」

 そこにはエナ達が作ったであろうご飯を盗み食いしている謎の女性がいたのである

 海斗「ここで何をしている エナ達はどうしたんだ!!」

 ?「はふへ ほはひへふ」

 海斗「……分かりやすく話せよこの盗み食いやろう(悪い奴には見えないけど)」

 アリス「海斗お兄ちゃん、なんか事情がありそうだよ」

 海斗「どうだか」

 食べ物を口に詰めていた女性は全て飲み込んで水を飲む

 ?「これは誤解です 決して盗み食いなどではありません」

 おっとりとした雰囲気の女性は綺麗な銀色の長い髪を靡かせながら海斗とアリスに誤解と伝えるが海斗はイマイチ信用しきれていない

 海斗「にしても食い方ってのがあるだろ 口に詰め込んでまるで泥棒みたいだったぞ」

 ?「それは……お腹が減ってしまってて エナさんと工藤さんという方に作ってもらったのを食べさせてもらってたのです……」

 海斗「……本当に?怪しさしか感じねーぞ」

 ?「そうです!! このプレートを見てください」

 すると女性は一枚の金のプレートを海斗に渡す

 海斗「名前が……ケレノアでゴールドランクの冒険者?」

 ケレノア「はいそうです!!申し遅れましたが私の名はケレノアでゴールドランクの冒険者のエルフです」

 アリス「ゴールドランクの冒険者? それって凄いの?」

 海斗「分からんなー それに誰かから奪ったやつかもしれないぞ」

 ケレノア「エルフの名にかけて誓います 私は嘘などついてません!!」

 エナ「ケレノアさん 何かあったのですか!? って海斗とアリスちゃん!?」

 ケレノアが訴える声が響いていたのかエナは慌てて戻ってきたようであり海斗とアリスを心配している様子である

 エナ「良かった……心配したよ」

 海斗「エナ達が先にもどってたんだね というよりこの人はどうしたの?」

 エナ「この人は空腹で今にも倒れそうにしてたから助けたの」

 海斗「なら信じるか」

 ケレノアは一安心したのか大きな胸部を揺らしながら地面に座りこむ

 エナ「誤解が解けて良かった」

 海斗「本当に泥棒かと思って捕まえるところだった」

 ケレノア「勘弁してください……」



 クシア「ケレノアさん!?無事でしたか? 海斗とアリスさんも戻ってこられたのですね」

 工藤「本当だよもう少し遅かったら王国の方に探しに行こうかしてたんだから」

 その後すぐに工藤とクシアも合流したのでエナが事情を話すとクシアと工藤は納得して少し微笑んでいる

 クシア「全く……」

 工藤「でも昨日お金を盗まれちゃったから敏感になるのは仕方ない……のかな?」

 海斗「本当にそうだよ、でもこの人ゴールドランクの冒険者なんだろ? お金持ってないのか?」

 ケレノア「ほとんど食費に消えてしまうのでそんなに沢山は持ってないです……」

 海斗「確かにあんたは沢山食べそうな感じがするよ」

 エナ(結構な量あったと思うけどもう無くなってる)

 ケレノア「世界のあらゆる美味しい食べ物を食べるのが私の夢で生き甲斐です その為に冒険者になったようなものですから」

 海斗「素直に生きているんだな」

 ケレノア「自分の好きな事をやったもん勝ちですから」
 
 工藤(私もあんな風に生きてみたいかも……)

 エナ「確かにそうだと思います」

 何一つ曇りのない笑顔で話しており嘘をつけるような人ではないと確信した海斗はケレノアの事を信用する事にしたのである

  海斗「エルフか……寺山達が喜びそうだな」

  工藤「確かに珍しいと思う でもエルフの人達は戦いを好まないおとなしい人達って聞いてたけど……イメージと少し違うかも」

 アスフェア「確かにそうね 私達妖精とも交流があるけど剣を持ってる冒険者のエルフ何て一人も知らないわよ? それに本来エルフは少食なのにあんたはガツガツ食べるし何かオッパイも大きいし」

 エナ「アスフェア!?失礼だよ」

 海斗(そうだったのか? 知らなかったけど黙っておこう)
 
 ケレノア「疑われるのも仕方ないですね……本来のエルフはそこの青い妖精さんの言う通りで戦う力などほとんどありませんし貧にゅ……ではなく細身の人が多いのは本当ですので……」

 エナ「そうなのですか……」

 アスフェア「エナも一応シルバーの冒険者でしょ? 知ってたりしないの?」

 エナ「エルフの冒険者なんて聞いた事ないかも……」

 ケレノア「私も最近上がったばっかりですよ 自分で言うのもあれですが実はギルドの人達からは剣の達人なんて呼ばれてたりもするんですよ」

 クシア「戦闘を行うエルフなんていませんからね、恐らく珍しいと思われてると思いますよ」

 海斗(剣を扱うのにあの胸は邪魔じゃないのかな?)

 ケレノア「はい……そこの人のように変な目で見られる事が多くて困ったりもしてます」

 エナ「……海斗」

 海斗「違う 誤解だよ 俺も一回カンナになった時に邪魔だなーって思ったりしたから剣を扱う時に弊害がでないのかなって……」

 ケレノア「あまり気にした事はありませんね、でも肩は凝りやすいかと思います クシアさんだってそうでしょう?」

 クシア「確かにそうですね 最近痛いんですよ」

 海斗「やっぱりそうだよな 俺も学園にいた時なんかは……」

 工藤「…………」

 エナ「…………」

 アスフェア「あんた少し黙った方がいいわよ」

 海斗「そうする……後ゴメン(寺山か誰か来てくれー)」

 アスフェア(二人共小さくはないと思うけど)
 
 工藤とエナの無言の圧力を感じ取った海斗は黙り込んでしまいケレノアとクシアも何も言えずに沈黙の時間が続く


 海斗「お腹……減ってない?」

 やっとの事で口を開いた海斗はエナに語りかけるがエナの反応は何だが素っ気ない

 エナ「そうだね、そろそろご飯を作ろうかな」

 海斗「俺も手伝うからさ」

 エナ「ありがと」

 海斗「なんか冷たくない?」

 エナ「別に……」

 そうして二人は奥の方へと歩いていく

 工藤「私も行かないといけないけど……」

 アスフェア「二人きりにさせてあげないとね」

 工藤「そうだね……」
 



 海斗「ゴメンってばエナー さっきのはわざとじゃないんだってー」

 
 海斗が情けない声で謝ると素っ気ない表情をしていたエナの顔が微笑んでいる

 エナ「フフッ、分かってる 少し海斗の事をからかってみただけだよ」

 海斗「そう なら良かった」

 エナ「でも少し傷ついちゃったなー」

 海斗「エナも脱いだら結構大きいと思うんだけど……あの人達が大きすぎるんじゃないの? 」

 エナ「ちょっと!? それは恥ずかしいから言わないでよ」

 海斗「ゴメン……やっぱりキスだけじゃ物足りない?」

 エナ「あれはまた時間がある時でいいから」

 海斗「分かった、早くみんなの分のご飯を作ろうか」

 エナ「うん 私は野菜を切るから海斗は火と水を用意してて」

 海斗「了解」

 海斗はエナの指示に従って準備を始めその後しばらくした後に工藤とクシアも合流して協力しながらご飯を作る

 美味しい匂いが森を漂い始めると同時にケレノアとアリスはその時間が待ち遠しくなるのであった

 
 
 

 
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