100 / 108
第九十四話 早バレ
しおりを挟む海斗「zzz…………」
エナ「海斗起きて!!朝だよー」
海斗「んん……おはよー」
朝日を浴びてエナの声を聞いた海斗は眠そうにしながらも目覚める
海斗「俺が一番最後かな?」
エナ「そうだよ 昨日はなんだかんだ言って疲れてたんじゃない?」
海斗「そうみたいだね(多分カンナになったせいだな)朝ご飯はもう作ってる?」
エナ「うん、一緒に食べよ」
全員で朝食を済ませると朝早くからビスト王国へ向けて出発し門を潜って国内へと入ったのである
クシア「普段通りにしていれば問題ないと思いますが気を付けて下さいね」
エナ「私も一緒に行きたいけど明日の事とかを話したりしないといけないから……いつも通りを心がけて」
工藤「海斗には今日の夕方に詳しく伝えるからそれまでゆっくりしてていいよ」
海斗「了解、気を付ける 夕方くらいになったら早めに帰るようにはするよ」
不安な部分もあるが海斗を信頼しているエナ達は別れを告げて王宮へと向かって行った
アリス「エナお姉ちゃん達行っちゃったね……」
海斗「夕方には会えるよ、今からどこに行こうか?」
アリス「せっかくなら海斗お兄ちゃん達の役に立ちたい」
海斗「そうかー、人攫いの場面を目撃でもしないとなー」
アリス「うーんと……それなら人通りが少ない場所に行ってみたら目撃できるかも」
海斗「人が多いと目立つからな、そうするか」
早朝ではあるがアリスと海斗は人通りの少なさそうな場所を歩く事に決める
海斗「それにしてもアリスよく思いついたな」
アリス「えへへ……頭を使って悪者を追い詰める絵本を読んでそれがカッコいいって思ってからそれを目指してるの」
海斗「良いじゃないか、もしアリスが頭良くなったら最強だな」
アリス「喧嘩は海斗お兄ちゃんが強いと思うなー」
海斗「実際は分からんな……(アリスとは余程の事がない限り本気で戦いたくはないな)」
他愛もない会話をしながら人気のない場所を中心にパトロールするが特に怪しい場所もなく時間が過ぎていきお昼の少し前の時間になる
アリス「海斗お兄ちゃん……お腹空いたー」
海斗「俺も丁度腹が減ったな お店はアリスが決めていいよ」
アリス「やったー」
海斗「肩車してやるから良さそうな店があったら言ってくれよ」
アリス「分かった!!」
そう言うとアリスは海斗の肩に乗って辺りを見回し始める
アリス「おおー 身長が大きくなったみたい」
海斗「良さそうなのはあったかい?(嬉しそうで良かった)」
辺りを見回しているアリスは良い感じの店を見つけたのか海斗の肩を叩く
アリス「海斗お兄ちゃん!!あの店に行ってみたい」
海斗「えーと あの緑色の看板のやつ?」
アリス「違うよ もっと奥の方にあるの」
海斗「あー あの大きな店か」
アリス「うん」
海斗「視力が良いなアリス それならあそこに行くか(あの店はエナと工藤と昨日行ったのだな)」
アリス「人がたくさんいそうだからきっとあのお店が美味しいと思うの」
海斗「行ってみれば分かるぜ(昨日と同じやつはあるかなー)」
アリスが行きたいと言った店はまさかの昨日海斗達が行った店と同じ場所だったのである
かなり距離が離れているが海斗は昨日のメニューを思い出しながらアリスを肩車してその店へと向かって行ったのである
アリス「良い匂いがするね」
海斗「そうだな(昨日の匂いよりもさらに良くなっているような気が……気のせいか?)」
疑問を抱きながら店の中へと入ると昨日とは違ってたくさんの獣人が店の中に入っており席はほとんど空いていない状態であった
アリス「わー 賑やかだねー」
海斗「そ……そうだな(昨日と全然違うやないか)」
昨日との違いに驚きつつも空いてる席を探すと幸いな事に一番端っこの二人用の席が空いておりそこに座る事にしたのである
アリス「これがメニューだね どれも美味しそう」
海斗「好きなだけ食べていいぞ」
アリス「ありがとう、でも×が何個か書いてあるけどこれは無いって事なの?」
海斗「そうだぞ それを頼んでもお店の人が困っちゃうから注文したら駄目だからな(とはいっても昨日×がついてたけど復活してるやつがあるからそれにしてみるか)」
海斗は迷う事なく注文を決める
アリスも同様に迷う事なくメニューを決めたのだが海斗と同じメニューであったのだ
近くにいた店員を呼ぶと昨日小銭を落とした女の子がオーダーを取りにきたので海斗は頭を下げて挨拶すると店員は笑顔で挨拶をする
店員「ご注文はいかがなさいますか?」
アリス「えっと このギガ盛りグランドブルステーキをお願いします」
海斗「おおー俺と同じじゃないか」
アリス「これが一番美味しそうだから」
店員「すみません こちらのメニューはかなり量が多いですがそちらの小さなお子様は大丈夫ですか?」
海斗「大丈夫ですよ この子はしっかりと食べれますから」
店員「かしこまりました、お時間かかりますがしばらくお待ち下さい」
店員は厨房へと入っていきメニューを伝える
お客が多い事もあってかかなりのかなり待たされてしまうが店員の子が2往復してとてつもなく大きな肉料理を持ってくる
店員「大変お待たせしました、こちらお熱くなってますのでお気を付けください」
海斗「……想像よりでかいな」
アリスは目を輝かせており今にも食べたそうにしている
店員「それではごゆっくりどうぞー」
海斗「おし、食うか」
海斗は覚悟をきめてナイフで肉を切って食べようとするがアリスが手を合わせている事に気がつく
アリス「感謝を込めていただきます!!」
海斗「そういえば獣人が肉を食べる時は動物に感謝して食べるって伝統があったな、流石アリス」
アリス「そうなんだ、これは私達ダイ……」
海斗「アリス!! それを言ったら駄目だ」
アリス「!? そうだったね ごめんなさい……」
アリスがダイナ族と言おうとしたことを察した海斗は途中で遮って話を止める
海斗「謝らなくていいよ アリスのおかげで自然の恵みに感謝するというのを改めて思い出せたよ」
アリス「当たり前じゃないからね……」
海斗「そうだな……だからこそ残さず綺麗に食べないとな」
アリス「うん、いただきます!!」
海斗「感謝を込めていただきます!!」
感謝の心を改めて思い出した海斗は手を合わせて笑顔で大量の肉をたいらげていき綺麗に食べ終える事ができたのである
海斗「ご馳走様でした」
アリス「ご馳走様でした」
礼儀正しく挨拶をした二人は席を立ってお会計をしようとすると席に座っていたとある人物に突然声をかけられる
レクス「おい お主」
海斗「あんたは昨日の」
アリス「……知り合いなの?」
昨日出会ったレクスという男に出会い驚いているとレクスが一言
レクス「外で待っておれ」
突然の事にさらに驚くが今日はパトロールとはいえ特にやる事もないので海斗はレクスの指示に従う事にし会計を済ませて外で待つ事にした
アリス「あの人誰だろう……」
海斗「昨日会った獣人さ たくさんの子供達と一緒に暮らしてるかな」
アリス「そうなんだ……」
海斗「アリスは何かを感じるのかい?」
レクスと会った時からアリスは何故かソワソワしており落ち着かない様子を見せている
アリス「……分からない」
そしてしばらく待っているとレクスが店から出てきたので声をかける
海斗「それであんたは俺に何か用があるのか?」
レクス「まーそんなところじゃな 暇ならワシについて来いそこの嬢ちゃんも一緒にじゃ」
海斗「まー暇と言えば暇だしな アリスもそれで良い?」
アリスは静かに頷いてレクスについていき海斗も後を追うようにしてついて行く
海斗「ここは昨日の場所じゃないか、子供達はどうしたんだ?」
昨日海斗がレクスと初めて出会った場所へと案内されたのだが昨日と違うのは貧しい子供達がいない事である
レクス「あの子達には昨日お前さんから貰ったお金でさっきの店におるのと遊んでくるように伝えとる」
海斗「どうりで子供が多かった訳か、それであんたは俺たちに何の用なんだ?」
レクス「まーそう焦るでない もう少し着いてきてくれぬか?」
レクスがそう言うと古い建物の扉へと入っていったのでアリスと海斗も覚悟を決めてその扉へと入る
扉の先は階段になっており地下へと続いていた
海斗(何なんだこの道は)
不思議に思いながらもひたすらに着いていきしばらく歩き続けると地下には広大な部屋が広がっていたのである
海斗「何だこれは……闘技場なのか?」
アリス「誰かいるよ」
広い部屋を見渡すと動いている人影がある、その人影は昨日海斗に盗みを働いてしまってタチという獣人である
海斗「お前は昨日の盗人か」
タチ「なっ!? 何でお前がここに」
レクス「よそ見禁止 おまいさんはそこで反省しとくのじゃ」
レクスに言われたタチはしょんぼりして何も言わなくなった
そしてタチは座禅をくんで集中し始めたので海斗は何をしているのか全く理解できていない
海斗(何してるんだ? まあいいか)
海斗「もう話してくれてもいいんじゃないか? 何で俺たちをこんなところに連れてきたのかを」
アリス「私たちに何かするつもりですか?」
海斗とアリスは警戒している様子を見せるがレクスは大声で笑っている
レクス「そんなに警戒しないでおくれ」
海斗「人の目にもつかない場所に連れてきといて無理な話だろ」
アリス「誘拐するのなら私はあなたを倒す」
レクス「はぁー……単刀直入に言う、ワシがお主らにピッタリな戦い方を教えてやろう」
海斗「何だと? 関わりが全くないのに変な事を言うやつだな」
アリス「……それに何でいきなり戦い方を教えようとするの?」
レクス「……お嬢ちゃん あんたダイナ族だろ?」
海斗「なっ!?」
アリス「…………そうです」
レクス「ならば分かっておるはずじゃ今の嬢ちゃんは実力を完全に引き出せておらぬ」
アリス(この人 もしかして……)
すぐに正体がバレてしまって海斗は焦ってアリスは素直に認めるとレクスが構えをとったのでアリスは察して戦闘態勢に入ったのであった
0
お気に入りに追加
80
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!
菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは
「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。
同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと
アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう
最初の武器は木の棒!?
そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。
何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら
困難に立ち向かっていく。
チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!
異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。
話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい!
****** 完結まで必ず続けます *****
****** 毎日更新もします *****
他サイトへ重複投稿しています!
私の代わりが見つかったから契約破棄ですか……その代わりの人……私の勘が正しければ……結界詐欺師ですよ
Ryo-k
ファンタジー
「リリーナ! 貴様との契約を破棄する!」
結界魔術師リリーナにそう仰るのは、ライオネル・ウォルツ侯爵。
「彼女は結界魔術師1級を所持している。だから貴様はもう不要だ」
とシュナ・ファールと名乗る別の女性を部屋に呼んで宣言する。
リリーナは結界魔術師2級を所持している。
ライオネルの言葉が本当なら確かにすごいことだ。
……本当なら……ね。
※完結まで執筆済み
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
婚約者を奪われて冤罪で追放されたので薬屋を開いたところ、隣国の殿下が常連になりました
今川幸乃
ファンタジー
病気がちな母を持つセシリアは将来母の病気を治せる薬を調合出来るようにと薬の勉強をしていた。
しかし婚約者のクロードは幼馴染のエリエと浮気しており、セシリアが毒を盛ったという冤罪を着せて追放させてしまう。
追放されたセシリアは薬の勉強を続けるために新しい街でセシルと名前を変えて薬屋を開き、そこでこれまでの知識を使って様々な薬を作り、人々に親しまれていく。
さらにたまたまこの国に訪れた隣国の王子エドモンドと出会い、その腕を認められた。
一方、クロードは相思相愛であったエリエと結ばれるが、持病に効く薬を作れるのはセシリアだけだったことに気づき、慌てて彼女を探し始めるのだった。
※医学・薬学関係の記述はすべて妄想です
魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで
ひーにゃん
ファンタジー
誰もが魔力をもち魔法が使える世界で、アンナリーナはその力を持たず皆に厭われていた。
運命の【ギフト授与式】がやってきて、これでまともな暮らしが出来るかと思ったのだが……
与えられたギフトは【ギフト】というよくわからないもの。
だが、そのとき思い出した前世の記憶で【ギフト】の使い方を閃いて。
これは少し歪んだ考え方の持ち主、アンナリーナの一風変わった仲間たちとの日常のお話。
冒険を始めるに至って、第1章はアンナリーナのこれからを書くのに外せません。
よろしくお願いします。
この作品は小説家になろう様にも掲載しています。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる