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第七十九話 追放のマルク
しおりを挟むクシア「それでは海斗今から私の質問に答えてください」
海斗「はい……」
長いクシアの補習が終わり最後の質問が飛んでくる
クシア「ジュエリーナはどのような国でしょうか?」
海斗「主に鉱物等の資源が豊富な国で大きな特徴として四つの古代兵器の一つが眠っている国です」
クシア「正解です、そしてその資源は主にどのような使われ方をしていますか?」
海斗「えーと、プレゼントとかの宝石に使われる事もあるけど殆どは武器だったり軍事用に使われてます」
クシア「正解です、それではカネリア王女を守る騎士の名称とそれについての説明を」
海斗「……騎士の名称がジュエリーナイトでその人達は魔力を宿し豊富な資源によって作られた武器を使って戦う十人の精鋭……ですよね?」
クシア「大体は正解ですね、次はビスト王国についての説明を」
海斗「ビスト王国は九割が獣人で構成されている国です」
クシア「それではビスト王国の王子の名前と他の国との関係を答えなさい」
海斗「王子の名前がレオス王子で俺達が召喚されたアトラス王国と友好的だけどここのソルセリやジュエリーナとはあまり良い関係はなくて仲が悪い……だったはずです」
クシア「概ね合ってます、では何故仲が悪いのでしょうか?」
海斗「それは獣人が人から差別を受けているからです」
クシア「では何故アトラス王国は友好的になれたのでしょうか?」
海斗「それはアトラス王国の王族が獣人も魔族も平等に扱うように国民を指導した結果だからでソルセリやジュエリーナは差別する思想がまだ根強く残っているから」
クシア「完璧です、それでは最後です 何故獣人は差別を受けているのでしょうか?」
海斗「それは昔にアリスと同じダイナ族が人を捕食していてその血を受け継いでいるとされている獣人は関係なく恨まれているから」
クシア「素晴らしいです、段々と良くなってきたと思いますよ」
最初と比べると真面目になった海斗はクシアの補習をしっかりと聞いて覚えもよくなっているのでクシアは驚いている様子を見せる
海斗「はい……それでクシアさんに一つ質問なんですけど」
クシア「何ですか?」
海斗「クシアさんは疲れて眠ってたはずなのに何でもう元気なんですか?」
クシア「それはですね、聖龍ホーリアーに癒してもらったからですよ」
海斗「あの龍にですか、確かに人を癒していたって習ったからクシアは癒してもらったって事か」
クシア「海斗 まだ補習終わりとは言ってませんよ?」
海斗「はい……クシアさん」
クシア「次間違えたら先生と呼んでもらいますからね、それでは補習は終わりです」
海斗(もうないだろ……多分)
圧のある言い方に素直に返事を返して二人はマール達がいる場所へと歩いていく
場所へ辿り着くと話し合いが終わった後なのか各自で話している様子が目に入ったので海斗とクシアはエナ、リナ、カリータの三人を捕まえて色々と話を聞く事にした
エナ「海斗とクシア、もう補習は終わったの?」
海斗「まーね、それで何を話してたの?」
エナ「そうだねー……結果としては様子見って事になったかな」
海斗「というと?」
エナ「そうだねー、まず始めにソルセリの国王がどこかに消えてしまったのは覚えてる?」
海斗「ジックやデストリンガーと繋がってたって話だったよな?」
エナ「そうそう、その王様が怪しくて他の国と国民からはマルク王子が恨まれてて大変な事になってるからそれをどうするかって話をしてた」
海斗「成る程」
カリータ「様子見の理由についてですが もしもソルセリが白だった場合は国王から何かしらの発表があるはずですので」
海斗「……そうなんだね それで様子見っていつまでなの?」
リナ「一応今日でこの国で起こってた事が他の国が知る事になるから今日から三日間は様子見だって」
海斗「それで三日の間に消えた国王が姿を現さないかを見て白か黒かの判断をつけるってこと?」
カリータ「そのようです……ですがカネリア王女が言うには繋がっている可能性が高いそうです」
クシア「やはりそうなりますか……この規模の人間を攫って隠蔽するのは国が関与しているとしか考えられませんからね」
海斗「じゃあ三日が過ぎて何もなかったらどうするの?俺たちはそれまで何をするの?」
エナ「それは今から考えるってマールさんが言ってた、でも海斗とクシアと私はビスト王国に行ってもらうかもしれないって言ってたかな」
クシア「ならこの三日はゆっくり休めると言う事ですね」
色々と大変な事になってしまってはいるがゆっくり休める時間がきたので海斗とクシアは安心しているとルーゼとシドウが間に入ってきて海斗に話しかける
ルーゼ「ゆっくり休む時間などないぞ海斗」
海斗「ルーゼさん!?」
ルーゼ「お前はこの三日間は俺と特訓でエナも異世界の勇者と共に魔法や同化の練度をあげる特訓をするんだ」
海斗「……分かりました でも何を教えるのですか?」
ルーゼ「技を教えてやる、お前はこの学園で魔力の操作は完璧になった そうだろう?シドウ」
着いてきていたシドウに向かってルーゼは圧のある声で話しかける
シドウ「はい……カンナには魔力操作の基本は叩き込んだので完璧です……だよなカンナ?」
普段とは違うシドウの態度にその場にいた全員が驚き困惑していた
海斗「ええと……シドウ先生に教えてもらったので大丈夫なはずです」
シドウ「だそうですよ師匠 私はカンナをきちんと育ててましたよ」
エナ(師匠!? まさかルーゼさんとシドウ先生が知り合いだったなんて)
海斗「ルーゼさん、俺以外にも弟子みたいな人はいたんですね」
ルーゼ「まーな」
海斗「シドウ先生と俺だけなんですか?」
この質問にルーゼは少し間をおいて難しそうな顔をする
ルーゼ「……後一人いたのだがな」
シドウ「師匠……」
ルーゼ「とにかくお前達はもっと強くならないといけないんだ いいな?」
何とも言えない空気が流れたのでその場にいた全員は色々と察するとその空気感じ取ったルーゼは受け流して話を進めるとその場にいた全員が元気よく返事をして今日から三日間は特訓の日々が始まった
海斗は技を教わってルーゼやジュエリーナイトと戦う特訓でエナやクシアは海斗のクラスメイトと共に己の魔法をさらに強化する特訓をし続けた
三日間はあっという間に過ぎ去ってしまったが海斗は新しく手に入れたガレオスの大型のメイスを扱う特訓とルーゼから教わる新たな技を身につける事に成功しエナも同化の練度が上がりクシアも新たに身につけた力の使い方を覚えたのであった
この三日で各々が少し強くなれたのは良かったのだが事態は悪い方向にすすんでしまいカネリアの言う通りソルセリの国王が姿を現す事はなかった
その結果ソルセリの国王もといバスクは各国で敵認定されてしまいその息子であるマルクに処刑を命じる声が国内で多くあがってしまう事態となってしまった
カネリア「やはりソルセリはデストリンガーと繋がりがあったのでしょうか……」
いつもの場所に全員集まって話し合いをしているが今みでとは明らかに違う点が一つあった
それはソルセリで地下に囚われていた国民が一斉に押し寄せてマルクに対しての罵詈雑言を浴びせるという事態になっておりどうしようもない状態となっている
「バスクが姿を現さないならお前が代わりに死ね!!」
「そうだ!!お前の父親のせいで多くの人が自由を失ったんだぞ」
マルク「…………」
海斗「あんたは本当に何も知らなかったんだろ?」
マルク「そうです……だから自分たちなりにジックの事を調べようと色々動いていたんです」
海斗「そうだったのか、ならアトラス王国でクシアに暴力を振るったりしたのも不本意だったって事?」
マルク「……あの時は本当に申し訳ありませんでした ジックの仲間に怪しまれないようにするにはあのような演技をするしかなかったのです……」
王宮での態度とは大きな違いがあるので戸惑う海斗だった、少しの恨みはあれど今の誠実なマルクを見て信じる事にして今までの事を許す事にしたのだ
海斗「まあ……俺はいいけどクシアに後でしっかり謝ってくれたら俺は何も言わないよ(というか記憶を消したんじゃなかったのか?まあいいや)」
マルク「本当に申し訳ありません……」
マルクはすぐにクシアに向かって頭を下げて謝ったのでクシアは戸惑っている
クシア「大丈夫ですよ、あなたはソルセリの王子ですよ 頭をあげてください」
不本意だったことを感じ取ったクシアもマルクを許す事にして前と比べて良い関係とはなったのだがそれだけでは国民の声がおさまるはずもなかった
「そいつを処刑しろ!!」
「長年俺たちを閉じ込めやがって」
「そうよ、死んで償うべきだわ」
マール「説得は……正直難しいとは思うわよ」
マルク「これは仕方のない事です 私がジックやお父様の野望に気付けなかっただけですから」
クシア「そんな……」
マール「あなたは本当にそれでいいの?」
マルク「……はい 私の死が望まれているのです 私が死に他の方にこの国を引っ張ってもらうしか道はないと思います」
海斗「……そうだな そうするしか道はないのかもな」
エナ「海斗……」
斉藤「福田君!!何もそこまでする必要はないはずです まだ誰も血を流さない方法が他に……」
斉藤は慌てて反論するが海斗はやけに落ち着いている
海斗「大丈夫さ 実際には処刑しない」
斉藤「というと?」
海斗「俺たちと同じことをするんだよ 俺とクシアも処刑するフリをして王宮を追い出しただろ?あんな感じさ」
マルク「……しかし上手くいくのでしょうか?」
海斗「俺とクシアのをやった時は幻影魔術を上手く使ってやったんだよね?斉藤さん」
斉藤「……はい ですが国民を騙せるほどの幻影を見せるのは……」
海斗「いーや 最高の適任がいるじゃないか」
海斗はリナを指差して指名する
リナ「私!?」
海斗「リナならやれるはずさ」
リナ「……分かった やってみる」
海斗「よし決まりだな 勝手に話を進めてしまったけどこれでいいですか?」
リナの自信溢れる顔を見た海斗はマルクに向かって問いかける
マルク「……私なんかが生きていてもいいのでしょうか」
海斗「さー……でもあんたが死んで悲しむ人がいるのは事実なんじゃないの?」
その時にマルクの頭には今まで共に学園で魔法を学んできたクラスメイトの顔が思い浮かび生きる希望が湧いてくる
マルク「分かりました、お願いします」
海斗「ならマールさん今から国民の人達に伝えてください」
マール「分かったわ、後のやり方は貴方達に任せるわよ」
マールは海斗達を信じる事にして罵詈雑言を浴びせている国民に向かって三十分後にマルクの処刑をする事を伝えて一人を除いたその他の全員も血を流す事には反対していたので嘘の処刑の準備を始めた
ジュエリーナイトとルーゼで数十mほどの処刑台を即興で作り上げてリナは強いイメージをしているとあっという間に時間がすぎてその時がやってきた
マルクには手枷をはめさせて台に上がらせて後を追うようにして海斗も台にあがっていよいよ処刑が始まろうとしておりマールが演説を始める
演説の内容はソルセリの地下で行われていた事やマルク王子が処刑される事を全国に広める事を伝えマールが過去にこの国で先生をしていた事を理由にして今は代理としてマールがこの国の王をする事を宣言したのである
突然の王の交代に普通は戸惑うはずなのだが誰も否定する事なく納得したようである
そしてその演説を海斗とマルクは上から聞いており海斗が処刑人の役を引き受けたのである
海斗「でも本当に良かったのか?あんたは王子だろ?」
マルク「何を今さら お前が俺に生きる意味を教えてくれたじゃないか 命があるなら今の地位など捨ててやるさ」
海斗「フッ……今のあんたは嫌いじゃないかもな」
マルク「そうかい……そういえば王国の時とは立場が逆になったな」
海斗「全くだ……でもやっぱり記憶消えてなかったのかよ」
マルク「魔力をうまく操作して防いだからね」
海斗「そういう事だったのか……そろそろ黙った方が良さそうだな」
そうするとマルクと海斗は黙り込んでマールの合図があるまで待機する事にする
時間までマルクは命が惜しそうに必死に命乞いを始める
この行為により国民の怒りにさらに火をつける事になってしまい怒りの声が聞こえる中でマールから合図があったので海斗は持っていた剣をマルクの首に向かって振り下ろした
当然のことながら最初から処刑をするつもりはないのでマルクの首が飛ぶ事はないのだが国民の目線では不思議な事にマルクの首が飛んだように見えていた
それはリナの高度な幻影魔術によるものであり国民は全員騙されてしまい事情を知っていたアリスもマルクの首が飛んだ幻影に騙されて涙を流してしまうがルーゼが必死に宥めていた
それらの光景を目にした国民は最初こそは長年の恨みを晴らせた達成感があったのだがその後に何とも言えない喪失感が襲ってきたのだった
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