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第五十九話 競技祭7 強敵

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斉藤「嘘でしょ……」
 Dクラスに見事勝利したEクラスの全員が次の試合のBvsCの戦いを観戦しているが何故か斉藤が一番驚いており信じられないと言った顔をしている

 カンナ「すげー エナ達のクラスが勝ったじゃん」

 リナ「エナさんとシアさんの活躍してたし何よりも異世界の勇者がいないのに勝つなんて本当に凄いよね」

 カリータ「そうですね あのエナさんの魔法は相当なものですよ」

 結果として異世界の勇者がいないCクラスが勝利したので次はAクラスvs敗北したクラスの復活戦を行いそれに勝った一クラスがCとEを含んだ三クラス混合の戦いを行うことになっている

 カンナ「取り敢えず次はCクラスと後のどこかと戦う訳ね」

 リナ「そうだね まだ時間はあるから焦らなくても大丈夫だよ」

 カンナ「そーだよねー……ん?」

 リナと話しているとカンナは謎の違和感を感じとりカンナに何かを感じたリナが話しかける

 リナ「どうしたの?」

 カンナ「(そういう事か)何でもないけどちょっとだけ席を外すよ」

 リナ「分かった 早く戻らないと試合がすぐに終わっちゃうかもよー(トイレかな?)」

 カンナは「分かったー」と一言だけ言い残して観客席から離れていき会場の外へと出る

 外に出たカンナは辺りを見回すとルーゼと黒いマントで顔を隠したもう一人の子供に気付いて駆け寄っていく

 カンナ「ルーゼさんと……アリスじゃん 久しぶり 元気だったか?」

 もう一人の黒いマントの正体はアリスで気が付いたらアリスは無邪気な笑顔で挨拶をする

 アリス「海斗お兄ちゃ……じゃなくてカンナお姉ちゃん!!久しぶりだね」

 カンナ「そうだぞー 私はカンナだぞー」

 アリス「アハハ!!」

 久しぶりに会ったからかアリスはカンナと遊びたそうにしているがルーゼがすかさず間に割って話をする


 ルーゼ「気持ちは分かるが今は抑えてくれ」

 カンナ「はい それで何の様なんですか?」

 ルーゼ「聞きたいことがあってな……この場所についてなんだが」

 カンナ「そこは確か……」

 ルーゼ「そうか」

 ルーゼとカンナの二人は調査に関する事を話しておりアリスは大人しくそれを聞いている

 ルーゼ「俺のほうでも調べてみるから競技祭が終わったらもう一度ここに来るんだ」

 カンナ「……分かりました」

 ルーゼはそう言い残してアリスと共に手を繋いで市街地の方へと歩いて行った

 無邪気に手を振るアリスを笑顔で見送りながらもカンナは色々と考える

 カンナ(ルーゼさんに瘴気の所は任せて良さそうだね その前に競技に集中しないと)

 色々と思うところもあるがまずは目前にある競技祭に集中する事を優先して気持ちを切り替えて会場へと戻っていく

 カンナ「凄い歓声だ……」

 会場は観客の歓声で包まれており圧倒されているとこちらに気付いたリナが話しかけてくる

 リナ「カンナ 遅いよ もう勝負は終わっちゃったよ」

 カンナ「(そんなに長く話してないと思うけど……)そうなんだ それで決着はどうなったの?」
 
 リナ「Aクラスの人達が圧倒的な力の差ですぐに勝負がついちゃった」

 カリータ「そうですね……特に勇者の寺山さんと上野さんは頭ひとつ抜けていると思います」

 リナ「勇者の人達以外もマルク王子を筆頭に全員が強くて統率もバッチリです」

 カンナ「そっか……勝てるのか?(確か寺山は光の魔法が得意だったよな?上野君は分からないけど)」

 話を聞く限りはAクラスが圧勝したようなのでカンナは自信を無くしている

 カリータ「何を言ってるんですか どんな相手でも全力で立ち向かうだけですよ」
 
 リナ「カンナが弱気なのは珍しいかも」

 カンナは苦笑いをした後に一言謝りその様子を見ていたクラスメイト全員が笑っている

 シドウ「笑う余裕があるのはいい事だ 準備はいいか?お前達!!」

 シドウの言葉に全員が元気よく返事を返して次の戦いの為の準備を始める

 次はA C E クラスの三つの陣営に別れて勝利を目指すものでルールは敵が増えた以外はほとんど変わらず長くなる場合は制圧した拠点の数で勝敗が決まることとなっている

 カンナ「よし……行くか」

 リナ「うん」

 クラス全員が覚悟を決めてグランドの中心へ向かっていきその他のクラスも同様にして集合してそれぞれの地点で準備を始めている

 シドウ「次はさっきの戦場よりも激しくなり 一つの判断で勝ち負けが決まる勝負となるだろう」

 カリータ「はい……」

 シドウ「……そんなに自信を無くすな ここにいる全員はカリータを信じているはずだから例え間違った指示でも自信をもて」

 グライス「そうですよカリータさん 責任が大きいのは僕らも一番理解していますから」


 カリータ「そうですね……頼りないリーダーかもしれませんが 私が皆さんを勝利に導きます!!」

 シドウ「その調子だ」

 カリータ「勝ちましょう!!」

 掛け声でクラス全員が一致団結したところで作戦等を話し合う それはどこのクラスも同じようで勝利のために全力で戦う雰囲気が伝わってくる

 そして時間が経ち実況が最終確認をしたところで開戦の鐘が鳴り響き各陣営が勝利を目指して動きだす


 カンナ「さて 私達から仕掛けていきたいけど……」

 リナ「待機だからね」

 カンナ「分かってる それにAクラスに正面から挑んでもそこをCに狙われたりしたら駄目だってのも流石に理解できるよ」

 ゴーレム「…………」

 Eクラスの作戦は斉藤の魔物を含めた三人一組で行動し余程の事がない限りは一人にならず不利な状況になった場合はゴーレムを犠牲にしてでもすぐに撤退し脱落をせず生き残る事を優先している作戦だ

 カンナ「でも2クラス同時に来たらどうするのかな?」

 リナ「それは無いと思う カリータも言ってたけどCクラスも実力が上のAを先に弱らせたいはずだし攻めてくるにしてもAクラスだけなんじゃないかな?」

 カンナ「取り敢えずはAクラス次第といったところか……」

 リナ「うん」

 ゴーレム「………………」

 カンナ「お前はさっきから黙ってて偉いやつだ」

 ゴーレム「そういう事ですのでお願いしますよ」

 カンナはそれぞに配置されている無言のゴーレムを撫でようとすると突然カリータの声でゴーレムが喋り出す

 カンナ「そういや このゴーレムは通信の役割もあるんだったな」

 ゴーレム「前線にいるカンナさんまで届いてるので大丈夫そうですね 何か動きがあれば連絡を」

 カンナ「了解!!リーダー」

 ゴーレム「…………」

 リナ「テストを兼ねての通信だったみたいだね」
 
 ゴーレムからカリータの通信が途絶えてしまいそれ以降は喋らなくなってしまった そしてしばらく見合いが続いたのちにAクラスに動きがあった

 カンナ「始まったか……」

 離れたところで大きな音が鳴り響いている Aクラスが先にCに先制攻撃を仕掛けたようでありこれをきっかけにしてEも動きだす

 リナ「こっちには来なかったらみたいだね」

 カンナ「この場合は確か……」

 ゴーレム「パターンC 前衛部隊は突撃しCとAと乱戦しつつAクラスの戦力を少しでも削って下さい こちらからも遠距離で攻撃します」

 カンナ「突撃のようだね リナ!!行くよ」

 リナ「うん!!」

 リナは返事をしてカンナと共に戦場へと走っていきEクラスのその他四組の舞台も同様に各陣営が入り乱れる戦場へ突入していく

 カンナ「派手にやってるみたいだね」

 リナ「うん……私達は皆に状況報告する事を優先なのを忘れないでよ」

 カンナ「分かってる 見た感じだとAの勇者は一人もいないみたいだよ 後ろの方にはそう報告してくれる?私が守るから」

 リナ「そうみたいね……頼んだよ」

 混乱する戦場のなかカンナはリナを守るために立ちはだかり飛んでくる攻撃を迎撃している間にリナは後衛の方へ報告をする


 リナ「Aクラスの勇者はこちらにはいません どうしますか?カリータさん」

 ゴーレム「了解しました では作戦通りCクラスを上手く利用し前線を押し上げてください こちらに何かあればまた連絡します 無闇に戦わずに力を温存する形でお願いします」
 

 リナ「了解!! カンナ 聞いてた?」
 
 カンナ「しっかり聞いてたよ」

 二人はゴーレムを盾にしてAクラスを中心に遠距離攻撃を行うがその様子を見ていた人物が一人

 サブナック「カンナとリナじゃないか」

 同じゼミに所属しAクラスにいるサブナックと鉢合わせし二人共戦闘態勢にはいる

 カンナ「ナックのやつがいるなんてな」

 リナ「どうするの? 簡単に倒せる相手じゃないとは思うけど」
 
 カンナ「ナックの防御が凄いのは私達が一番知ってるでしょ?」

 リナ「そうだよね……でも無茶はしないでよ 私達にはやる作戦があるんだから」

 カンナ「分かってる」

 カンナは一言だけ言うとサブナックに向かって突っ込んでいく

 それを見たサブナックは杖を持って呪文を唱えると目の前に大きな光の膜ができてAクラス全員を包み込む

 サブナック「カンナの姉貴には近づかないようにするんだ!! なるべく距離をとって戦うんだ」

 防壁を展開したサブナックはクラスメイトに呼びかけると全員が連携をとってカンナに遠距離からの集中砲火をあびせるがカンナは縦横無尽に回避して防壁の近くに行く

 カンナ「(魔力を込めて)魔導 発勁!!」

 手のひらに魔力を纏わせてサブナックが貼っている防壁に攻撃すると

 カンナ「ぬっ!? 流石に硬いな」

 防壁には少しだけひびが入る程度で壊れそうにはなくカンナめがけてあらゆる魔法が飛んでくる

 カンナ「うぁっ!? 少しあたっちゃった……やるなナック」

 サブナック「姉貴のほうが鈍ってるんじゃないんですかい?(おそらく魔力を温存して戦ってるな)」

 カンナ「言ってくれるじゃないか」

 少しだけ攻撃を受けたカンナは後ろに下がってリナと合流する

 カンナ「やっぱり駄目だったか」

 リナ「いや ひびをいれただけでも充分だと思うから後は……」

 そう言うとリナはサブナック達がいるAクラスとは反対方向であるCクラスの方向を見つめ

 カンナ「そうだね Cクラスの人達に伝えて何とかしてあの防御を突破しないとな」

 リナ「うん……信じてくれるか分からないけどね」
 
 カンナ「利害は一致しているはずだから多分大丈夫だとは思うけど……賭けなのは確かだな」

 リナ「行こうか」

 リナとカンナはゴーレムで身を守りながらCクラスの方へと逃げ込んで行ったのだった
 
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