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第十四話 盗賊退治

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 大声が響いたかと思うと馬車が止まってしまい運転していたジルクが血相を変えて冒険者に助けを求めてきた

 ジルク「と、盗賊が出ましたーー 」
 盗賊という野蛮な人達がいる事に海斗は驚いていたが今の状態では何もできない

 エナ「……まさか出番が来るなんて思ってなかったけど」

 マッシュ「そのための俺たちでしょ?」

 ミラ「そーね とにかく怪我人と運転手は下がってて」

 クシア「ジルクさんお願いします!!」

 三人の冒険者は覚悟を決め外に向かいクシアも海斗をジルクに預けて三人の後を追うように外にでていく

 海斗、アスフェア、ジルクの三人は外の状況が分からないので空いているまどの隙間から外を覗くと盗賊は全部で八人で馬車の通路を塞ぐように並んで立っている

 盗賊a「チッ 護衛がいたのか」
 盗賊b「中にいるのは予想外だったが 女三人に男が一人だけか」
 盗賊c「ガキ共はとっとと帰りな」

 黒い服をまとった盗賊は太い声で笑いこちらを、見下している

 マッシュ「好きにやらせるかよ」

 ミラ「あんた達もこんな事やってないで帰ったらどうなの?」

 盗賊a「ガキが……数はこっちが上だ!!やっちまえー」
 
 ミラの言う事に短気な盗賊は腹をたてたのかこちらに向かって突撃してくる

 エナ「ミラったら…… とにかく私とクシアで援護するからマッシュとミラは前衛をお願い」

 エナが指示を出すと全員が元気よく返事をして指示通りに動く

 クシア「ミラさんマッシュさん 私がバフを掛けます これで少しは戦いやすくなるはずです」

 クシアはに補助魔法をかけると前線の二人はお礼を言って盗賊達の方へと向かっていく

 剣を持っている前線の二人は声を上げて盗賊達に斬りかかる

 盗賊a「こいつ……ガキのくせに……ぐうっ」

 クシアの補助魔法で大きくパワーアップしたマッシュは一人の盗賊を倒す事に成功する

 しかし一人倒れた程度で怯むような盗賊ではなく次々と襲いかかってくる

 ジルク「あの人数で大丈夫なのでしょうか……」
 アスフェア「……大丈夫に決まってるでしょ」

 海斗「大丈夫だ、あいつらはいい連携が取れてるから…………それに」
 
 アスフェアとジルクが不安そうに四人の戦いを見つめているが海斗は自信満々にしている

 ジルク「それに?」
 まだ他に何か言いたそうな海斗にジルクが聞き返すと

 盗賊「一人やったくらいで調子に乗るなよ 男は殺して女は生け捕りだからな 覚悟してやがれ!!」

 海斗「大体あんなセリフを吐くやつの殆どがやられ役なんだよ」

 アスフェア「あんた何言ってるのよ」

 海斗はドヤ顔で説明するがアスフェアとジルクは意味が分からなかったので無視することにした

 その一方で冒険者は盗賊を次々と倒して追い込んでいた

 エナ「ミラ、マッシュ下がって!!」

 エナの指示に二人は従い後ろに飛んで固まっている盗賊に目掛けて手を出して呪文を唱える

 エナ「ボルトスパーク!!」

 エナが呪文を唱えると固まっていた盗賊達全員が電撃を浴びて力尽きる

 敵が倒れたのを確認すると戦った冒険者は集まって喜んでいる

 マッシュ「クシアさんの魔法すごいですね あんなに速く動けるなんて本当にブロンズランクなのですか?」

 ミラ「エナも流石だね まとめて倒せるように誘導していたってことなの?」

 二人共前線の二人に褒められて満更でもなさそうにしているが

 アスフェア「ふぅ―何とかなって良かったわ……」
 ジルク「……あれを見てください」

 海斗はジルクがエナの後ろを指差しているのでそれを見るとまだ倒れていなかった盗賊が立ち上がってエナに剣を振り下ろそうとしておりそれに誰も気付いていないようだった

 海斗「これを使えば……ジルクさん俺を外にだして こいつを投げます」
 ジルク「それは……でも仕方ないですな」

 海斗は積荷の中にあった石を手に取る、ジルクは積荷が犠牲になるのは避けたかったが今は迷っている場合ではなさそうなので許可して海斗を外に運びだす

 アスフェア「大丈夫なの?」

 外に出た海斗は大きく振りかぶり大きめの石を盗賊向かって投げつける

 投げた石は超スピードで飛んでいき見事に盗賊に命中すると石が当たった盗賊は情けない声を上げて倒れる

 突然のことにエナは理解が追いつかないでいたが盗賊にやられるところを海斗が助けてくれたのは理解できた

 エナ「海斗……ありがとう」
 クシア「まさか倒れてない盗賊がいたとは……」

 マッシュ「油断してたな……」
 ミラ「でもあいつ凄いわね 流石エナの幼馴染じゃん」

 エナ「ああっ……うん、そうだね」

 クシアと話し合って幼馴染という事にしていた事を忘れていたので内心焦ってしまうが一呼吸おいて落ち着きを取り戻す

 ジルク「しかし……大切な積荷が……」

 ジルクは盗賊のそばまで駆け寄り海斗が投げた積荷を見ている

 海斗が投げた積荷はピンク色の可愛らしい石でハートの形で原型は保っているのだが衝撃で中心に亀裂がはしってしまっている

 海斗「あちゃー……なんか失恋した人の心情を表してるみたいになったな」

 アスフェア「これは海斗が責任とらないといけないんじゃないの? 持ち主から「恋人ができない」って文句がくるわよ」

 ジルク「一大事だったとはいえこれはどうやって弁明したらいいのか……」

 海斗「着いたらこのハートの持ち主に俺が謝りにいきます」

 ジルク「そうですな 命には変えられませんからね」

 アスフェア「謝って済めばいいんだけどね……」

 そもそも盗賊が襲って来たのが悪いと考えている海斗は理由を話して謝れば分かってくれると思っているようで余裕そうにしている

 ジルク「それにしても海斗殿は凄いですなこんなに重たい物を片手で投げれるとはもの凄い怪力の持ち主ですな」

 ジルクはハート型のいし両手で抱えて重そうにしているので海斗は「鍛えてますから」と謙遜し片手で登って馬車に乗り込む

 この時ジルクは海斗のことをただの一般人ではないと感じていたが深くは聞かずに納得するふりをして馬車に乗り込んだ
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