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第五話 謎の乱入者

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 全ての魔物を倒して帰れるかと思いきや新たな敵が現れて皆の前に立ちはだかる

海斗「おいまだ生き残りがいたのか」

亜紀「そうみたいね、速く倒してしまいましょ」

海斗「あきの言うとおりだな、行くぞっ」

 自信をつけ調子に乗った二人は早く倒そうと狼に突っ込んでいく

 薗田「クシアさんあの魔物は一体……」

 クシア 「あの見た目は...そんな嘘でしょ...」
 クシアは「信じられない!!」と言わんばかりの表情で震えながら魔物のことを説明する

 クシア「あの獣はフェンリルといって上位種の魔物です……本来なら魔族領に生息しているはずなのに」

 山下「それって...強いってことですか?」

 クシア「そうです 少なくとも今の私達で勝てる可能性は低いかと……」

 工藤「そんな、なら早くあの二人に伝えないと!!」
 工藤が必死に呼びかけるが彼女の声は二人に届いていない
 海斗「何か言ってる?」
 亜紀「さっきの狼とそんなに変わらないから大丈夫でしょ 私達で倒すよ」
 魔物の知識に乏しかった二人は違いが分からずに攻撃を仕掛けようとする

 こちらに気付いたフェンリルはこっちを向くと口から光線を放ってくる、二人共ギリギリで光線をかわすが後ろのいる人達に攻撃が飛んでいく

 後ろの四人は結界を展開しなんとか攻撃を防ぐが一番前にいたクシアが膝をついている
 
 海斗 「こいつはさっきの奴らとは全然……」
 考える暇もなくフェンリルは海斗と亜紀の二人をおいて後ろの人達を狙いにいく

 海斗「これじゃ追いつけない」
 亜紀「私が……」

 向かってくるフェンリルに皆攻撃をするが全て回避されて段々と距離を縮められ
 山下「こっちに来ないで!!あっちにいってよ」
 
 ゼロ距離まで詰められ鋭い爪が山下を切り裂こうとする直前に亜紀がギリギリで受け止める

 亜紀「皆、はやく下がってここは私が」

 山下「ありがとう……でもそいつ強い魔物で倒せないってクシアさんが……」

 亜紀「そんな……」
 泣きそうな顔で訴える山下に亜紀は返す言葉が見つからずフェンリルの攻撃を受け止め続けていると

 海斗「おらーーっ!!」
 後からきた海斗がフェンリルに攻撃をするが大振りの攻撃は避けられて大きく距離を取り一定の間合いを保っている

 海斗「亜紀しかあいつに対抗できないかもしれないな」
 
 亜紀「でも私一人じゃ無理だと思う……」
 
 海斗「……それなら亜紀と薗田が上手く連携して倒すしかないだろ」
 薗田「気を引くだけならできるかもしれないけど……攻撃までは」
 
 工藤「クシアさん……どうにかできないのですか?」
 クシア「ごめんなさい……私は倒せるほどの戦う力はありません……ですが」
 
 クシアは亜紀と薗田に向かって手をかざし呪文を唱える
 亜紀「凄い これならもっと速く動けそう」
 
 クシア「私は支援する魔法と防御に関する魔法が得意分野です 亜紀様と薗田様には素早さと攻撃力を底上げする魔法をかけました……申し訳ないですが攻撃はお願いします……」
 

 薗田「任せてください 行くよ橋本さん」
 亜紀「こんなとこでやられる訳にはいかないからね……」
 クシアが与えたバフによって強くなった二人はフェンリルへと立ち向かって行く

 二人ともさっきとは比べものにならないほど強くなっていて海斗は二人の戦いをただ見ることしかできなかったので

 海斗「クシアさん!!俺にもその魔法をかけてください」
 
 クシア「そうしたいのですが海斗様にまでバフをかけると効果が短くなってしまいます……ですので二人が作った隙を自力で……」
 
 ビオン――
 亜紀と薗田が戦い距離が離れたタイミングでまた謎の音が鳴り三体のオーガ上から降ってきて海斗達の前に立ちはだかる
 
 亜紀「また 増えたの?」
 薗田「助けたいけどこっちは二人で精一杯だよ……」
 亜紀「……皆を信じるしかないみたいね……」
 
 薗田「僕達が早くトドメを刺そう」
 二人とも助けに行きたい気持ちがあったが皆を信じてフェンリルを倒すことに集中することにした

 海斗「こいつなら俺でも戦える」
 
 海斗は一撃で倒せると思い大剣を持ちオーガに斬りかかるが先程戦ったオーガと違って大きな剣を持っており攻撃を防がれてしまう
 
 海斗「さっきのようにはいかないな……でも俺がやるしかない」
 工藤「福田君!!私の魔法を受け取って」
 前に出てきた工藤は海斗に強化魔法をかける

 工藤「クシアさんみたいに強力じゃなくてごめん……」
 
 海斗「ありがとう 十分にパワーアップできてるよ……さっさと倒してあいつらの加勢に行かないとね」
 
 工藤「そうだね……でも無理しないで 山下ちゃんがクシアさんを守りながら援護してくれるから」
 
 海斗「クシアさんを守らないと前の二人が戦えなくなるからかだね……工藤さんも危なくなったら離れるんだよ」
 工藤「うん……私にはこれしかできないから頑張って……」
 
 海斗は後ろの山下に向かって「援護頼んだ!!」と言い三体のオーガに突っ込んでいく
 クシア「皆さんごめんなさい……私が不甲斐ないばかりに……」
 
 山下「そんな事ありません!!」
 皆を危険な状況に合わせてしまった不甲斐なさから自分を責めるクシアだが山下が大きな声で否定する
 

 クシア「私を信じてくれるのですか……?」
 山下「クシアさんが私達を信頼しているのは皆が知ってます だから……」
 クシア「ありがとうございます……全員無事に生還させます!!」

 工藤の強化魔法と山下の援護によって少し苦戦しつつも何とか全てのオーガを倒した海斗は亜紀と薗田の元へと向かう

 クシア「皆さん後少し……です」
 海斗「クシアさんの限界が近い……急がないと」
 向かっている途中でフェンリルに吹っ飛ばされた薗田が飛んできたので海斗は受け止める

 海斗「薗田!!大丈夫なのか?」
 傷付いているが致命傷はなくギリギリの戦いをしていることが伝わってくるがとても疲弊しているようだ
 薗田「それよりも速く……今は橋本さん一人で」
 薗田の言葉に頷いて足を進める

 亜紀「よくも薗田君を!!」
 その間亜紀は一人でフェンリルと戦っていたが二人掛かりで少し優勢だったので一人になれば押されてしまうのは当然である
 
 亜紀「何て速さと攻撃力なの……全く隙がない」
 何とか戦えているが有効打は与えられず 戦いによってできた穴で亜紀は足をつまづいてしまって体勢を崩してしまう
 
 亜紀「うわあっ!?」
 フェンリルはその隙を逃さずに亜紀を噛み砕こうと鋭い牙を突き出し接近する
 亜紀「嫌だ……こんなところで」
 
 フェンリルの鋭い牙を前に最後まで抵抗しようとするが亜紀は動きが遅く見えていて走馬灯を見ていた
 亜紀(これが噂にきく走馬灯……私死ぬのかな……嫌だなー死にたくないよ……)
 
 亜紀は中学時代の走馬灯を見る これは陸上で三年生最後の大会で自分が一番大事な場面で足をつまづいて負けてしまった瞬間である
 

 亜紀(そんな事もあったわね……何で今思い出すの……確かあの時は一日中泣いたのを覚えてる……そして応援にきてたあいつにずっと慰められてたっけ? ……最後くらいあいつに……)
 亜紀はそんな事を思いながらゆっくりと目を瞑り死を覚悟する
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