5 / 108
第五話 謎の乱入者
しおりを挟む全ての魔物を倒して帰れるかと思いきや新たな敵が現れて皆の前に立ちはだかる
海斗「おいまだ生き残りがいたのか」
亜紀「そうみたいね、速く倒してしまいましょ」
海斗「あきの言うとおりだな、行くぞっ」
自信をつけ調子に乗った二人は早く倒そうと狼に突っ込んでいく
薗田「クシアさんあの魔物は一体……」
クシア 「あの見た目は...そんな嘘でしょ...」
クシアは「信じられない!!」と言わんばかりの表情で震えながら魔物のことを説明する
クシア「あの獣はフェンリルといって上位種の魔物です……本来なら魔族領に生息しているはずなのに」
山下「それって...強いってことですか?」
クシア「そうです 少なくとも今の私達で勝てる可能性は低いかと……」
工藤「そんな、なら早くあの二人に伝えないと!!」
工藤が必死に呼びかけるが彼女の声は二人に届いていない
海斗「何か言ってる?」
亜紀「さっきの狼とそんなに変わらないから大丈夫でしょ 私達で倒すよ」
魔物の知識に乏しかった二人は違いが分からずに攻撃を仕掛けようとする
こちらに気付いたフェンリルはこっちを向くと口から光線を放ってくる、二人共ギリギリで光線をかわすが後ろのいる人達に攻撃が飛んでいく
後ろの四人は結界を展開しなんとか攻撃を防ぐが一番前にいたクシアが膝をついている
海斗 「こいつはさっきの奴らとは全然……」
考える暇もなくフェンリルは海斗と亜紀の二人をおいて後ろの人達を狙いにいく
海斗「これじゃ追いつけない」
亜紀「私が……」
向かってくるフェンリルに皆攻撃をするが全て回避されて段々と距離を縮められ
山下「こっちに来ないで!!あっちにいってよ」
ゼロ距離まで詰められ鋭い爪が山下を切り裂こうとする直前に亜紀がギリギリで受け止める
亜紀「皆、はやく下がってここは私が」
山下「ありがとう……でもそいつ強い魔物で倒せないってクシアさんが……」
亜紀「そんな……」
泣きそうな顔で訴える山下に亜紀は返す言葉が見つからずフェンリルの攻撃を受け止め続けていると
海斗「おらーーっ!!」
後からきた海斗がフェンリルに攻撃をするが大振りの攻撃は避けられて大きく距離を取り一定の間合いを保っている
海斗「亜紀しかあいつに対抗できないかもしれないな」
亜紀「でも私一人じゃ無理だと思う……」
海斗「……それなら亜紀と薗田が上手く連携して倒すしかないだろ」
薗田「気を引くだけならできるかもしれないけど……攻撃までは」
工藤「クシアさん……どうにかできないのですか?」
クシア「ごめんなさい……私は倒せるほどの戦う力はありません……ですが」
クシアは亜紀と薗田に向かって手をかざし呪文を唱える
亜紀「凄い これならもっと速く動けそう」
クシア「私は支援する魔法と防御に関する魔法が得意分野です 亜紀様と薗田様には素早さと攻撃力を底上げする魔法をかけました……申し訳ないですが攻撃はお願いします……」
薗田「任せてください 行くよ橋本さん」
亜紀「こんなとこでやられる訳にはいかないからね……」
クシアが与えたバフによって強くなった二人はフェンリルへと立ち向かって行く
二人ともさっきとは比べものにならないほど強くなっていて海斗は二人の戦いをただ見ることしかできなかったので
海斗「クシアさん!!俺にもその魔法をかけてください」
クシア「そうしたいのですが海斗様にまでバフをかけると効果が短くなってしまいます……ですので二人が作った隙を自力で……」
ビオン――
亜紀と薗田が戦い距離が離れたタイミングでまた謎の音が鳴り三体のオーガ上から降ってきて海斗達の前に立ちはだかる
亜紀「また 増えたの?」
薗田「助けたいけどこっちは二人で精一杯だよ……」
亜紀「……皆を信じるしかないみたいね……」
薗田「僕達が早くトドメを刺そう」
二人とも助けに行きたい気持ちがあったが皆を信じてフェンリルを倒すことに集中することにした
海斗「こいつなら俺でも戦える」
海斗は一撃で倒せると思い大剣を持ちオーガに斬りかかるが先程戦ったオーガと違って大きな剣を持っており攻撃を防がれてしまう
海斗「さっきのようにはいかないな……でも俺がやるしかない」
工藤「福田君!!私の魔法を受け取って」
前に出てきた工藤は海斗に強化魔法をかける
工藤「クシアさんみたいに強力じゃなくてごめん……」
海斗「ありがとう 十分にパワーアップできてるよ……さっさと倒してあいつらの加勢に行かないとね」
工藤「そうだね……でも無理しないで 山下ちゃんがクシアさんを守りながら援護してくれるから」
海斗「クシアさんを守らないと前の二人が戦えなくなるからかだね……工藤さんも危なくなったら離れるんだよ」
工藤「うん……私にはこれしかできないから頑張って……」
海斗は後ろの山下に向かって「援護頼んだ!!」と言い三体のオーガに突っ込んでいく
クシア「皆さんごめんなさい……私が不甲斐ないばかりに……」
山下「そんな事ありません!!」
皆を危険な状況に合わせてしまった不甲斐なさから自分を責めるクシアだが山下が大きな声で否定する
クシア「私を信じてくれるのですか……?」
山下「クシアさんが私達を信頼しているのは皆が知ってます だから……」
クシア「ありがとうございます……全員無事に生還させます!!」
工藤の強化魔法と山下の援護によって少し苦戦しつつも何とか全てのオーガを倒した海斗は亜紀と薗田の元へと向かう
クシア「皆さん後少し……です」
海斗「クシアさんの限界が近い……急がないと」
向かっている途中でフェンリルに吹っ飛ばされた薗田が飛んできたので海斗は受け止める
海斗「薗田!!大丈夫なのか?」
傷付いているが致命傷はなくギリギリの戦いをしていることが伝わってくるがとても疲弊しているようだ
薗田「それよりも速く……今は橋本さん一人で」
薗田の言葉に頷いて足を進める
亜紀「よくも薗田君を!!」
その間亜紀は一人でフェンリルと戦っていたが二人掛かりで少し優勢だったので一人になれば押されてしまうのは当然である
亜紀「何て速さと攻撃力なの……全く隙がない」
何とか戦えているが有効打は与えられず 戦いによってできた穴で亜紀は足をつまづいてしまって体勢を崩してしまう
亜紀「うわあっ!?」
フェンリルはその隙を逃さずに亜紀を噛み砕こうと鋭い牙を突き出し接近する
亜紀「嫌だ……こんなところで」
フェンリルの鋭い牙を前に最後まで抵抗しようとするが亜紀は動きが遅く見えていて走馬灯を見ていた
亜紀(これが噂にきく走馬灯……私死ぬのかな……嫌だなー死にたくないよ……)
亜紀は中学時代の走馬灯を見る これは陸上で三年生最後の大会で自分が一番大事な場面で足をつまづいて負けてしまった瞬間である
亜紀(そんな事もあったわね……何で今思い出すの……確かあの時は一日中泣いたのを覚えてる……そして応援にきてたあいつにずっと慰められてたっけ? ……最後くらいあいつに……)
亜紀はそんな事を思いながらゆっくりと目を瞑り死を覚悟する
0
お気に入りに追加
80
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
私の代わりが見つかったから契約破棄ですか……その代わりの人……私の勘が正しければ……結界詐欺師ですよ
Ryo-k
ファンタジー
「リリーナ! 貴様との契約を破棄する!」
結界魔術師リリーナにそう仰るのは、ライオネル・ウォルツ侯爵。
「彼女は結界魔術師1級を所持している。だから貴様はもう不要だ」
とシュナ・ファールと名乗る別の女性を部屋に呼んで宣言する。
リリーナは結界魔術師2級を所持している。
ライオネルの言葉が本当なら確かにすごいことだ。
……本当なら……ね。
※完結まで執筆済み
放置された公爵令嬢が幸せになるまで
こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。
幼馴染み達が寝取られたが,別にどうでもいい。
みっちゃん
ファンタジー
私達は勇者様と結婚するわ!
そう言われたのが1年後に再会した幼馴染みと義姉と義妹だった。
「.....そうか,じゃあ婚約破棄は俺から両親達にいってくるよ。」
そう言って俺は彼女達と別れた。
しかし彼女達は知らない自分達が魅了にかかっていることを、主人公がそれに気づいていることも,そして,最初っから主人公は自分達をあまり好いていないことも。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
婚約者を奪われて冤罪で追放されたので薬屋を開いたところ、隣国の殿下が常連になりました
今川幸乃
ファンタジー
病気がちな母を持つセシリアは将来母の病気を治せる薬を調合出来るようにと薬の勉強をしていた。
しかし婚約者のクロードは幼馴染のエリエと浮気しており、セシリアが毒を盛ったという冤罪を着せて追放させてしまう。
追放されたセシリアは薬の勉強を続けるために新しい街でセシルと名前を変えて薬屋を開き、そこでこれまでの知識を使って様々な薬を作り、人々に親しまれていく。
さらにたまたまこの国に訪れた隣国の王子エドモンドと出会い、その腕を認められた。
一方、クロードは相思相愛であったエリエと結ばれるが、持病に効く薬を作れるのはセシリアだけだったことに気づき、慌てて彼女を探し始めるのだった。
※医学・薬学関係の記述はすべて妄想です
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで
ひーにゃん
ファンタジー
誰もが魔力をもち魔法が使える世界で、アンナリーナはその力を持たず皆に厭われていた。
運命の【ギフト授与式】がやってきて、これでまともな暮らしが出来るかと思ったのだが……
与えられたギフトは【ギフト】というよくわからないもの。
だが、そのとき思い出した前世の記憶で【ギフト】の使い方を閃いて。
これは少し歪んだ考え方の持ち主、アンナリーナの一風変わった仲間たちとの日常のお話。
冒険を始めるに至って、第1章はアンナリーナのこれからを書くのに外せません。
よろしくお願いします。
この作品は小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる