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第七章 オオルリの恩返しと美味しいもの探し
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ツツジがあげてくれたメニューについては、ざっと事前に調べていた。
「まずは『具雑煮』から食べてみたいです」
「了解! 店員さんー!」
ツツジがぴんと手を上げて声をかける。小さな体からは想像もつかない良く通る声。
それを受けて、オーダー表を片手に女性がこちらにやって来た。私はメニュー表を指差しながら、
「具雑煮を二つお願いします」
「ご飯の後に、寒ざらしも二つー」
私の言葉に続けてツツジが付け加えると店員はにこりと笑顔になる。
「ありがとうございます」
オーダーを一通り繰り返し、机の上のメニューをツツジから受け取ると、店員は厨房へと消えてゆく。
それを見送り店内を見回すと、食事の時間には少し早いからか、他の客はまばらだった。
「お雑煮って、お正月に食べるイメージでしたけど、島原だと一年中食べられる郷土料理なんですね」
「由来についてはー?」
ツツジがちらりとこちらに目を向ける。
「簡単にですけど、調べて来ました」
私の答えに、ツツジは、そうかー、とだけ返した。
具雑煮は江戸時代初期に起こった『島原の乱』で、籠城の際の兵食として生まれたといわれている。
「今は、ただの美味しいお雑煮だけどね」
ツツジが目を細める。その目に何が見えているのか、ほんの少しだけ不思議に思った。
「あ! 来たよー」
しばらく待つと、お盆に小振りな土鍋を乗せて、店員がやってきた。
私とツツジ、それぞれの前に置き、朱塗りの箸とレンゲを添える。
そのまま、蓋を開けてくれた。
ふわりと出汁の香りが、湯気と共に立ち上る。
「写真で見てはいたんですが、本当に具沢山ですね!」
土鍋には、澄んだ色のお出汁の中、所狭しと具が詰まっていた。
まあるいお餅、鶏肉、白菜、人参、ごぼう、椎茸、高野豆腐。
「食べ応えがありそうです」
「うん、なのに、意外とカロリーは低めなんだよ~」
まずは、レンゲでお出汁を一掬い。昆布や椎茸、それにかつお節やお醤油の香り、そこにみりんの甘みがちょっぴり。熱々のまま口に広がる。
「おいしい!」
「そうでしょう!」
ツツジが嬉しそうに、湯気の向こうで笑う。
私は大きく頷いて、他の具材も一つ一つ味わっていく。
お餅はとろっと柔らかいし、ごぼうの歯応えも良い、噛むとお出汁がじゅわっと広がる高野豆腐に、しっかりとした旨味のある鶏肉。
白菜は溶けるくらいに柔らかい。
最初は食べ切れるだろうかと心配していたのに、気がついたら、すっかり土鍋の中は空っぽだった。
「まずは『具雑煮』から食べてみたいです」
「了解! 店員さんー!」
ツツジがぴんと手を上げて声をかける。小さな体からは想像もつかない良く通る声。
それを受けて、オーダー表を片手に女性がこちらにやって来た。私はメニュー表を指差しながら、
「具雑煮を二つお願いします」
「ご飯の後に、寒ざらしも二つー」
私の言葉に続けてツツジが付け加えると店員はにこりと笑顔になる。
「ありがとうございます」
オーダーを一通り繰り返し、机の上のメニューをツツジから受け取ると、店員は厨房へと消えてゆく。
それを見送り店内を見回すと、食事の時間には少し早いからか、他の客はまばらだった。
「お雑煮って、お正月に食べるイメージでしたけど、島原だと一年中食べられる郷土料理なんですね」
「由来についてはー?」
ツツジがちらりとこちらに目を向ける。
「簡単にですけど、調べて来ました」
私の答えに、ツツジは、そうかー、とだけ返した。
具雑煮は江戸時代初期に起こった『島原の乱』で、籠城の際の兵食として生まれたといわれている。
「今は、ただの美味しいお雑煮だけどね」
ツツジが目を細める。その目に何が見えているのか、ほんの少しだけ不思議に思った。
「あ! 来たよー」
しばらく待つと、お盆に小振りな土鍋を乗せて、店員がやってきた。
私とツツジ、それぞれの前に置き、朱塗りの箸とレンゲを添える。
そのまま、蓋を開けてくれた。
ふわりと出汁の香りが、湯気と共に立ち上る。
「写真で見てはいたんですが、本当に具沢山ですね!」
土鍋には、澄んだ色のお出汁の中、所狭しと具が詰まっていた。
まあるいお餅、鶏肉、白菜、人参、ごぼう、椎茸、高野豆腐。
「食べ応えがありそうです」
「うん、なのに、意外とカロリーは低めなんだよ~」
まずは、レンゲでお出汁を一掬い。昆布や椎茸、それにかつお節やお醤油の香り、そこにみりんの甘みがちょっぴり。熱々のまま口に広がる。
「おいしい!」
「そうでしょう!」
ツツジが嬉しそうに、湯気の向こうで笑う。
私は大きく頷いて、他の具材も一つ一つ味わっていく。
お餅はとろっと柔らかいし、ごぼうの歯応えも良い、噛むとお出汁がじゅわっと広がる高野豆腐に、しっかりとした旨味のある鶏肉。
白菜は溶けるくらいに柔らかい。
最初は食べ切れるだろうかと心配していたのに、気がついたら、すっかり土鍋の中は空っぽだった。
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