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「3」 ムスタカス家の子息

(24) 王太子の気持ち

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王太子は、ギリギリと歯を食い縛る。こいつに、私の何が分かるというのだ。分かる訳が無い。


「私が出会った時、ミリは12歳であった。その幼い少女に、心を奪われたのだ!」


あの時、彼はモンスター退治を陣頭指揮する為に都から出て戦っていた隊と合流したのだ。



『お目にかかれて光栄です、王太子様。サンリク伯爵家のミリエネッタでございます。』



初めて顔を合わせた印象は、美しくも無いし可愛くも無い子供だと思った。反対に隊長を呼んで子供を入れるなと叱りつけた程だ。


「ただの子供だと。それが、モンスター相手に顔色も変えず髪さえ乱さずに家一軒はあると思えた凶暴なモンスターをブツ切りにしてくれたのだ。恐ろしい魔法使いだった。」


その魔力の凄さだけで震えが走った。これまで、こんな風に感じた事など無い。魔力の波動が皮膚を抜けて血管に入り心臓を揺るがす。恐怖さえ感じさせられた。

だが、それが終わってしまうと求めてしまう人間の欲深さ。また、味わいたい。震わせて欲しいと餓える。


「私は、欲しいと考えたのだ。自分だけの物にしたい。それから、彼女を手に入れる事だけをしてきた。邪魔する者は排除してやる。いいな!」


恐ろしい気迫であった。イーグルは、圧倒されて声が出ない。貴方、本気なんだね。


(いや、マジかよ。どうするよ?)


それは、自分自身への問いだった。本気でミリエネッタ令嬢を追いかけたなら、命を掛けて王太子と争わなくてはならないからだ。

あんな、「のっぺらぼう」で胸ナシの凹凸の無い身体の令嬢を?そんな価値があるのか、疑問だ!

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