(完) ミリエネッタお嬢様の周りは変な人ばかり

「2書」 ミリエネッタ令嬢という女の子は

(17) 我が家の神様は

突然の娘の帰宅。エバンス伯爵家は大慌て。それも、サンリク伯爵家の執事を伴って。

サンリク伯爵家の執事は綺麗な若い男だ。それも、歌手か何かのように派手なフリルやレースの付いたデザイン制服。これが、見惚れるほどに似合ってる。


「マルグリット、執事を連れて来たのは理由があるのか？(こっそりの帰宅ができないのか)」


おかげで、対面を整える為に敗れた服を着替えなくてはならなかった。コムは、身分の高い貴族の召使いらしく仰々しい挨拶をする。


「初めてお目にかかります。失礼ですが、私は執事では有りません。見習い執事です。今日は、お嬢様との婚約のご挨拶に伺いました。」


エバンス伯爵は、借金地獄から逃れられる嬉しさに卒倒。医者を呼んだりと騒動。

父親を介抱していたマルグリットは、気がついた。コムが居ない。どこへ行ったのだろう。コムは、1人で屋敷の奥に居た。


「では、始めるといたしましょう。♪迷子の迷子の金無しお師匠さん。何処で何をしているのかな？」

「おい、その歌は何だ？わしは、仕事をしているのだぞ。「金無し師匠」と呼ばれるのが大の嫌いなんだぞ！」

「では、貧乏神様。おいでなさいませ！」

「そうだ、わしが貧乏神なのだぞ！」


満足そうに返事した貧乏神様でしたが、コムが取り出した小さな壺に吸い込まれてそまった。「貧乏神吸い取り機」だったのだ。

これ以降、エバンス伯爵家は不運から逃れて家を建て直したとか。