(完) ミリエネッタお嬢様の周りは変な人ばかり

「2書」 ミリエネッタ令嬢という女の子は

(16) 婚約した相手

サンリク伯爵家の馬車に乗って実家へ。マルグリットは、不思議な気分だった。

(まさかの、まさかでございますわ。私が、この人の婚約者だなんて！)

それは、狙ってましたけど。必要ならライバルを蹴落とす覚悟でしたけど。自分には出来ないかもしれないけど。ジュリエッタを落とし入れる事も考えてました。


「マルグリットお嬢様、到着いたしましたが？」


到着した馬車から降りようとしないマルグリットをコムが呼びかけた。慌てて降りようとしてステップを踏み外す。

「あれええええー！」

スポンと、飛び込む少年の胸。あら、嫌だ。意外と筋肉質じゃない、鍛えてるですね。未来な旦那様が逞しくて良うござました。


「私ったら、婚約指輪も受け取っていないんですのに。未来の旦那様ですって。きゃあっー！(真っ赤)」


もう、止めようの無いマルグリットの舞い上がり。誰か止めないと浮いたまま戻れませんよ。

実は、マルグリットは固く見えますがロマンチストなのです。


「マルグリットお嬢様、お怪我は？マルグリットお嬢様？」


まー、まー、なんて素敵。彼が私を呼ぶのが音楽のフレーズのように聞こえましてよ。


(細い身体をしてるのに、意外と逞しくてえええ。間近で見ると凄い美少年ですわ！)


これが、私の物なのね。私と婚姻したなら一生の間は私の物になるのね。渡さないわ、私の物ですものっ！(ふんっ)

親が決めて婚約した相手はいたものの、家が傾くと婚約破棄されてしまいました。でも、おかげ様で素敵な伴侶を手に入れられそうですわ。神様って、いるのですね。ありがとうございます！！