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「2書」 ミリエネッタ令嬢という女の子は

(2) 2人ぶんの人生

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何で転生前の記憶が戻ったかというと、雇い主が見つかって奉公を始めたサンリク伯爵家。慣れない仕事で大鍋をもって一緒に転んで頭を打って。で、あの世に行きかけて思い出しました。

元々、生命力の弱かった本来のミリエネッタは転生者の魂に全てを譲ってしまったようで。呼んでも出て来ません。


「仕方ありませんわ、私がやります」


転生前のミリエネッタは200歳を越した婦人で、大勢の召使いを持つ領主であった。自分が指示をしなくてはならない立場だったのだ。

そこへ、何やら人の影が側に立ち押し付けてくる者あり。何を押し売りしてるのよ。


『あなた様の生前の遺言どおりに、あなた様の亡骸は私どもが誰にも知られない場所へ葬りました。』


遺言?そういえば、妖精の王に魔力は差し上げるから弔ってねーと頼んでおいたのだわ。何しろ、頼りない身内バカリだから。


『貴女様の魔力は巨大で、使い切れませんでしたゆえ。残りをお返し致します。それー!』


確かにね、お世話したお礼なんかで色んな魔力を沢山の種族から頂きましたけど。あら、重い!

転生の記憶が戻ったと思ったら、魔力も返品。生前ほどでは無かったけど、弱くはありません。これを、どう使うべきか悩む。その時です。


「大変よ、このサンリク伯爵家は倒産ですって。私達、全員が首よー!」


働き始めたばかりの田舎娘は、仕事を失なう事になりました。ところが、転生前は人々の生活を守っていた名主君。


「これは、私の出番ですわ!」


誰かがやらねば、誰がやる。このお屋敷の使用人を路頭に迷わせて良いのか。なら、私がやりましょう。そー、しましょう。


「ちょっと、待ったあああ!!」


夜逃げしようとしているサンリク伯爵に待ったコールを掛け、借財や財産の見直しを一晩でやった少女は11歳。

伯爵が騙されていた契約を見つけ、横流しされていた利益を取り戻すという奇跡を起こしたのでした。

200歳で転生したお婆ちゃんだけど、現在は13歳なんでちゅー♪女の子を演じております!

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