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(10) 候補者にします

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魔道具の撮影機とは便利な物だ。作った魔法使いによって性能は違うようだが、ゴメス商会のレンタル商品は画像も綺麗で生身に見える。


「ゴメス商会の撮影機は、複写を禁止しておってな。期限は1週間なんじゃ。悪用されない為とか難しい事を言っておったぞ。」


他にも何人かの令嬢の映像を見せられる。それら全ての令嬢が借金を抱えた家というのだから苦しい内情の貴族は少なくないようだ。

結局、最初のイメージの強い2人の令嬢だけがコムの頭に残った。幾人かの令嬢を見せられた気がするけど、借金と引き換えに結婚させられる運命が可哀想で。 


「そうか、そうか。初めの2人が良かったのか。」


1人よがりのミリエネッタお嬢様。自分の都合の良いように考える。だから、ニッコニッコで決めたのでした。


「では、候補者は2人としよう。明日からでも、婚約者見習いとして住み込みするように手配せよ!」

「婚約者見習いー?それは、待って下さいよ。婚約したいなんて、言ってないですって!」


抗議しても聴こえてない。お嬢様は、見習い執事を結婚させたいだけなのだ。後は、どうでも良い事。

この綺麗な少年執事が花婿の服を着たら美しいだろう。そうだ、式服を特注せねば。


「仕立て屋を呼べ。豪華な婚約式をゴメス商会へオーダーせよ!」


お嬢様、僕の人生ですよ。僕に決めさせて下さいーー!(コムの声にならない叫び)

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