(完) ミリエネッタお嬢様の周りは変な人ばかり

茶ティム

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(4) 見習い執事

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週末の都の広場では仮ステージが設けられて踊り子達が踊る。楽隊の楽しげな音楽に誘われるように町の人々は出て来ていた。


「今日は、王太子様の婚約者様が貧しい人々へと炊き出しだそうなあ。」
「お菓子や果物も下さるとか、お優しいねえ。」


貴族の慣習として慈善事業をする事はある。だが、王太子の婚約者は、度々、行うので優しい姫と知られていた。でも、余計な口を出す者も出て来る。


「どうせ、自分の人気取りだろうよ。王太子の婚約者のくせして金儲けが好きって話でさ。仕事を奪い会社を次々に潰してるんだぞ。悪どい娘だ!」


サンリク伯爵家の事業は潰れる寸前にミリエネッタ令嬢が出て来て建て直した事は有名な話。だからこそ、養女にしたのだろう。

小さな事業を細々とやっていたのを、若干11歳の小娘が商いを違う展開へ動かして大商社に成長させた。

その影で潰された会社は、数えきれない。邪魔だと思われたら最後なのだ。


「普通なら、王太子と平民の娘が婚約なんて無理だ。美人でも無い。あるとしたら、悪い悪魔と契約して魔力を手に入れる事くらい。それ以外は考えられねーぞ!」


「随分と知っておられる。詳しく聞かせてくださいませんか?」


やっぱり、出て来ましたか。サンリク伯爵家の見習い執事だ。今日も、お仕着せとしては華やかなデザイン執事服姿。金の鎖を編み込んだ朱色の髪に人形のような甘やかな顔立ち。

見据えるアメジスト色の瞳に男は、しどろもどろ。自分の言った言葉に責任もてないのなら出直して来い!

見習いでも執事です。怒ってますよ。
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