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「2書」 ミリエネッタ令嬢という女の子は
(31) 愛情の無い話
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ミリエネッタ令嬢、呆れる。何を考えているの、大王だったお人が。
「貴方のお話だと、身代わり人形と私は婚姻しなくてはならない。そこに、私の意志は?」
「意志?訳の分からぬ事を言われるな。貴女は、求めておられたではないか。真実の愛を。」
「そうですわ、求めておりました。結婚した相手は、愛人に夢中でしたので。私は、愛し愛されたかっただけなのです。」
「だから、私が。」.
「身代わり人形に愛されても、それは愛では有りません。ただの、お遊びです。お分かりにならないの?」
そうかもしれない。大王として国の民を愛し身を捧げて裏切られた愛が報われ無かったドラゴン。言い返せ無かった、当然だ。
話し合いを部屋の外で待っていたゴメス商会の女代表が痺れを切らせて入って来るではないか。強引な人だ。
「ミリエネッタお嬢様、ご都合がお有りのようですので商品は引き取らせて頂きます。」
大王は、慌てた。必要なのだ、身代わりが。持って帰られると困る。
「なにゃなにゃー(使ってからにしろ)」
女代表は美人な顔で何やら喚くミニドラゴンを見回して値踏みする。欲しそうだ。
「失礼ですが、お嬢様のペットですか?買い取らせて下さいませんか。人気商品になりそうですので。」
「ごめんなさい、売れませんのよ。」
「そうでございますか。どちらにしろ、お持ちしたのはお留守番身代わり人形ですから、ナイト用は別注文でお願いします。こちらが、SSS特別カタログですので、ゆっくり選んで下さい。では、失礼致しました。」
この女、只者では無い。状況を素早く見定めて行う判断能力が素晴らしい。さすが、代表だ。
ミリエネッタ令嬢は見送りながらスカウトを決意していた。
「貴方のお話だと、身代わり人形と私は婚姻しなくてはならない。そこに、私の意志は?」
「意志?訳の分からぬ事を言われるな。貴女は、求めておられたではないか。真実の愛を。」
「そうですわ、求めておりました。結婚した相手は、愛人に夢中でしたので。私は、愛し愛されたかっただけなのです。」
「だから、私が。」.
「身代わり人形に愛されても、それは愛では有りません。ただの、お遊びです。お分かりにならないの?」
そうかもしれない。大王として国の民を愛し身を捧げて裏切られた愛が報われ無かったドラゴン。言い返せ無かった、当然だ。
話し合いを部屋の外で待っていたゴメス商会の女代表が痺れを切らせて入って来るではないか。強引な人だ。
「ミリエネッタお嬢様、ご都合がお有りのようですので商品は引き取らせて頂きます。」
大王は、慌てた。必要なのだ、身代わりが。持って帰られると困る。
「なにゃなにゃー(使ってからにしろ)」
女代表は美人な顔で何やら喚くミニドラゴンを見回して値踏みする。欲しそうだ。
「失礼ですが、お嬢様のペットですか?買い取らせて下さいませんか。人気商品になりそうですので。」
「ごめんなさい、売れませんのよ。」
「そうでございますか。どちらにしろ、お持ちしたのはお留守番身代わり人形ですから、ナイト用は別注文でお願いします。こちらが、SSS特別カタログですので、ゆっくり選んで下さい。では、失礼致しました。」
この女、只者では無い。状況を素早く見定めて行う判断能力が素晴らしい。さすが、代表だ。
ミリエネッタ令嬢は見送りながらスカウトを決意していた。
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