(完) ミリエネッタお嬢様の周りは変な人ばかり

「2書」 ミリエネッタ令嬢という女の子は

(26) 契約させますから

また、２日かけて都に戻る。そして、人払いをしたミリエネッタ令嬢は出て行こうとするコムを呼び止めた。


「これこれ、お前は居なさい。」


そして、2人きりになると両腕を上げて何かを上から引き出す。それは、黒い布袋であった。その中には、女神の祭壇で手に入れた3つの品が入っている。

その袋から取り出した石を持っている金の鎖に付いたペンダントへはめ込むのだ。


「さあ、準備は整ったわ。一雫(ひとしずく)の血でも残しておいて良かったわね。」


テーブルの上に並べられた品。先程のペンダントに透き通る大きな羽根に金色の髪。いったい、何の儀式をやるのだろう。


「ほら、コムや。ここに来て鎖を首にかけて。これは、あなたの為なのよ。」
「はい、お嬢様。でも、僕の為というのが分かりません。」
「私は、あなたを見た時に分かったわ。あの人の血を引いているのが。私に分かるようにしてくれていたの。」
「あの人の血、ですか？」


あの人って、どの人？そこは、説明してくれません。コムの上着のポケットに羽根や爪を入れ込むのに忙しそうなお嬢様。


「さあ、これでいいわ。じゃあ、契約ね。」
「え、契約ですか？聞いてませんけど！」
「嫌でも、契約してもらうわ。支払いは命だもの。あなたのね。」
「命ー！嫌だ！」
「嫌なんて言わせないわよ！」
「助けてーー！」


強引なミリエネッタ令嬢は、小声の早口で呪文を唱えた。絶対に契約してもらいます。