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「2書」 ミリエネッタ令嬢という女の子は

(23) 準備の旅

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コムは自分が竜人の子孫なのだと知らされて忘れていた。大事な事を。それは。

「コムや、お出かけするから支度しなさい。」

ミリエネッタ令嬢の指示に慌てて外泊の荷物を作る。男の子なので、手荷物だけ。直ぐに準備は終わった。

反対に、お嬢様の荷物は山のようにある。荷馬車が I台は必要。

「コムの成人式だから、めでたい事じゃ。」

忘れていました。そういえば、やってくれると言われてましたね。


【お前は、もうじき、16歳になる。男の子の成人だからね。私が成人式を行うつもりだから】


どういう式をやってくれるのでしょうか。楽しみです。奴隷のままだったら成人の方が値段が高いから売られてたかも。

見習い執事には、お嬢様と旅をするのは始めて。見習いだからお留守でした。お嬢様の馬車と荷馬車は兵士の隊列に守られながら都を出る。


「護衛が多いな、王族の馬車か?」
「違うわよ、王太子の婚約者よ。」
「ああ、平民から成り上がった凄腕の」
「そうよ、たぶらかして貴族の令嬢になった娘!」


ちょっと、嫌がらせですか。聞こえるように悪口は言わないでくださいよ。見習い執事は慌てて馬車の窓を閉じる。

忘れていましたが、ミリエネッタお嬢様は悪役令嬢です。貸したお金の取り立てが厳しい事でも有名。情け容赦なく、会社や家を取り上げて放り出す。鬼の生まれ代わりとも言われておりました。

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