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番外編4 至上の幸せ――多感な莉子SIDE
#EX04-37.HAPPY WEDDING☆【3・いよいよ披露宴!】
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讃美歌を歌い上げた余韻がまだ喉元に残っている。みんなに祝福されている興奮も……伝わる。
そして、フラワーシャワーを浴び、みんなの拍手を受けながら、課長と腕を組み、バージンロードを歩く。さっきとはまた違った気持ちで。
「三田課長ー! 莉子ぉー! おめでとうー!」
ひときわ大きな声をあげるのは高嶺だ。彼女は、こういうときの感情表現を躊躇わない。躊躇う余地もない。
ゆっくりと……花の嵐のなかを歩んでいく。みんな……笑顔だ。みんなの表情がよく見える。花びらをこちらに投げる手の動き。微細な表情の変化……ひとりひとりに応じながら、花で彩られた道を進んでいく。
ドアの前に立つと、お客様のほうを向いて、お辞儀をする。高い声があがった。おめでとう。おめでとうー!
みんなの声は、閉まった扉の向こうからも聞こえるほどで。知らず、視界が滲んでいた。こんなにも祝福されて……拍手もされて、あたたかい声もかけられて。
さて。興奮に包まれたわたしたちに待ち受けるのは……メイクのお直しと、それから撮影タイム。
そう。お式と披露宴のあいだに、出席者は別室で休憩を取り、わたしたちは、きらびやかな夜景を背景に、写真を撮りまくって貰うのだ。
この日に向けて、からだもお肌のお手入れも頑張ってきた! メイクさんも頑張ってくれた! すごい……我ながらものすごい綺麗に生まれ変わった! メイクとヘアスタイルだけでこんなにも変わるんだなーって!
カメラマンはこんなわたしたちをしっかりととらえてくれる。手を重ねたり……目を合わせたり。うっとりと。まるで出会いたての恋人同士のように……ホテルのいろんなところを背景に。
照れる。照れるわ……。
課長は、本日は、裸眼です。周囲には『コンタクト』ということにしているけれども、裸眼なのでーす!
眼鏡の課長もハイパ-イケメンだけど、裸眼の課長もたまらないのよー! あーうー! この喜びを! ああどう表現したらいいものか! 課長ったら張り切ってお写真のセットは一番ゴージャスなのにしたから、完成したらがっつり見るんだー! うおう楽しみぃー!!
……という、ワイルドな自己を内包し、表面上はあくまで美人な花嫁のごとく、貞淑に、可憐に、振る舞う。
「莉子……。すごく綺麗だ……」
そう言ってくれる課長の瞳に嘘偽りがあるとは思えず、わたしは感慨に浸った。
* * *
会場には、全員が入ったところだ。音楽が流れ、ドアの向こうに、みんなが待っている。
「さあ! 新郎新婦のご入場です! 皆様、盛大な拍手でお迎えください!」
司会者の仁志(にし)さんの一声でドアが開く。ぱぁっ……と暗い中に、円テーブルを囲むみんなの姿が映り込む。自分たちがライトアップされているのが分かる。眩しいほどで……見たことのない世界に迷い込んでいる。
スタッフの方の案内で、出来るだけみんなと目を合わせながら、テーブルのあいだを通り抜け、拍手を浴びながら、ひな壇へと向かう。おめでとう。おめでとうー! もう、一生分の『おめでとう』を使い果たしたかもしれない。照れくささとありがたさと……いろんな感情が入り混じっている。主役にふさわしいのか? 本当にわたしでいいのかなあ……というほんのすこしの戸惑いと。
まあ、あの超絶美人の高嶺が、試着会のたびに、綺麗、綺麗ー! と絶叫してくれているので、大丈夫。大丈夫……と思い込もうとしている。
ひな壇に立つと、みんなを見回し、また頭を下げ、一旦着席。うおお。ひな壇から見るこの景色も壮観だ。えんじ色の布地とホワイトの薔薇を中心に彩られた会場……こんなに大勢のひとを前にするのって、それこそ入社式の社長くらいものかしら?
……それにしてもこのドレス。着席するにもいちいちスタッフさんの手を借りなきゃだし一苦労だ。いえ自分で選んだゴージャス! なドレスだからいいんですけど!
それから、司会者の仁志さんの挨拶の後に、課長がウェルカムスピーチを行う。わたしも勿論起立する。マイクを持つ課長の手が肉眼で分かるほどにふるえている。
「えー。皆さん。……お式では、思っても見ない展開が訪れましたね……」
課長の一言に、皆がどっと笑う。……って、なに。なに? どうしたの……? 怪訝な顔をするわたしに、課長は、目配せをし、
「思っても見ないことが訪れるのが人生の楽しみであり、いま、わたしは、……長い長い人生の始まりを、莉子とともに迎えようとしております。
本日は、お忙しい中、わたしたちのためにお集まりくださり、ありがとうございます。
短い時間ではございますが、精いっぱい、おもてなしをさせて頂きたく思います。どうか皆さん、楽しんで頂けると嬉しいです。本日は、よろしくお願い致します」
課長に習い、頭を下げた。それから着席。続いて司会者が、簡単な、課長やわたしのプロフィール紹介をする。課長のTOEICのスコアは驚きの900点超え……という点にどよめきが起こった。
一方、わたしのほうは大した経歴でもない……のだが、語学が堪能とか、ハイスペックな課長に合わせてヨイショしてくれる。おおありがたい。いえいえ、趣味は料理とか言われると、雑誌に出てくるみたいな超すごい料理作れるとか期待されるんじゃないかと恐ろしくなってしまいつつ。あはい、読書も趣味です。趣味。なんだか自分がとんでもなくスゴい人間にでもなったかのような錯覚を味わえる。司会者の技量に依るところが大きい。
和やかな空気を味わった後は、いよいよ、主賓の挨拶だ。新郎側からは企画部の部長に、新婦側からは恩師の滝沢教授に依頼している。先ずは、……部長。こうやって人前に立つことに慣れているタイプだと思う。それから、課長の上司にあたるひとであり、わたしたちを、交際前から見守ってくれていたひとでもある。
司会者に紹介をされ、拍手で迎えられた石北(いしきた)部長は、マイクの前に立つと、口を開いた。
「ただいまご紹介に預かりました、石北です。……先ほどの素晴らしいお式を見て、やはり、『らしい』というか……。咄嗟のアクシデントにも綺麗にカバー出来る辺りが、三田くんらしいなと……感心して見ておりました」
*
そして、フラワーシャワーを浴び、みんなの拍手を受けながら、課長と腕を組み、バージンロードを歩く。さっきとはまた違った気持ちで。
「三田課長ー! 莉子ぉー! おめでとうー!」
ひときわ大きな声をあげるのは高嶺だ。彼女は、こういうときの感情表現を躊躇わない。躊躇う余地もない。
ゆっくりと……花の嵐のなかを歩んでいく。みんな……笑顔だ。みんなの表情がよく見える。花びらをこちらに投げる手の動き。微細な表情の変化……ひとりひとりに応じながら、花で彩られた道を進んでいく。
ドアの前に立つと、お客様のほうを向いて、お辞儀をする。高い声があがった。おめでとう。おめでとうー!
みんなの声は、閉まった扉の向こうからも聞こえるほどで。知らず、視界が滲んでいた。こんなにも祝福されて……拍手もされて、あたたかい声もかけられて。
さて。興奮に包まれたわたしたちに待ち受けるのは……メイクのお直しと、それから撮影タイム。
そう。お式と披露宴のあいだに、出席者は別室で休憩を取り、わたしたちは、きらびやかな夜景を背景に、写真を撮りまくって貰うのだ。
この日に向けて、からだもお肌のお手入れも頑張ってきた! メイクさんも頑張ってくれた! すごい……我ながらものすごい綺麗に生まれ変わった! メイクとヘアスタイルだけでこんなにも変わるんだなーって!
カメラマンはこんなわたしたちをしっかりととらえてくれる。手を重ねたり……目を合わせたり。うっとりと。まるで出会いたての恋人同士のように……ホテルのいろんなところを背景に。
照れる。照れるわ……。
課長は、本日は、裸眼です。周囲には『コンタクト』ということにしているけれども、裸眼なのでーす!
眼鏡の課長もハイパ-イケメンだけど、裸眼の課長もたまらないのよー! あーうー! この喜びを! ああどう表現したらいいものか! 課長ったら張り切ってお写真のセットは一番ゴージャスなのにしたから、完成したらがっつり見るんだー! うおう楽しみぃー!!
……という、ワイルドな自己を内包し、表面上はあくまで美人な花嫁のごとく、貞淑に、可憐に、振る舞う。
「莉子……。すごく綺麗だ……」
そう言ってくれる課長の瞳に嘘偽りがあるとは思えず、わたしは感慨に浸った。
* * *
会場には、全員が入ったところだ。音楽が流れ、ドアの向こうに、みんなが待っている。
「さあ! 新郎新婦のご入場です! 皆様、盛大な拍手でお迎えください!」
司会者の仁志(にし)さんの一声でドアが開く。ぱぁっ……と暗い中に、円テーブルを囲むみんなの姿が映り込む。自分たちがライトアップされているのが分かる。眩しいほどで……見たことのない世界に迷い込んでいる。
スタッフの方の案内で、出来るだけみんなと目を合わせながら、テーブルのあいだを通り抜け、拍手を浴びながら、ひな壇へと向かう。おめでとう。おめでとうー! もう、一生分の『おめでとう』を使い果たしたかもしれない。照れくささとありがたさと……いろんな感情が入り混じっている。主役にふさわしいのか? 本当にわたしでいいのかなあ……というほんのすこしの戸惑いと。
まあ、あの超絶美人の高嶺が、試着会のたびに、綺麗、綺麗ー! と絶叫してくれているので、大丈夫。大丈夫……と思い込もうとしている。
ひな壇に立つと、みんなを見回し、また頭を下げ、一旦着席。うおお。ひな壇から見るこの景色も壮観だ。えんじ色の布地とホワイトの薔薇を中心に彩られた会場……こんなに大勢のひとを前にするのって、それこそ入社式の社長くらいものかしら?
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それから、司会者の仁志さんの挨拶の後に、課長がウェルカムスピーチを行う。わたしも勿論起立する。マイクを持つ課長の手が肉眼で分かるほどにふるえている。
「えー。皆さん。……お式では、思っても見ない展開が訪れましたね……」
課長の一言に、皆がどっと笑う。……って、なに。なに? どうしたの……? 怪訝な顔をするわたしに、課長は、目配せをし、
「思っても見ないことが訪れるのが人生の楽しみであり、いま、わたしは、……長い長い人生の始まりを、莉子とともに迎えようとしております。
本日は、お忙しい中、わたしたちのためにお集まりくださり、ありがとうございます。
短い時間ではございますが、精いっぱい、おもてなしをさせて頂きたく思います。どうか皆さん、楽しんで頂けると嬉しいです。本日は、よろしくお願い致します」
課長に習い、頭を下げた。それから着席。続いて司会者が、簡単な、課長やわたしのプロフィール紹介をする。課長のTOEICのスコアは驚きの900点超え……という点にどよめきが起こった。
一方、わたしのほうは大した経歴でもない……のだが、語学が堪能とか、ハイスペックな課長に合わせてヨイショしてくれる。おおありがたい。いえいえ、趣味は料理とか言われると、雑誌に出てくるみたいな超すごい料理作れるとか期待されるんじゃないかと恐ろしくなってしまいつつ。あはい、読書も趣味です。趣味。なんだか自分がとんでもなくスゴい人間にでもなったかのような錯覚を味わえる。司会者の技量に依るところが大きい。
和やかな空気を味わった後は、いよいよ、主賓の挨拶だ。新郎側からは企画部の部長に、新婦側からは恩師の滝沢教授に依頼している。先ずは、……部長。こうやって人前に立つことに慣れているタイプだと思う。それから、課長の上司にあたるひとであり、わたしたちを、交際前から見守ってくれていたひとでもある。
司会者に紹介をされ、拍手で迎えられた石北(いしきた)部長は、マイクの前に立つと、口を開いた。
「ただいまご紹介に預かりました、石北です。……先ほどの素晴らしいお式を見て、やはり、『らしい』というか……。咄嗟のアクシデントにも綺麗にカバー出来る辺りが、三田くんらしいなと……感心して見ておりました」
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