昨日、課長に抱かれました

美凪ましろ

文字の大きさ
上 下
64 / 103
番外編4 至上の幸せ――多感な莉子SIDE

#EX04-14.ふたつのゆれる恋

しおりを挟む
 中野さんが消えると、こころの電気が消えてしまう。いるだけで……そこにいてくれるだけで、こちらを和ませてくれる、癒しの存在を失ってしまい、こころにぽっかり穴が空いたみたいだ。

 でも、職場は、お金を貰って労働という対価を支払う場所だから。泣き言なんか、言えない。それに、わたしは引き続き紅城さんのサポートをしなければならないから。トイレにて、気合いを入れてから自席に戻り、始業時間を迎えた。

 九時を十分ほど過ぎた頃、荒石くんが、こちらにやってきた。

「紅城さん。お忙しいところをすみませんが、備品を立て替えで購入したので申請をしたいのですが。手順を教えて頂いてよろしいですか」

 ――あれ、なんだろう。どうして紅城さんに?

 とは思ったが、口には出さなかった。きっと、荒石くんなりに、中野さんが抜けて忙しくなるだろう、わたしの状況を気遣ってくれている……のだろうと。

 そんな処理なんか同じ部署の先輩に聞けよ、と言いたいところではあるが……見れば、国内営業部の皆さんは電話の取次ぎやタイプ打ちに忙しそうで、どう見ても余裕ゼロ。荒石くんとて、聞けるのであれば同じ部署の先輩に聞くのだろう。わたしは、彼に、同情した。

「はい分かりました」紅城さんの判断は速かった。「桐島さん。すこし離席しますね」

「分かりました」

 紅城さんは手早くタイピングをすると――おそらく、作成中のドキュメントを保存してから、「では、荒石さんのお席で説明をしますね。……言っておきますけど、二度目はありませんからね? 次回からは、自力で、なるべく誰の助けも借りずに、出来るようにすること。それが、経営企画課のメンバーとしてのお願いです」

 込められた密かな棘にわたしは笑った。……紅城さん、なかなか言うじゃない。やっぱり、彼女、課長に似ている。美しい花は棘を持つ。彼女の隠し持つ、なにかしらの毒を、わたしはその言動から感じたのだった。

 思えば、荒石くんが、紅城さんに話しかけるのは初めてだ。とはいえ、紅城さんは実は超インテリなので、インテリ同士話が合うらしい。笑い合う声が、こちらまで聞こえてきた。雑務をつまらないものとして片づけない彼女の品性に、わたしは好感を持っている。

 それから、無事、向こうで荒石くんに説明を終えてきた紅城さんに、「お疲れ様です」とわたしが声をかけると、

「……本当、経営企画課って大変ですよね。……他の部署の尻拭いをさせられたり……」

 席は離れてはいるが、向こうにいる荒石くんを気遣った声量だった。

「でも、それが仕事だから。……他の部署に比べるとうちは暇だから。会社って助け合いでもあるから。困ったときは助け合う。そういうものなのかもしれないね」

「でも、うち……助けてばかりじゃないですか? いいんですか? それで」

「おれのコントロールが行き届いてなくてきみたちに窮屈な思いをさせて。すまないな」

「三田課長……」離れた席に座る課長が、この会話に加わるなどとは、紅城さんは想定していなかったらしい。彼女は瞬間的に顔を真っ赤にし、「いえ。派遣社員風情が愚痴を吐いてしまい、申し訳ありません」

 素直に頭を下げる紅城さんを見て、彼女の前に立つ課長は目尻に皺を寄せて笑い、

「意見をするのに、正社員も派遣社員も関係ないよ。きみは、おれと一緒に働く、大切なメンバーだ」

 ……なんだろう。

 わたしと同じ趣旨の発言をしているはずが、ちくん、と胸に棘が刺さったような感覚。……わたし。うわ。最低。

 紅城さんに嫉妬をしているなんて……!

 わたしの戸惑いをよそに、課長は、

「まぁな。リスクヘッジって確かに大切だよな。きみや、桐島くんが、いなくなったら仕事が回らない。そんな状況を作ることは望ましくはない。……特に中野さんや桐島くんが頑張ってくれているから、それで、紅城さん。きみに仕事を受け持って貰うかたちになっている。

 おれも、なんでもびしばし頼まれる、この状況をよしとしないが。しかし、他の部署に比べてうちが比較的暇なのは事実だ。……となると、その労働力を他に回すこと自体は、それほど間違ってないとは思っている。

 そこで、おれに考えがあるのだが。……しかし、この話をするには、正式な手順を踏まなければならない。いまの時点で言えるのは、紅城くん。きみも、うちの貴重な戦力だ。仕事を頼むときは、きみが派遣社員だということを考慮はするが、しかし、気持ち的にはうちのメンバーの一員のつもりでいて欲しい。おれからの願いだ」

 わたしは課長の発言から彼の真意を見抜いた。――もしかして、課長……!

 わたしは、その決断が嬉しかった。というのは、過去、うちの雰囲気が合わなくて、辞めてしまった派遣さんが過去何人もいたから。――どうしてわたしがこんな仕事をしなければならないんです! コピー用紙の補充を頼んだところ、そう言い返されて愕然としたことも過去何度か。

「分かりました。……あたし、皆様のお役に立てるように、頑張ります……」

 受け答えをする紅城さんの顔は相変わらず赤く、声はふるえている。――ひょっとして紅城さん……。

『それ』が本当なら、わたしは酷いことをしているのかもしれない。友達になろうとか、結婚式に来てくれとか……。

 その日、わたしは仕事以外で紅城さんに話しかけなかった。昼休み中、本を読んでいても、ちっとも頭に入ってこない。――わたし、どうしよう。こんなこと、課長にも言えないし。中野さん……は産休中だし。ああ……。

 泣きたい気持ちを堪え、どうにか仕事を終え、帰宅する。子どもっぽいと思ったが、わたしはわざと三十分残業をし、紅城さんと一緒に帰るのを避けた。――気持ちの整理をする時間が欲しかったのだ。

 その日、課長が帰宅すると、わたしは真っ先に切り込んだ。「……課長。紅城さんを、中野さんの復帰後も雇い続けようとか……考えています?」

「……きみには隠し事が出来ないな」

「あの流れで言われたら普通に分かりますよ。……で。どうなんです?」

「ああ」と課長は認めた。「いままで経営企画課に来た派遣さんは正直、外れのひとが多かったからな。企画部の子はそうでもないのに、なんでだろうな。……紅城さんは掘り出し物の宝物だ。彼女を手放すには……惜しい」

「プロパーとして採用することも考えているとか」

「派遣会社と彼女の回答次第ではあるが……可能性は大いにある」

 そうか。そうなんだ……。

 紅城さんはとてもいいひとなのに。何故か、課長のその言葉を受けた瞬間、わたしの胸に失望が生まれた。なんなのだろう。この持て余す感情は。

「わたし、……よかったです」無理にわたしは笑顔を作った。「紅城さんって、頭がいいし、機転が利くし、はきはきとして明るいし……紅城さんが正式にうちのメンバーになってくれたら、わたし、嬉しい!」

「そう言って貰えてよかった。前向きに検討する」

 いつもならわたしの胸中を、打ち明けずとも見抜いてくれるはずの課長が、そうはしなかった。そのことに少なからずショックを受け、わたしは言えない秘密を課長に対して抱えてしまうのだった。

 * * *

 翌日も、必要以上に紅城さんとは喋らずに定時を迎え、紅城さんと一緒に、会社の入っているビルを出ると、荒石くんの姿を認め、わたしはこころから安堵した。こんな自分が恥ずかしいと思っているけれど、……いっそ紅城さんが荒石くんと結ばれてくれたらどれほど楽か。こんな醜い思考回路なんか絶対課長に言えない。言えるはずがない。

「お疲れ様です。……紅城さん。先帰ってますね……」

「あはい、お疲れ様です……」

 紅城さんがどうか荒石くんに惚れてくれますように。だって待ち伏せなんかをした目的は瞭然。荒石くんは……紅城さんに惚れているのだ。

 なんて単純な男だろう。配属されたてのときはわたしに、それから課長に惚れて……同性であるにも関わらず、告白までしたのに。フィアンセであるわたしの前で。それが、たったの一日? ちょっと指導をして貰っただけで惚れるの? いまどきの男の子ってみんなそうなの? わーお。

 ……なんて考えだす自分が惨めで。醜くて。ああ自己嫌悪の塊。課長と結ばれて以来、自殺する人間の気持ちが分からなくなったんだけど、もし、この醜いわたしの本音が課長に知れたら確実に死ねるわ。

 荒石くんみたく惚れっぽい男の子だと心配でもあるけど、でも、紅城さんも大人だからな。精神年齢が高い。だから、わたしは願っていたのだ。

 紅城さんの裏の顔を知ることなどなく。

 * * *

 この時間になっても自席に来ないなんて珍しいな。

 なーんて思っていた。裏で起こる事態を知らずにわたしは。

 あれから一夜が明け――課長ともろくに話していない。メールで紅城さんに、『あのあとどうなったの?』なんて聞けなくもないのだが、そこまで行くと『やりすぎ』な気もして。悶々とした夜を過ごした。

 始業時間一分前に、紅城さんは姿を見せた。――が、荒石くんが隣にいる。通路を抜けるふたりの表情は硬いが、こうして堂々と一緒にやってくる辺り、大丈夫なのか? と心配になる。こんな姿を見せられたら、噂好きのあの子たちが絶対に黙っていないもの。噂の標的にでもされたら――と心配にもなる。

 まさか。

 かつて、わたしと課長のあいだに起きたことが――?

「おはようございます」

 周囲の人間に挨拶をして、自席に座る紅城さんの横顔を盗み見た。明らかに――泣いた痕跡が見られる。わたしは動揺した。何故。いったいなにがどうなって……!?

 友達なら、心配して声をかけるのが当たり前だろうに、でもわたしは、社会人としての顔を保つことを優先した。……それに、この場で下手に声をかけて、注目を集めさせたら、紅城さんが可哀想だ。

 昼休みまでが長かった。もし……例えば、荒石くんに、なにか酷いことをされていたのだとしたら大変だ。黙ってはいられない。

 とはいえ、紅城さんだって判断力を持つ、立派な大人の女性だ。もし、合意のないままセックスでも行われていたとしたら、派遣会社を挟んだ、大問題に発展するところだ。

 課長が、気づかないはずがない。どう思っているのだろう。

 課長を見ても、相変わらずのポーカーフェイスで。すっかり、会社だけで見せるクールな顔が板についている。

 昼休みまでが長かった。昼休みに入ったらわたしは、紅城さんを、会議室辺りに呼んで、ふたりきりで話そうと思っていた。――が。

「あいえ、あたし、ここで食べますので。話ならここで聞きます」

 ……って、そんなこと言ってる場合じゃないのにー! ああもう、荒石くんとなにがあったの? 口説かれたの? 大丈夫? なんで泣いたの?

 聞きたいことが山ほどあるのに、ここじゃ聞けない。みんなの目があるから。だからこその会議室提案なのに!

「その、ここじゃ、ちょっと……。会議室でも行きましょうよ」

「ああいえ。あたし、読みかけの本があるのでごめんなさい」

「そっか」とわたしは引き下がった。「でも、……悩み事があるんだったら相談してね? わたしは紅城さんの味方だよ?」

「ありがとうございます」こころなしか、紅城さんの笑みは硬かった。その表情を見てわたしはようやく理解した。――そうか。好きなひとの婚約者になんか、好きなひとの相談なんて出来ないよね? なんて馬鹿なんだ。わたしは。

 本心を押し隠した紅城さんは、あくまでも気丈に、

「困ったときは遠慮なく頼らせてください。桐島さん。いまのところは大丈夫です」

「そっか。分かった」

 そうして互いに正面を向き、ランチにありつくのだが、わたしたちのあいだには、いままでにない、なにかしらの緊張が漂っていた。

 *
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~

吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。 結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。 何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

シンデレラは王子様と離婚することになりました。

及川 桜
恋愛
シンデレラは王子様と結婚して幸せになり・・・ なりませんでした!! 【現代版 シンデレラストーリー】 貧乏OLは、ひょんなことから会社の社長と出会い結婚することになりました。 はたから見れば、王子様に見初められたシンデレラストーリー。 しかしながら、その実態は? 離婚前提の結婚生活。 果たして、シンデレラは無事に王子様と離婚できるのでしょうか。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

契約結婚のはずなのに、冷徹なはずのエリート上司が甘く迫ってくるんですが!? ~結婚願望ゼロの私が、なぜか愛されすぎて逃げられません~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】
恋愛
「俺と結婚しろ」  突然のプロポーズ――いや、契約結婚の提案だった。  冷静沈着で完璧主義、社内でも一目置かれるエリート課長・九条玲司。そんな彼と私は、ただの上司と部下。恋愛感情なんて一切ない……はずだった。  仕事一筋で恋愛に興味なし。過去の傷から、結婚なんて煩わしいものだと決めつけていた私。なのに、九条課長が提示した「条件」に耳を傾けるうちに、その提案が単なる取引とは思えなくなっていく。 「お前を、誰にも渡すつもりはない」  冷たい声で言われたその言葉が、胸をざわつかせる。  これは合理的な選択? それとも、避けられない運命の始まり?  割り切ったはずの契約は、次第に二人の境界線を曖昧にし、心を絡め取っていく――。  不器用なエリート上司と、恋を信じられない女。  これは、"ありえないはずの結婚"から始まる、予測不能なラブストーリー。

腹黒上司が実は激甘だった件について。

あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。 彼はヤバいです。 サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。 まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。 本当に厳しいんだから。 ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。 マジで? 意味不明なんだけど。 めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。 素直に甘えたいとさえ思った。 だけど、私はその想いに応えられないよ。 どうしたらいいかわからない…。 ********** この作品は、他のサイトにも掲載しています。

処理中です...