昨日、課長に抱かれました

美凪ましろ

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番外編1 彼女がおれに振り向くまで――純情な課長SIDE

喫煙室にて

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 彼女と顔を合わせるのが嬉しくもこそばゆい月曜がやって来た。


 といっても。彼女と別段話さなければならない事態はなかったわけで、穏便に過ぎていった。


 ――喫煙室で二岡に話しかけられたのを除けば。


「……三田課長。噂になってますよ。桐島ちゃんにキスマークつけた犯人が誰なのかって」


 驚きのあまり、煙草を落っことしそうになった。

「ふーん。誰なのかなね」言いながら煙草の火をもみ消す。不自然な声のトーンにならぬよう意識しながら。

「道中がわけの分からないことを言ってましたよ。でもおれ信じてませんよ」

「わけのわからないってどういうこと?」

「『昨日、課長に抱かれた』ってまあ、桐島ちゃんも冗談言えるようになったなら、一歩前進ですよね。おれも一安心っていうか……」


「本当なら、どうする?」


 おれは、敢えて挑発的に二岡を見据えた。

 こいつも、桐島莉子に好意を持っていることを、知っている。

 社内に広まるリスクよりも、おれは火の種をツブしとくほうを選んだ。

 呆気に取られていた二岡が、「あっちゃー」と頭に手をやる。「そうかそうか三田課長なら……仕方がないわな」

「まあ、桐島はおれのもんです。おれはじりじりと三年待ちました。その結果です。後生一生。諦めてください」おれは二岡に頭を下げた。この際、二岡から噂が広まろうが、どうだってよかった。「わーったわーった」と二岡は煙草の火を消す。

「でも。桐島ちゃんの幸せを見守る会は継続ですから」

「それ。どんくらい人数いるんです」

「ん? 二十人くらい?」

「にっじゅ……」人望が厚いのは彼女のほうじゃないか。

 それでも。おれは、この話を彼女には内緒にしておこうとこころに決めたのだった。

 理由?


 独占欲。

 そんだけ。


 *
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