37 / 37
番外編 天使のわがまま
しおりを挟む
ミシャは最近悩みがあった。それも、誰にもいえない悩みだ。
カイと城に戻り、晴れて二人は結ばれた、が…
ミシャはかつて与えられた部屋で過ごしているし、カイとは以前のように食事の時にしか会えない。
(恋人なのに……寝室も別だし…)
カイはミシャに啄むようなキスしかしない。
もちろん、それだけでミシャは幸せで一杯になる。でも、でもだ。
夜になるたび身体が疼く。
(カイ様のせいでこうなったのに、どうして抱いてくれないの…?)
ずいぶんはしたないことを考えているのは分かっている。
でも、熱を発散する術を知らないミシャにとってうっすら残る荒淫の記憶は毒だ。
だから、その日の夕食、ミシャは恥じらいをかなぐり捨ててカイに言った。
「今夜、カイ様のお部屋に行っても良いですか?」
「っ…」
からん、とカイが手に持っていた銀器を落とし、後ろで奉仕していたメイドが食器を落として割った。
「良い…に決まっている」
「はい…」
それから、ミシャは顔を真っ赤にしてまともに食事も味わえなかった。
気まずいような居た堪れない雰囲気が流れる。
そそくさと食事を済ませて、ミシャは自室に戻った。入浴して身体を清める。
カイは夕食後も仕事がある。
でも、今行かないともう勇気が出ないと思って、ミシャは入浴を終えた後すぐにカイの部屋に向かった。
ミシャの予想に反して部屋のなかにカイはいた。
「お、お仕事…は、」
「皆に止められた…今日は、早く戻った方がいいと。俺も、そうしたかったから」
かぁ、とミシャの顔が赤くなるのを見てカイもはにかむ。
「その…これは、そういうことでいいんだよな?」
「…はい」
消え入るような声でミシャは言う。
「朝まで離せないかもしれない。ずっと、お前を抱きたかったから」
「…なら、そう言ってくれれば良かったのに…」
そうすればこんな恥ずかしい思いもせずに済んだ。
心底恥ずかしそうなミシャを見るだけで、カイは幸せになってしまう。
「…ん」
ミシャの小さな唇に触れる。
いつもよりも深く、口の中まで端正に愛す。
「ふぁ、あ…」
ミシャの可愛い鳴き声に、自信が昂っていくのを感じた。
「すまない、本当に、加減できない」
カイは早急にミシャをベッドに運んで押したおした。
「…加減なんて、しないで」
ミシャがこの言葉を後悔することになるのは言うまでもない。
翌日、ミシャがかつてのようにカイを甘ったるい声で『カイ』と呼ぶのを聞いてカミュはなんとも言えない顔になったのだった。
カイと城に戻り、晴れて二人は結ばれた、が…
ミシャはかつて与えられた部屋で過ごしているし、カイとは以前のように食事の時にしか会えない。
(恋人なのに……寝室も別だし…)
カイはミシャに啄むようなキスしかしない。
もちろん、それだけでミシャは幸せで一杯になる。でも、でもだ。
夜になるたび身体が疼く。
(カイ様のせいでこうなったのに、どうして抱いてくれないの…?)
ずいぶんはしたないことを考えているのは分かっている。
でも、熱を発散する術を知らないミシャにとってうっすら残る荒淫の記憶は毒だ。
だから、その日の夕食、ミシャは恥じらいをかなぐり捨ててカイに言った。
「今夜、カイ様のお部屋に行っても良いですか?」
「っ…」
からん、とカイが手に持っていた銀器を落とし、後ろで奉仕していたメイドが食器を落として割った。
「良い…に決まっている」
「はい…」
それから、ミシャは顔を真っ赤にしてまともに食事も味わえなかった。
気まずいような居た堪れない雰囲気が流れる。
そそくさと食事を済ませて、ミシャは自室に戻った。入浴して身体を清める。
カイは夕食後も仕事がある。
でも、今行かないともう勇気が出ないと思って、ミシャは入浴を終えた後すぐにカイの部屋に向かった。
ミシャの予想に反して部屋のなかにカイはいた。
「お、お仕事…は、」
「皆に止められた…今日は、早く戻った方がいいと。俺も、そうしたかったから」
かぁ、とミシャの顔が赤くなるのを見てカイもはにかむ。
「その…これは、そういうことでいいんだよな?」
「…はい」
消え入るような声でミシャは言う。
「朝まで離せないかもしれない。ずっと、お前を抱きたかったから」
「…なら、そう言ってくれれば良かったのに…」
そうすればこんな恥ずかしい思いもせずに済んだ。
心底恥ずかしそうなミシャを見るだけで、カイは幸せになってしまう。
「…ん」
ミシャの小さな唇に触れる。
いつもよりも深く、口の中まで端正に愛す。
「ふぁ、あ…」
ミシャの可愛い鳴き声に、自信が昂っていくのを感じた。
「すまない、本当に、加減できない」
カイは早急にミシャをベッドに運んで押したおした。
「…加減なんて、しないで」
ミシャがこの言葉を後悔することになるのは言うまでもない。
翌日、ミシャがかつてのようにカイを甘ったるい声で『カイ』と呼ぶのを聞いてカミュはなんとも言えない顔になったのだった。
34
お気に入りに追加
688
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(2件)
あなたにおすすめの小説

白金の花嫁は将軍の希望の花
葉咲透織
BL
義妹の身代わりでボルカノ王国に嫁ぐことになったレイナール。女好きのボルカノ王は、男である彼を受け入れず、そのまま若き将軍・ジョシュアに下げ渡す。彼の屋敷で過ごすうちに、ジョシュアに惹かれていくレイナールには、ある秘密があった。
※個人ブログにも投稿済みです。

愛人少年は王に寵愛される
時枝蓮夜
BL
女性なら、三年夫婦の生活がなければ白い結婚として離縁ができる。
僕には三年待っても、白い結婚は訪れない。この国では、王の愛人は男と定められており、白い結婚であっても離婚は認められていないためだ。
初めから要らぬ子供を増やさないために、男を愛人にと定められているのだ。子ができなくて当然なのだから、離婚を論じるられる事もなかった。
そして若い間に抱き潰されたあと、修道院に幽閉されて一生を終える。
僕はもうすぐ王の愛人に召し出され、2年になる。夜のお召もあるが、ただ抱きしめられて眠るだけのお召だ。
そんな生活に変化があったのは、僕に遅い精通があってからだった。

【完結】愛してるから。今日も俺は、お前を忘れたふりをする
葵井瑞貴
BL
『好きだからこそ、いつか手放さなきゃいけない日が来るーー今がその時だ』
騎士団でバディを組むリオンとユーリは、恋人同士。しかし、付き合っていることは周囲に隠している。
平民のリオンは、貴族であるユーリの幸せな結婚と未来を願い、記憶喪失を装って身を引くことを決意する。
しかし、リオンを深く愛するユーリは「何度君に忘れられても、また好きになってもらえるように頑張る」と一途に言いーー。
ほんわか包容力溺愛攻め×トラウマ持ち強気受け
シャルルは死んだ
ふじの
BL
地方都市で理髪店を営むジルには、秘密がある。実はかつてはシャルルという名前で、傲慢な貴族だったのだ。しかし婚約者であった第二王子のファビアン殿下に嫌われていると知り、身を引いて王都を四年前に去っていた。そんなある日、店の買い出しで出かけた先でファビアン殿下と再会し──。
博愛主義の成れの果て
135
BL
子宮持ちで子供が産める侯爵家嫡男の俺の婚約者は、博愛主義者だ。
俺と同じように子宮持ちの令息にだって優しくしてしまう男。
そんな婚約を白紙にしたところ、元婚約者がおかしくなりはじめた……。

悪辣と花煙り――悪役令嬢の従者が大嫌いな騎士様に喰われる話――
ロ
BL
「ずっと前から、おまえが好きなんだ」
と、俺を容赦なく犯している男は、互いに互いを嫌い合っている(筈の)騎士様で――――。
「悪役令嬢」に仕えている性悪で悪辣な従者が、「没落エンド」とやらを回避しようと、裏で暗躍していたら、大嫌いな騎士様に見つかってしまった。双方の利益のために手を組んだものの、嫌いなことに変わりはないので、うっかり煽ってやったら、何故かがっつり喰われてしまった話。
※ムーンライトノベルズでも公開しています(https://novel18.syosetu.com/n4448gl/)
孤独な王弟は初めての愛を救済の聖者に注がれる
葉月めいこ
BL
ラーズヘルム王国の王弟リューウェイクは親兄弟から放任され、自らの力で第三騎士団の副団長まで上り詰めた。
王家や城の中枢から軽んじられながらも、騎士や国の民と信頼を築きながら日々を過ごしている。
国王は在位11年目を迎える前に、自身の治世が加護者である女神に護られていると安心を得るため、古くから伝承のある聖女を求め、異世界からの召喚を決行した。
異世界人の召喚をずっと反対していたリューウェイクは遠征に出たあと伝令が届き、慌てて帰還するが時すでに遅く召喚が終わっていた。
召喚陣の上に現れたのは男女――兄妹2人だった。
皆、女性を聖女と崇め男性を蔑ろに扱うが、リューウェイクは女神が二人を選んだことに意味があると、聖者である雪兎を手厚く歓迎する。
威風堂々とした雪兎は為政者の風格があるものの、根っこの部分は好奇心旺盛で世話焼きでもあり、不遇なリューウェイクを気にかけいたわってくれる。
なぜ今回の召喚されし者が二人だったのか、その理由を知ったリューウェイクは苦悩の選択に迫られる。
召喚されたスパダリ×生真面目な不憫男前
全38話
こちらは個人サイトにも掲載されています。

お客様と商品
あかまロケ
BL
馬鹿で、不細工で、性格最悪…なオレが、衣食住提供と引き換えに体を売る相手は高校時代一度も面識の無かったエリートモテモテイケメン御曹司で。オレは商品で、相手はお客様。そう思って毎日せっせとお客様に尽くす涙ぐましい努力のオレの物語。(*ムーンライトノベルズ・pixivにも投稿してます。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
幸せになってくれてよかった....
末永くお幸せに!!!