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三十二話 淫靡な天使
しおりを挟む「はぅ…っう……んぇ?」
その日、ミシャは下半身に違和感を覚えて目を覚ました。
「んぁ…またしちゃった…」
ミシャの下着は夢精したせいでぐちょぐちょになっていた。
きっとまた淫夢を見たのだろう。
自分のあまりのはしたなさにミシャは顔を赤らめた。
そもそも、ミシャはカイに抱かれるまでは性的なことを一切してこなかった。
一月に一回ぐらいは夢精することはあったが、それぐらいだ。
でも、カイに監禁され、快楽漬けにされた所為でミシャの体は変わってしまった。
自慰の仕方も知らないミシャの溜まった性を発散する術は夢精しかない。
毎日空っぽになるまで精液を搾り取られていたせいで身体がおかしくなったのだろう、三日に一回は夢精してしまう。
「洗わないと…」
カミュに世話をされていたときの記憶は曖昧だが、カミュがなにもできない自分の代わりに下着を洗っていたのかも知れないと思うと恥ずかしくておかしくなりそうだった。
カミュに言われた。
このままだと、ミシャもカイも壊れてしまう。だからミシャがカイを止めないといけない、と
でも、ミシャの身体はカイに抱かれたがっている。
あの、狂った監禁生活を求めているのだ。
「はぁ…」
カイのことを壊したくはない。
それなのに、抱かれたいと思ってしまう自分はなんてはしたないのだろう。
「だめ、もうすぐカイ様に会うんだから。しっかりしないと…」
カイに会って、ミシャは言わなくてはいけない。
もう、あの部屋には戻らないと…
頭がおかしくなるまで抱かれたくない、と…
ミシャだって分かっている。あれは異常だった。
前みたいに、適度の距離感を保ちながら、互いを尊重しあえる関係でいるのが一番いいのだろう。
でも、この淫乱な身体はカイにだからないことに耐えられないかもしれない。
(だめ、普通にならなきゃ、がまん、しなきゃ…)
きっといつかこの体の疼きもなくなる。
そう信じて、ミシャは深呼吸した。
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