29 / 37
二十九話 忠誠ゆえに
しおりを挟む
ミシャが壊れればカイも壊れる。
カミュはカイのために、ミシャをカイから救い出さなければならない。
カイは周りの声を聞く耳を持たない。聞くとしたらミシャの言葉ぐらいだろう。
一度、ミシャをあの部屋から連れ出し、ミシャを説得して彼からカイにあの生活をやめるようにいってもらうしかいない。
カミュは綿密に計画を立てた。
カイがミシャを監禁していることは一応は隠されている。そのため、公的な警備はほとんどやい。
カイの目さえ盗んでしまえばミシャを連れ出すことはできる。
だからカミュは大胆にもカイの寝室に窓から忍び込んだ。
カイの疑いの目をそらすために、庭師としての仕事の時間中に、高い木を剪定するのに使う梯子を使って侵入した。
寝室には大きなベッドの中にぽつん、と白髪の少年が横たわっていた。
久しぶりに見たミシャは前よりも痩せて、今にも消えてしまいそうな儚さを纏っていた。
「ミシャ様、ミシャ様」
時間もないので眠っているミシャを無理やり揺すって起こす。
「ん…カイ?しごと、おわったの…?」
目覚めたミシャはへにゃりと笑いながら当たり前のことのように足を開いた。
ミシャが着ているのはワンピースのような白い布一枚だけなので、そこが丸見えになってしまう。
先ほどまでカイを受け入れていたその場所からはとろりと白い蜜が零れ落ちていた。
「ミュ、ミシャ様!足を閉じてください。私は陛下ではありません。カミュです」
「んぇ…?っへ、カミュさん…?」
やっと正気に戻ったミシャが顔を赤らめて足を閉じた。
全身真っ白なのに、内臓は赤く熟れている様はあまりにも扇情的だ。
カミュは先ほど見たしまったものをなんとか頭の中から消した。
「ミシャ様、ここから出ましょう」
「え…?どぉして?」
とろりとした声で言ってミシャが首を傾げる。
「ここに閉じ込められてあんな生活をすればいつしかあなたは壊れてしまいます。あなたが壊れれば陛下も壊れる。陛下が壊れればゼルトリアも壊れます」
「んん~…なにいってるの?むずかしくて、わかんない…」
ミシャはうとうととし始める。ミシャはほんの3時間前までカイに抱かれていた。眠くて仕方ないのだろう。
「それならば申し訳ありませんが勝手に連れて行きます」
カミュは持ってきていたペンチを使ってミシャを部屋に繋いでいた鎖を手早く切った。
城の中をミシャを連れて行けば目立つので、ミシャを大きな箱の中に入れる。
「ん、カミュさん?なにも見えないよ…?」
「お眠りになっていてください。目が覚めた時には安全な場所に居ます」
部屋の外に待たせていたメイドのカートにミシャを入れた箱を乗せる。
このカートは下まで運ばれて商人の車に乗せられて城の外に出される手筈になっている。
ミシャが消えたことをカイが知れば一番に疑われるのは自分だろう。
今まで関わりのなかった下級貴族に賄賂を送ってミシャを匿うように頼んだが、関わりがなかったぶん約束が守られるかどうかは賭けである。
「とりあえず、城から離せればいい…」
自分が死刑になってもいい。
カイが壊れてしまうことが防げれば本望だ。
この状況をどうにかするにはミシャ本人がカイに抵抗しなくてはいけない。
カイを止められるのはミシャだけなのだから。
そのためにはまず、抱かれ続けたせいで壊れてしまったミシャの心を治さなくては。
カミュは入ってきた時と同じように窓から部屋を出た。
カミュはカイのために、ミシャをカイから救い出さなければならない。
カイは周りの声を聞く耳を持たない。聞くとしたらミシャの言葉ぐらいだろう。
一度、ミシャをあの部屋から連れ出し、ミシャを説得して彼からカイにあの生活をやめるようにいってもらうしかいない。
カミュは綿密に計画を立てた。
カイがミシャを監禁していることは一応は隠されている。そのため、公的な警備はほとんどやい。
カイの目さえ盗んでしまえばミシャを連れ出すことはできる。
だからカミュは大胆にもカイの寝室に窓から忍び込んだ。
カイの疑いの目をそらすために、庭師としての仕事の時間中に、高い木を剪定するのに使う梯子を使って侵入した。
寝室には大きなベッドの中にぽつん、と白髪の少年が横たわっていた。
久しぶりに見たミシャは前よりも痩せて、今にも消えてしまいそうな儚さを纏っていた。
「ミシャ様、ミシャ様」
時間もないので眠っているミシャを無理やり揺すって起こす。
「ん…カイ?しごと、おわったの…?」
目覚めたミシャはへにゃりと笑いながら当たり前のことのように足を開いた。
ミシャが着ているのはワンピースのような白い布一枚だけなので、そこが丸見えになってしまう。
先ほどまでカイを受け入れていたその場所からはとろりと白い蜜が零れ落ちていた。
「ミュ、ミシャ様!足を閉じてください。私は陛下ではありません。カミュです」
「んぇ…?っへ、カミュさん…?」
やっと正気に戻ったミシャが顔を赤らめて足を閉じた。
全身真っ白なのに、内臓は赤く熟れている様はあまりにも扇情的だ。
カミュは先ほど見たしまったものをなんとか頭の中から消した。
「ミシャ様、ここから出ましょう」
「え…?どぉして?」
とろりとした声で言ってミシャが首を傾げる。
「ここに閉じ込められてあんな生活をすればいつしかあなたは壊れてしまいます。あなたが壊れれば陛下も壊れる。陛下が壊れればゼルトリアも壊れます」
「んん~…なにいってるの?むずかしくて、わかんない…」
ミシャはうとうととし始める。ミシャはほんの3時間前までカイに抱かれていた。眠くて仕方ないのだろう。
「それならば申し訳ありませんが勝手に連れて行きます」
カミュは持ってきていたペンチを使ってミシャを部屋に繋いでいた鎖を手早く切った。
城の中をミシャを連れて行けば目立つので、ミシャを大きな箱の中に入れる。
「ん、カミュさん?なにも見えないよ…?」
「お眠りになっていてください。目が覚めた時には安全な場所に居ます」
部屋の外に待たせていたメイドのカートにミシャを入れた箱を乗せる。
このカートは下まで運ばれて商人の車に乗せられて城の外に出される手筈になっている。
ミシャが消えたことをカイが知れば一番に疑われるのは自分だろう。
今まで関わりのなかった下級貴族に賄賂を送ってミシャを匿うように頼んだが、関わりがなかったぶん約束が守られるかどうかは賭けである。
「とりあえず、城から離せればいい…」
自分が死刑になってもいい。
カイが壊れてしまうことが防げれば本望だ。
この状況をどうにかするにはミシャ本人がカイに抵抗しなくてはいけない。
カイを止められるのはミシャだけなのだから。
そのためにはまず、抱かれ続けたせいで壊れてしまったミシャの心を治さなくては。
カミュは入ってきた時と同じように窓から部屋を出た。
2
お気に入りに追加
687
あなたにおすすめの小説

愛人少年は王に寵愛される
時枝蓮夜
BL
女性なら、三年夫婦の生活がなければ白い結婚として離縁ができる。
僕には三年待っても、白い結婚は訪れない。この国では、王の愛人は男と定められており、白い結婚であっても離婚は認められていないためだ。
初めから要らぬ子供を増やさないために、男を愛人にと定められているのだ。子ができなくて当然なのだから、離婚を論じるられる事もなかった。
そして若い間に抱き潰されたあと、修道院に幽閉されて一生を終える。
僕はもうすぐ王の愛人に召し出され、2年になる。夜のお召もあるが、ただ抱きしめられて眠るだけのお召だ。
そんな生活に変化があったのは、僕に遅い精通があってからだった。
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿


白金の花嫁は将軍の希望の花
葉咲透織
BL
義妹の身代わりでボルカノ王国に嫁ぐことになったレイナール。女好きのボルカノ王は、男である彼を受け入れず、そのまま若き将軍・ジョシュアに下げ渡す。彼の屋敷で過ごすうちに、ジョシュアに惹かれていくレイナールには、ある秘密があった。
※個人ブログにも投稿済みです。
大嫌いだったアイツの子なんか絶対に身籠りません!
みづき(藤吉めぐみ)
BL
国王の妾の子として、宮廷の片隅で母親とひっそりと暮らしていたユズハ。宮廷ではオメガの子だからと『下層の子』と蔑まれ、次期国王の子であるアサギからはしょっちゅういたずらをされていて、ユズハは大嫌いだった。
そんなある日、国王交代のタイミングで宮廷を追い出されたユズハ。娼館のスタッフとして働いていたが、十八歳になり、男娼となる。
初めての夜、客として現れたのは、幼い頃大嫌いだったアサギ、しかも「俺の子を孕め」なんて言ってきて――絶対に嫌! と思うユズハだが……
架空の近未来世界を舞台にした、再会から始まるオメガバースです。

顔も知らない番のアルファよ、オメガの前に跪け!
小池 月
BL
男性オメガの「本田ルカ」は中学三年のときにアルファにうなじを噛まれた。性的暴行はされていなかったが、通り魔的犯行により知らない相手と番になってしまった。
それからルカは、孤独な発情期を耐えて過ごすことになる。
ルカは十九歳でオメガモデルにスカウトされる。順調にモデルとして活動する中、仕事で出会った俳優の男性アルファ「神宮寺蓮」がルカの番相手と判明する。
ルカは蓮が許せないがオメガの本能は蓮を欲する。そんな相反する思いに悩むルカ。そのルカの苦しみを理解してくれていた周囲の裏切りが発覚し、ルカは誰を信じていいのか混乱してーー。
★バース性に苦しみながら前を向くルカと、ルカに惹かれることで変わっていく蓮のオメガバースBL★
性描写のある話には※印をつけます。第12回BL大賞に参加作品です。読んでいただけたら嬉しいです。応援よろしくお願いします(^^♪
11月27日完結しました✨✨
ありがとうございました☆
何も知らない人間兄は、竜弟の執愛に気付かない
てんつぶ
BL
連峰の最も高い山の上、竜人ばかりの住む村。
その村の長である家で長男として育てられたノアだったが、肌の色や顔立ちも、体つきまで周囲とはまるで違い、華奢で儚げだ。自分はひょっとして拾われた子なのではないかと悩んでいたが、それを口に出すことすら躊躇っていた。
弟のコネハはノアを村の長にするべく奮闘しているが、ノアは竜体にもなれないし、人を癒す力しかもっていない。ひ弱な自分はその器ではないというのに、日々プレッシャーだけが重くのしかかる。
むしろ身体も大きく力も強く、雄々しく美しい弟ならば何の問題もなく長になれる。長男である自分さえいなければ……そんな感情が膨らみながらも、村から出たことのないノアは今日も一人山の麓を眺めていた。
だがある日、両親の会話を聞き、ノアは竜人ですらなく人間だった事を知ってしまう。人間の自分が長になれる訳もなく、またなって良いはずもない。周囲の竜人に人間だとバレてしまっては、家族の立場が悪くなる――そう自分に言い訳をして、ノアは村をこっそり飛び出して、人間の国へと旅立った。探さないでください、そう書置きをした、はずなのに。
人間嫌いの弟が、まさか自分を追って人間の国へ来てしまい――

悪役のはずだった二人の十年間
海野璃音
BL
第三王子の誕生会に呼ばれた主人公。そこで自分が悪役モブであることに気づく。そして、目の前に居る第三王子がラスボス系な悪役である事も。
破滅はいやだと謙虚に生きる主人公とそんな主人公に執着する第三王子の十年間。
※ムーンライトノベルズにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる