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二十九話 忠誠ゆえに
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ミシャが壊れればカイも壊れる。
カミュはカイのために、ミシャをカイから救い出さなければならない。
カイは周りの声を聞く耳を持たない。聞くとしたらミシャの言葉ぐらいだろう。
一度、ミシャをあの部屋から連れ出し、ミシャを説得して彼からカイにあの生活をやめるようにいってもらうしかいない。
カミュは綿密に計画を立てた。
カイがミシャを監禁していることは一応は隠されている。そのため、公的な警備はほとんどやい。
カイの目さえ盗んでしまえばミシャを連れ出すことはできる。
だからカミュは大胆にもカイの寝室に窓から忍び込んだ。
カイの疑いの目をそらすために、庭師としての仕事の時間中に、高い木を剪定するのに使う梯子を使って侵入した。
寝室には大きなベッドの中にぽつん、と白髪の少年が横たわっていた。
久しぶりに見たミシャは前よりも痩せて、今にも消えてしまいそうな儚さを纏っていた。
「ミシャ様、ミシャ様」
時間もないので眠っているミシャを無理やり揺すって起こす。
「ん…カイ?しごと、おわったの…?」
目覚めたミシャはへにゃりと笑いながら当たり前のことのように足を開いた。
ミシャが着ているのはワンピースのような白い布一枚だけなので、そこが丸見えになってしまう。
先ほどまでカイを受け入れていたその場所からはとろりと白い蜜が零れ落ちていた。
「ミュ、ミシャ様!足を閉じてください。私は陛下ではありません。カミュです」
「んぇ…?っへ、カミュさん…?」
やっと正気に戻ったミシャが顔を赤らめて足を閉じた。
全身真っ白なのに、内臓は赤く熟れている様はあまりにも扇情的だ。
カミュは先ほど見たしまったものをなんとか頭の中から消した。
「ミシャ様、ここから出ましょう」
「え…?どぉして?」
とろりとした声で言ってミシャが首を傾げる。
「ここに閉じ込められてあんな生活をすればいつしかあなたは壊れてしまいます。あなたが壊れれば陛下も壊れる。陛下が壊れればゼルトリアも壊れます」
「んん~…なにいってるの?むずかしくて、わかんない…」
ミシャはうとうととし始める。ミシャはほんの3時間前までカイに抱かれていた。眠くて仕方ないのだろう。
「それならば申し訳ありませんが勝手に連れて行きます」
カミュは持ってきていたペンチを使ってミシャを部屋に繋いでいた鎖を手早く切った。
城の中をミシャを連れて行けば目立つので、ミシャを大きな箱の中に入れる。
「ん、カミュさん?なにも見えないよ…?」
「お眠りになっていてください。目が覚めた時には安全な場所に居ます」
部屋の外に待たせていたメイドのカートにミシャを入れた箱を乗せる。
このカートは下まで運ばれて商人の車に乗せられて城の外に出される手筈になっている。
ミシャが消えたことをカイが知れば一番に疑われるのは自分だろう。
今まで関わりのなかった下級貴族に賄賂を送ってミシャを匿うように頼んだが、関わりがなかったぶん約束が守られるかどうかは賭けである。
「とりあえず、城から離せればいい…」
自分が死刑になってもいい。
カイが壊れてしまうことが防げれば本望だ。
この状況をどうにかするにはミシャ本人がカイに抵抗しなくてはいけない。
カイを止められるのはミシャだけなのだから。
そのためにはまず、抱かれ続けたせいで壊れてしまったミシャの心を治さなくては。
カミュは入ってきた時と同じように窓から部屋を出た。
カミュはカイのために、ミシャをカイから救い出さなければならない。
カイは周りの声を聞く耳を持たない。聞くとしたらミシャの言葉ぐらいだろう。
一度、ミシャをあの部屋から連れ出し、ミシャを説得して彼からカイにあの生活をやめるようにいってもらうしかいない。
カミュは綿密に計画を立てた。
カイがミシャを監禁していることは一応は隠されている。そのため、公的な警備はほとんどやい。
カイの目さえ盗んでしまえばミシャを連れ出すことはできる。
だからカミュは大胆にもカイの寝室に窓から忍び込んだ。
カイの疑いの目をそらすために、庭師としての仕事の時間中に、高い木を剪定するのに使う梯子を使って侵入した。
寝室には大きなベッドの中にぽつん、と白髪の少年が横たわっていた。
久しぶりに見たミシャは前よりも痩せて、今にも消えてしまいそうな儚さを纏っていた。
「ミシャ様、ミシャ様」
時間もないので眠っているミシャを無理やり揺すって起こす。
「ん…カイ?しごと、おわったの…?」
目覚めたミシャはへにゃりと笑いながら当たり前のことのように足を開いた。
ミシャが着ているのはワンピースのような白い布一枚だけなので、そこが丸見えになってしまう。
先ほどまでカイを受け入れていたその場所からはとろりと白い蜜が零れ落ちていた。
「ミュ、ミシャ様!足を閉じてください。私は陛下ではありません。カミュです」
「んぇ…?っへ、カミュさん…?」
やっと正気に戻ったミシャが顔を赤らめて足を閉じた。
全身真っ白なのに、内臓は赤く熟れている様はあまりにも扇情的だ。
カミュは先ほど見たしまったものをなんとか頭の中から消した。
「ミシャ様、ここから出ましょう」
「え…?どぉして?」
とろりとした声で言ってミシャが首を傾げる。
「ここに閉じ込められてあんな生活をすればいつしかあなたは壊れてしまいます。あなたが壊れれば陛下も壊れる。陛下が壊れればゼルトリアも壊れます」
「んん~…なにいってるの?むずかしくて、わかんない…」
ミシャはうとうととし始める。ミシャはほんの3時間前までカイに抱かれていた。眠くて仕方ないのだろう。
「それならば申し訳ありませんが勝手に連れて行きます」
カミュは持ってきていたペンチを使ってミシャを部屋に繋いでいた鎖を手早く切った。
城の中をミシャを連れて行けば目立つので、ミシャを大きな箱の中に入れる。
「ん、カミュさん?なにも見えないよ…?」
「お眠りになっていてください。目が覚めた時には安全な場所に居ます」
部屋の外に待たせていたメイドのカートにミシャを入れた箱を乗せる。
このカートは下まで運ばれて商人の車に乗せられて城の外に出される手筈になっている。
ミシャが消えたことをカイが知れば一番に疑われるのは自分だろう。
今まで関わりのなかった下級貴族に賄賂を送ってミシャを匿うように頼んだが、関わりがなかったぶん約束が守られるかどうかは賭けである。
「とりあえず、城から離せればいい…」
自分が死刑になってもいい。
カイが壊れてしまうことが防げれば本望だ。
この状況をどうにかするにはミシャ本人がカイに抵抗しなくてはいけない。
カイを止められるのはミシャだけなのだから。
そのためにはまず、抱かれ続けたせいで壊れてしまったミシャの心を治さなくては。
カミュは入ってきた時と同じように窓から部屋を出た。
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