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十五話 いらない子
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その日、気もそぞろに夕食を取るミシャを見て、カイは庭作業で疲れたのだと思いすぐ休むように言ってくれた。
心から心配するカイの様子に余計にミシャの心は掻き乱される。
「明日は外に出ないで休んでいたほうがいい。お前はあまり身体が丈夫じゃないからな」
カイはミシャのことを大切にしてくれる。
でもそれはミシャがカイにとっての天使だからだ。
本当のミシャは周りに不幸を振り撒く忌子。それを知ったら、彼は…
「ミシャ?」
彼は、それでもミシャを大切にしてくれるかも知れない。
でも、でも…
カイの重荷になりたくない。
なんの役にも立たないミシャなんて、いないほうが良いに決まっている。
「そうですね…疲れたので、もう休みます」
ミシャは決めた。
優しいこの人ためにも、ミシャはここから消えるべきなのだ。
ミシャはその夜、こっそり寝室を抜け出した。
城の中は安全が保障されているから、夜間はほとんど見回りの兵もいない。
指定された場所まで行くのは簡単だった。
「無事に着いてなにより」
「あ、あの…本当に何も持ってこなかったんですけど、大丈夫ですか?」
「大丈夫だ。アマルティナに着くまで、お前には寝ててもらうからな」
「え…?」
突然、頭に衝撃が走りミシャの視界はちかちかと点滅し、そのままミシャは気を失った。
「運べ」
力なく倒れ込んだミシャを隠れていた男たちが袋の中に入れ城から運び出して行った。
心から心配するカイの様子に余計にミシャの心は掻き乱される。
「明日は外に出ないで休んでいたほうがいい。お前はあまり身体が丈夫じゃないからな」
カイはミシャのことを大切にしてくれる。
でもそれはミシャがカイにとっての天使だからだ。
本当のミシャは周りに不幸を振り撒く忌子。それを知ったら、彼は…
「ミシャ?」
彼は、それでもミシャを大切にしてくれるかも知れない。
でも、でも…
カイの重荷になりたくない。
なんの役にも立たないミシャなんて、いないほうが良いに決まっている。
「そうですね…疲れたので、もう休みます」
ミシャは決めた。
優しいこの人ためにも、ミシャはここから消えるべきなのだ。
ミシャはその夜、こっそり寝室を抜け出した。
城の中は安全が保障されているから、夜間はほとんど見回りの兵もいない。
指定された場所まで行くのは簡単だった。
「無事に着いてなにより」
「あ、あの…本当に何も持ってこなかったんですけど、大丈夫ですか?」
「大丈夫だ。アマルティナに着くまで、お前には寝ててもらうからな」
「え…?」
突然、頭に衝撃が走りミシャの視界はちかちかと点滅し、そのままミシャは気を失った。
「運べ」
力なく倒れ込んだミシャを隠れていた男たちが袋の中に入れ城から運び出して行った。
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