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十一話 本当に怖いこと
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ミシャが困惑している間に、行くなら早い方が良いと言ってカイはさっさと夕食を終えて外出する支度をしだした。
「ちょ、ちょっと待ってください」
「なんだ?この後なにか予定があったか?」
「な、ないです、けど…ぼ、僕、外に、外にで、出る、なんて…」
ミシャの脳裏に兄と家の外に出た日の記憶が蘇ってくる。
「外に出るのに何か心配なことがあるのか?肌や目が痛むか?」
「そ、そうじゃ…なくて」
冷たい街の人の視線。投げつけられる石。ミシャの身体がしっかりあの痛みを覚えている。
「こわいんです…外に、出るのが」
ミシャは震える体を自身の腕で抱きしめる。
「……お前が何を怖がっているか知らないが」
そんなミシャをカイが優しく包み込むように抱く。
「俺はこの世の全てからお前を守る」
ミシャはカイの優しい胸の鼓動を聞きながら目を閉じた。
小さい頃、ミシャを抱きしめてくれた兄のようだった。
「お前が傷つけられることはない」
違うんです、とミシャは言えなかった。
傷つくのは僕だけじゃないんです。
いつも傷つくのは僕の周りにいる人なんです。
そう、言うことはできなかった。
ミシャはずる賢い子だから、カイがこうしてミシャを守ろうとしてくれるのが嬉しくてわざと沈黙したのだ。
「ちょ、ちょっと待ってください」
「なんだ?この後なにか予定があったか?」
「な、ないです、けど…ぼ、僕、外に、外にで、出る、なんて…」
ミシャの脳裏に兄と家の外に出た日の記憶が蘇ってくる。
「外に出るのに何か心配なことがあるのか?肌や目が痛むか?」
「そ、そうじゃ…なくて」
冷たい街の人の視線。投げつけられる石。ミシャの身体がしっかりあの痛みを覚えている。
「こわいんです…外に、出るのが」
ミシャは震える体を自身の腕で抱きしめる。
「……お前が何を怖がっているか知らないが」
そんなミシャをカイが優しく包み込むように抱く。
「俺はこの世の全てからお前を守る」
ミシャはカイの優しい胸の鼓動を聞きながら目を閉じた。
小さい頃、ミシャを抱きしめてくれた兄のようだった。
「お前が傷つけられることはない」
違うんです、とミシャは言えなかった。
傷つくのは僕だけじゃないんです。
いつも傷つくのは僕の周りにいる人なんです。
そう、言うことはできなかった。
ミシャはずる賢い子だから、カイがこうしてミシャを守ろうとしてくれるのが嬉しくてわざと沈黙したのだ。
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