忌子は敵国の王に愛される

かとらり。

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四話 略奪

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 それからまもなくアマルティナはゼルトリアと開戦した。

 軍事力で圧倒的に劣るアマルティナはゼルトリアに完敗した。

 しかし、戦勝国のゼルトリアがアマルティナに求めたのは、金でも領土でもなく、ある一人の忌子だった。
 アマルティナが拒む理由はなかった。

「そんな、どうしてミシャを!?」

 父は抵抗したが、半ば強引に兄がミシャを引き渡した。ミシャも抵抗しなかった。

「野蛮なゼルトリアではその忌子が神聖だとか言って讃えられているそうですよ。この国にいるより、ミシャも幸せでしょう」

 兄は清々とした顔をして言い捨てた。

 兄の言ったことは本当なのだろうか。
 ミシャのような忌子を讃える国があるなんて正気とは思えない。

 でも現にゼルトリアはミシャを求めたのだ。

 ミシャは逃げられないように手に枷をはめられて、二人の傭兵に付き添われてゼルトリアの王のところへ連れて行かれた。

「入れ」

 冷たい声で命じられてミシャは天幕の中へ入った。
 ミシャが恐る恐る入るとそこには真っ黒な髪の大男が座っていた。
 毒々しいほどに鮮やかな赤い瞳がミシャを見つめる。

 華奢で上から下まで真っ白いミシャとは色も体格も違うその男に怯えてしまう。

「お前が、俺の天使か…」
「…ぇ?」

 ぐいっと縛られた両手を引かれてミシャは男の胸に顔を埋めてしまった。

「あぁ…小さくて可愛い。可憐な匂いもする。なんて艶やかで滑らかな髪なんだ。穢れを知らない…まさに天使のような美しい瞳。そして手に吸い付くような肌。なにもかもが俺の想像通り…いや、それ以上だ」
「え?なに…?」

 すんすんと体臭を嗅がれて髪を梳かれたり身体中を撫で回されたり、全身舐めるように見られて、ミシャは困惑してしまう。

「ここはまだ誰にも穢されていないだろうな…?」
「へ…ひぁ」

 男はミシャの服の中まで手を滑り込ませ後孔に触れてきた。

「な、なんでそんなとこ触るんですか?汚いです…!」

 そもそもどうしていきなりミシャは知らない男に体をまさぐられているのか。ミシャはゼルトリアの捕虜になるばすだったのに。

「お前の身体に汚いところなどない。……それとも、他の男にここを穢されたのか?」
「っ……」

 唐突にすごまれてミシャは体を固めた。

「なぜ答えない」

 何か答えないと、そう思っても恐怖に固まった身体はピクリとも動かない。そもそもなんと聞かれていたのか恐怖と困惑で忘れてしまった。

「まさか…俺の天使が汚されていたなんて……許せない」
「ひ…」

 喉から引きつったような声が溢れた。身体は震えるばかりで逃げることも抵抗することもできない。

「許せない、許せない許せない許せない許せない許せない許せない」

 びりびりと服が破られミシャは布を引っ掛けただけの裸に近い状態になってしまった。

「ぇ…」

 一気に服の全てを破かれたのにも驚きだがなによりもミシャを驚かせたのは男の恐ろしい形相だった。自分は殺されてしまうのではないか。そう思うほどの殺気を孕んでいた。

「やだっ…」

 逃げなくては、と脳みそが告げた。
 逃げたいのに身体はうまく動かない。じりじりと地を這うタコのようにゆっくりとしか動けない。

「逃げる事は、許さない。お前は俺だけの天使だ」
「てんし…?」

 さっきから天使と言っているのは自分のことなのだろうか。そんなことがあるわけがないのに。

「さぁ、俺の天使。俺に操を立てられなかった罪をその体で贖え」

 男はさっき触っていたミシャの不浄の場所に再び触れた。
 しかし今度は触れるだけではなく、あろうことか中にまで指を入れ込んできたのだ。

「ひっ…」

 なぜそんなところに指を。思えば男の指はなにかぬめついたものが塗られていた。だからこんなところに簡単に指を入れられたのだ。

「や…いやですっ…やめてください!」
「ずいぶん狭いんだな。指一本だけでもきつきつだ」

 当たり前だ。そもそもそこに何か入れるのがおかしいのだから。

「抜いてください。お願い、お願いですから…」

 気持ち悪いのと情けないのとでミシャの瞳からはぽろぽろと涙まで溢れてきて、より一層情けなくなってしまう。

「こわい…やだぁ」
「このくらいで泣いては困る」

 そういうと同時にぬるんともう一本指が入ってきた。
 二本になった指は自由気ままにミシャのなかを蹂躙する。
 ぐいーっとなかを広げられたり何かを探るよに弄られたり。

 ミシャが唇を噛んで不快感に耐えているうち、徐々に不思議な感覚が生まれ始めた。
 腹の中がむず痒くなるような気持ち。

「な、なにか、へん」
「薬を使った」
「くすり…?」

 それは危なくないのだろうか。粘膜に薬を塗るなんて見るからに危険だ。

 しかし、どんどんミシャの頭は尻の中のむず痒さに侵食されていく。

「うぅー…痒い」
「そうか、痒いか」

 そういうなり、男はミシャのナカから指を引き抜いた。

「あ…ぇ?」

 どうして、と思うが男は何もしない。
 何をするつもりなのかと待っているうちにもむず痒さはどんどん増していく。

(かゆい、かゆい、かゆい…なんで触ってくれないの…)

 思いっきりかきむしりたくなるほどの痒みが体のうちから湧き上がる。
 そして痒みは理性を打ち砕いて本音を隠すことを難しくしていく。

「うぅー…」

 痒くて痒くてしかたなくてミシャはぐずぐず泣いてしまう。

「なぜ泣く」
「痒い…かゆいー…」

 もう我慢できなくてミシャは薬を塗り込まれた胎内に指を入れようとした。はしたないことだとはわかっても耐えられない。

 なのに

「ダメだ」

 男はミシャの手を掴んでそれを防いだ。

「なんれ…かゆい、たえられないっ…」
「触って欲しいのなら謝罪しろ」
「しゃざい…?」
「俺に操を立てられなかった謝罪だ」
「どうして…?」

 どうしてミシャが見知らぬこの男に操を立てなくてはいけないのだ。それにそもそもミシャは女性とも男性とも関係したことはない。

 そもそも、名前も知らないこの男に、どうしてミシャはいきなりこんなことをされているのだろう。

「分からないのか?それなら分からせてやろう。俺のこの怒りを」
「え……?っひ」

 男は服を脱ぎ出したかと思うといきりたった性器をミシャに見せつけた。

「なに、それぇ」

 ミシャのものとは全く違った大きさに恐怖を覚え腰が引ける。
 しかし男はミシャの腰を掴んで引き寄せ、その勢いのまま性器を奥深くまで突き入れた。

「ひ、ぁああああ!!」
「きついな…」
「な、なに…なにして、あぅう」

 痛い、し、苦しかった。でもそれよりなにより…

(かゆいとこ、擦られて、気持ちいい…)

 男が本能のままに動くたびに擦られるとむず痒さが薄れる。

「う、あぁ…あぅう」
「気持ちがよさそうだな」
「もっと、もっとうごいて…」

 真っ白な肌を赤く染めてミシャは甘えた声でくずった。
 それは痒みを止めて欲しかっただけだったけど、男はそうとはとらなかった。

「俺の天使が、こんなに淫靡だったなんて…」
「てんし、って…?」

 さきほどから男が言っている天使とは、父がよく描いていたあの天使のことなのだろうか。

「あの日から、お前が俺の全てだったんだ…なのに、なのに…お前は俺以外の男と…」
「ひ、やぁああ!やだっ!」

 男がぐりぐりと最奥に凶悪なソレをねじ込もうとするように腰を押し付けてきて、ミシャは悶えた。

「なんか、だめっ…だからぁ、そこ、こえちゃ、だめぇ」

 ミシャは必死に身悶えするが、腰を押さえつける男の屈強な腕は揺らがない。
 ずぷん、と奥の奥、なにかを貫通した音がした。

「ひっ……う」

 チカチカと視界が点滅し、一瞬意識が飛びそうになる。
 ミシャは声も出せずに口をはくはくして、涙を流すことしかでない。

「結腸を破られるのは初めてだったか?」
「あ…ぁ…」

 あえかな声を満足そうに聞いて、男はまた動き始める。
 ミシャの記憶は、そのあたりから途切れてしまった。
 
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