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十九話 絆の深め方
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気まずい別れをした翌日、意外にもセシリオはルイに話しかけてきた。
「一緒に昼食を食べませんか?」
「いいですけど…」
いつものように誰もいない屋上に二人で上る。
「あの…昨日はすいません。気遣いのないことを言った自覚はあります」
「はい。気遣いは全くありませんでしたね。さすがの僕も傷つきました」
「う…すいません」
セシリオは古ぼけたベンチに座ってサンドイッチを食べ始めた。
「でも、僕はルイ様が大好きなので許してあげます。愛がわからないとか言ってましたが、それは今まで愛を知らなかっただけということ。もしかしたらルイ様が僕以外は愛せない運命にあったからかもしれません。だから、これからルイ様には僕を愛すことで愛を知ってもらえればいいという結論に達しました」
「……はぁ、そうですか」
半分以上理解できなかったが、ルイは同意だけしておいた。
「ふふ、僕がこんなに誰かのために努力することなんてなかったんですよ」
「努力?」
「ルイ様、これを食べてくれませんか?」
セシリオが差し出したのはおそらくサンドイッチが入っているランチボックスだった。同じものがいまセシリオの膝にのっている。
「僕が作ったんです」
「え?あなたが?」
「はい。包丁を使わないものなら作っていいとお家から言われたのでサンドイッチを」
貴族は料理なんて下々の仕事はしない。
ルイは暗殺を恐れて料理をすることはしばしばあったが、セシリオは生まれてから料理なんてしたことは一度もないに決まっている。
たとえそれが具材をパンにはさむだけのサンドイッチだとしても。
「お兄様の恋人さんに前に教えてもらったんです。庶民の恋人はこうして絆を深めるらしいです」
「お兄様の?」
「ご存じありませんか?シルバーお兄様は数年前にお義姉様と死別されました。今は庶民の子と事実婚状態なんです」
「それは、なんというか…そうですか」
ジューン家はずいぶんと波乱万丈な恋愛経験を持っているらしい。
「そんなことより、どうです?サンドイッチ、おいしいですか?」
「はい、おいしいですよ」
「良かった」
サンドイッチみたいな料理とも言えないようなものを不味く作れたらそれはそれですごいことだ。
でも、自分のために料理を作ってもらったことなんてないルイからしたら、ただ作ってもらったというその理由だけでおいしく感じてしまってもしかたないだろう。
「明日からも僕が作ってあげますね」
「毎日サンドイッチですか…?」
「包丁を使わない料理が他にもあれば作れます!」
とっさになんの料理も浮かんでこなかったが、とりあえずはサンドイッチだけでもいいかとルイは思った。
「一緒に昼食を食べませんか?」
「いいですけど…」
いつものように誰もいない屋上に二人で上る。
「あの…昨日はすいません。気遣いのないことを言った自覚はあります」
「はい。気遣いは全くありませんでしたね。さすがの僕も傷つきました」
「う…すいません」
セシリオは古ぼけたベンチに座ってサンドイッチを食べ始めた。
「でも、僕はルイ様が大好きなので許してあげます。愛がわからないとか言ってましたが、それは今まで愛を知らなかっただけということ。もしかしたらルイ様が僕以外は愛せない運命にあったからかもしれません。だから、これからルイ様には僕を愛すことで愛を知ってもらえればいいという結論に達しました」
「……はぁ、そうですか」
半分以上理解できなかったが、ルイは同意だけしておいた。
「ふふ、僕がこんなに誰かのために努力することなんてなかったんですよ」
「努力?」
「ルイ様、これを食べてくれませんか?」
セシリオが差し出したのはおそらくサンドイッチが入っているランチボックスだった。同じものがいまセシリオの膝にのっている。
「僕が作ったんです」
「え?あなたが?」
「はい。包丁を使わないものなら作っていいとお家から言われたのでサンドイッチを」
貴族は料理なんて下々の仕事はしない。
ルイは暗殺を恐れて料理をすることはしばしばあったが、セシリオは生まれてから料理なんてしたことは一度もないに決まっている。
たとえそれが具材をパンにはさむだけのサンドイッチだとしても。
「お兄様の恋人さんに前に教えてもらったんです。庶民の恋人はこうして絆を深めるらしいです」
「お兄様の?」
「ご存じありませんか?シルバーお兄様は数年前にお義姉様と死別されました。今は庶民の子と事実婚状態なんです」
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「はい、おいしいですよ」
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でも、自分のために料理を作ってもらったことなんてないルイからしたら、ただ作ってもらったというその理由だけでおいしく感じてしまってもしかたないだろう。
「明日からも僕が作ってあげますね」
「毎日サンドイッチですか…?」
「包丁を使わない料理が他にもあれば作れます!」
とっさになんの料理も浮かんでこなかったが、とりあえずはサンドイッチだけでもいいかとルイは思った。
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