被虐趣味のオメガはドSなアルファ様にいじめられたい。

かとらり。

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八話 秘事

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 ルイは緊張しながら自分の部屋で待っていた。

 約束してしまった以上責任は果たさなくていけない。
 そう思ったルイは図書室に赴き、被虐趣味のある人物の出てくる本を読んだ。
 その内容はあまりにも刺激的でルイは気が遠くなってしまった。

「あんなことできるのか…?あの子に」

 セシリオは線の細い、いかにもオメガという風貌だ。
 アルファの習性なのか知らないが、ああいうオメガらしい風貌のものは無条件で守りたくなってしまうものなのだ。
 セシリオの家族がセシリオを可愛がっているのはそういう理由もあるのだろう。

 それを虐げるなんて。

 ルイが悩んでいる間に時は過ぎ、扉をノックする音が響いた。

「ルイ様…セシリオです」
「はい」

 ルイが扉を開けると緊張した様子のセシリオが立っていた。
 緊張していたのがルイだけではないとわかり少しホッとする。

「あの、えっと…これ!」

 ずいっと、セシリオがルイに差し出したのは真っ赤な縄だった。

「…縄」
「今日は初めてなので…縛るのならルイ様でもできるかと思ったのですが…」

 縛る。たしかに小説の中にそのような描写はあった。
 しかし具体的な縛り方などは書いていない。

「ルイ様が縛りたいように縛ってくれればいいんです」
「いや、僕には縛りたいなんて気持ち少しもないんですけど…」
「あっ…す、すみません」
「何喜んでるんですか」
「その冷たい瞳…素敵です」
「はぁ…」

 ルイはとりあえずセシリオから縄を受け取る。

「じゃあ、僕が基本的な縛り方を教えるのでそれに従って縛り付けてください」
「はい」

 ルイはセシリオの言う通りに縄を巻きつけていく。
 人の縛り方は習っていないものの、ロープの縛り方はある程度学んでいる。野営に必要だからだ。
 元から器用なのも相まって上手く縛り付けることができた。

 セシリオの純白の絹の寝巻きの上に真紅の縄が巻き付いているのは確かに官能的だった。

「これでいいんですか?」
「はい」

 ルイは肩透かしを喰らったような感じがした。
 もっとハードなことをさせられると思っていた。
 あくまで小説は小説。実際はあそこまで酷いことはしないのだろうか。ルイは少し安心した。

「ん…」

 セシリオは身じろぐが縄のせいでほとんど動けないようだ。

「大丈夫ですか」
「は、はい…」

 セシリオは頰を紅潮させている。
 縄は結構際どいところまで食い込んでいる。

「あ、う…」

 セシリオは動くたびにあえかな喘ぎ声をあげる。
 どうやら動けば動くほどキツくなっていくような縛り方になっているようだ。

「…ほどきましょうか?」
「ん…らいじょうぶ…れす、ふぁ…!」

 セシリオは顔を真っ赤にして身体を震わせている。
 大丈夫と本人は言うが、見ている側からすれば心配だ。
 それに、セシリオからほんのりとあの匂いが香り始めている。
 また理性を失うのは避けたい。

「…やっぱり心配です。あなたの身体に傷をつけでもしたら僕が困りますから」

 ルイは縄を解こうとして縛り目をぐいっと引っ張った。

「へ、あっ…さ、さわっちゃ…あぁあ!!」

 すると、セシリオは一際大きく身体を震わせて、そしてくたりとベッドに突っ伏してしまった。

「セシリオ様…?っ!!」

 なにかしてしまったのかと焦るルイを、あの匂いが襲った。

「あ…うぐ」

 理性が持っていかれる甘い匂い。
 その匂いは、セシリオの下半身から強く香っている。

「もしかして…」
「あ、ごめんなさ……許可なくイって、ごめんなさい…」

 セシリオの下肢はほんのりと濡れていた。

「っ…あ」

 引き寄せられるように、ルイはセシリオの下肢へにじり寄る。

「ルイ、さま…?」
「う…うぅ…」

 この甘い蜜を啜りたい。その欲求に抗うことはできなかった。

「ひ、ひぁ!ルイ様っ?」

 ルイがセシリオの濡れた股間を舐めると、セシリオが間の抜けた声をだす。

「そんなとこ、だめですっ…」
  
 セシリオの精液の味は甘美だった。
 もっと味わいたいと思うのに、縄と寝巻きが邪魔で蜜にありつけない。

「る、ルイ様…?どうしてしゃべってくださらないんですか?」

 困惑するセシリオをよそに、ルイは赤い縄に手をかけた。

「ひ、う…」

 一瞬、締め付けられる感覚にセシリオは喘ぐ。しかし、その後ぶち、という鈍い音とともに戒めは解かれた。

「うそ…」

 ルイが素手で、あの丈夫な縄を引きちぎったのだ。

 しかも、それだけでは止まらない。
 ルイは上質な絹で作られた寝巻きまでびりびりに破り捨ててしまった。

 そしてすっかり萎えてしまったセシリオの性器をためらいもなく口にふくんだ。

「へあっ!?」
「ん、むぐ…」
「る、ルイさま!やめてっ…だめっ…」

 甘い匂いのせいで理性を失ったルイが止まるわけなかった。

 セシリオはご主人様に自分のものを舐めさせるという背徳的な行為に溺れていた。

「あぁっ…だめ、もうっ…!」
「ん…」

 ルイは溢れた精液を一滴残らず嚥下してしまった。

「はぁっ…はあっ…」

 セシリオは獣のような目をしたルイを見て腰を疼かせた。

 あの時のような、激しい行為が始まることを期待して。そして、その期待はすぐに叶えられることになった。

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