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ねこちゃん驚く
しおりを挟む澪は猫種だ。
つまり何が言いたいかというと、澪がお昼寝をし過ぎてしまうことは仕方ないことではある。
しかし、しかしだ。
「いくらなんでも寝すぎな気がする…」
今日も1日のほとんどを日向のお昼寝で使ってしまった。
沈みかける太陽を哀しく見つめる。
「はぁ…僕、ダメな子だ」
「あれ?にゃんこちゃんだ」
「あ、あなたは…」
いつだか迷子の澪を助けてくれた人がいた。
「どう?慶斗とうまくいってるの?」
「……」
「えっ?もしかしてうまくいってない?」
上手く…はいってない気がする。そしてその要因は澪にある。
「僕って…狼種の人から見たらちっちゃくて子供みたいですよね」
「んん?まぁそうだね」
「そんな僕のこと、恋愛対象として見れませんよね…」
「そうかぁ?かわいくていいと思うけどな。ほら、狼種の女っておっかないじゃん。慶子さんとかもそうだけどさ」
かわいい…たしかに、澪は可愛いかもしれない。
けどそれは容姿だけで、緊張のせいで慶斗に話しかけられてもほとんど返すこともできない澪はきっと無愛想で可愛げなくみえている。
「ま、安心しな、ねこちゃん。慶斗は優しいしいいやつだから、きっと上手くやれるよ」
その人は澪の頭を優しく撫でた。
(あれ…この撫で方、慶斗さんに似てる…)
澪はいつものくせでついその手に頭を擦り寄せてしまった。
その時、
「なにしてるんですか」
澪の大好きな人の声が聞こえた。
「慶斗さん」
「おいおい、そんな怒った顔すんなよ、慶斗。ちょっと遊んでただけだよ」
「……別に兄さんに怒ってるわけでは」
「えっ?兄さん?!」
澪は男の人を二度見した。
「あれ?言ってなかった?俺、慶斗の兄の北斗…まぁ、母親は違うんだけどね」
「え?に、似てない…」
慶斗は厳格で寡黙な感じだが、北斗は軽くて浮ついている感じがする。同じ家庭で育ったようには見えない。
「兄さん、無闇にこの子に近づくのはやめてください」
「嫉妬する男は嫌われるぞ」
「兄さん!…分かっているでしょう?兄さんのことを思って言っているんです」
「…わかってる。ただ…心配なんだよ、お前らが」
どういうことなのか分からずに澪が首を傾げているうちに会話は終わってしまった。
「じゃあ、俺は行くよ」
「兄さん!」
北斗は引き止める慶斗の声を背中に行ってしまった。
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