2 / 4
逃がさない×逃げたい 2
しおりを挟む
春はもう向かう場所を決めていた。
縁切寺だ。
縁切寺に駆け込めばあの男でも春を取り返すことはできないだろう。
春は一直線に縁切寺に向かった。
そのころ、祐紀の家のものは仕事を終え城から降りてきた祐紀に母の来訪と春が出かけたことを報告していた。
「母が…?それより、はるが出かけたって…」
ただ出かけただけのはずがあるまい。
母をうまく丸め込んで祐紀から逃げたのだ。
春はどこに行ったか。
「…春はどんな荷物を持っていた」
「え?えっと…随分たくさん荷物をもってらしたよ。しかもこう…ずっしり重そうな」
なら、春の実家ではない。
実家なら着の身着のままで行くはずだ。持っていくにしても本当に大事なものだけ持っていくだろう。
実家でないなら、どこにいくのか。
春が頼りにできるところなどそうそうない。それこそ神頼みぐらいしかできないだろう。
「…神」
「はい?」
祐紀の中に最悪な答えが浮かんだ。
縁切寺。
賢い春はそこに行ったに違いない。
そこに行けさえすれば春は祐紀から逃げおおせることができる。
「馬を出せ!」
「は、はい!」
にがさない。
やっと自分のものにできたのに、今更手放すわけがない。
祐紀は縁切寺に馬を走らせた。
春が出かけた時刻を考えると馬を走らせても間に合うかはわからない。
祐紀はこれまでになく焦った様子で馬を急かした。
縁切寺だ。
縁切寺に駆け込めばあの男でも春を取り返すことはできないだろう。
春は一直線に縁切寺に向かった。
そのころ、祐紀の家のものは仕事を終え城から降りてきた祐紀に母の来訪と春が出かけたことを報告していた。
「母が…?それより、はるが出かけたって…」
ただ出かけただけのはずがあるまい。
母をうまく丸め込んで祐紀から逃げたのだ。
春はどこに行ったか。
「…春はどんな荷物を持っていた」
「え?えっと…随分たくさん荷物をもってらしたよ。しかもこう…ずっしり重そうな」
なら、春の実家ではない。
実家なら着の身着のままで行くはずだ。持っていくにしても本当に大事なものだけ持っていくだろう。
実家でないなら、どこにいくのか。
春が頼りにできるところなどそうそうない。それこそ神頼みぐらいしかできないだろう。
「…神」
「はい?」
祐紀の中に最悪な答えが浮かんだ。
縁切寺。
賢い春はそこに行ったに違いない。
そこに行けさえすれば春は祐紀から逃げおおせることができる。
「馬を出せ!」
「は、はい!」
にがさない。
やっと自分のものにできたのに、今更手放すわけがない。
祐紀は縁切寺に馬を走らせた。
春が出かけた時刻を考えると馬を走らせても間に合うかはわからない。
祐紀はこれまでになく焦った様子で馬を急かした。
1
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
風邪ひいた社会人がおねしょする話
こじらせた処女
BL
恋人の咲耶(さくや)が出張に行っている間、日翔(にちか)は風邪をひいてしまう。
一年前に風邪をひいたときには、咲耶にお粥を食べさせてもらったり、寝かしつけてもらったりと甘やかされたことを思い出して、寂しくなってしまう。一緒の気分を味わいたくて咲耶の部屋のベッドで寝るけれど…?
ダンス練習中トイレを言い出せなかったアイドル
こじらせた処女
BL
とある2人組アイドルグループの鮎(アユ)(16)には悩みがあった。それは、グループの中のリーダーである玖宮(クミヤ)(19)と2人きりになるとうまく話せないこと。
若干の尿意を抱えてレッスン室に入ってしまったアユは、開始20分で我慢が苦しくなってしまい…?
おねしょ癖のせいで恋人のお泊まりを避け続けて不信感持たれて喧嘩しちゃう話
こじらせた処女
BL
網谷凛(あみやりん)には付き合って半年の恋人がいるにもかかわらず、一度もお泊まりをしたことがない。それは彼自身の悩み、おねしょをしてしまうことだった。
ある日の会社帰り、急な大雨で網谷の乗る電車が止まり、帰れなくなってしまう。どうしようかと悩んでいたところに、彼氏である市川由希(いちかわゆき)に鉢合わせる。泊まって行くことを強く勧められてしまい…?
咳が苦しくておしっこが言えなかった同居人
こじらせた処女
BL
過労が祟った菖(あやめ)は、風邪をひいてしまった。症状の中で咳が最もひどく、夜も寝苦しくて起きてしまうほど。
それなのに、元々がリモートワークだったこともあってか、休むことはせず、ベッドの上でパソコンを叩いていた。それに怒った同居人の楓(かえで)はその日一日有給を取り、菖を監視する。咳が止まらない菖にホットレモンを作ったり、背中をさすったりと献身的な世話のお陰で一度長い眠りにつくことができた。
しかし、1時間ほどで目を覚ましてしまう。それは水分をたくさんとったことによる尿意なのだが、咳のせいでなかなか言うことが出来ず、限界に近づいていき…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる