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フィリップとお話

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 とりあえずレイのことも結婚のことも解決した(?)のでフィリップとミカエルの問題を考えなくては。

 フィリップとミカエルの問題は国の跡継ぎ問題だ。
 レイと似たような感じだった気がする。(複雑すぎてあんま覚えてないけど)

 簡単にすれば、たしか、ミカエルもフィリップも互いに自分ではなく相手に跡を継いで欲しいと思っていたことで、周りが二派に割れてしまったという話だった気がする。

 ゲームでは主人公の選んだ方が、主人公に応援されて王様になった。

(だから、フィリップかミカエルのどっちかにさっさと王様やる気出してもらわないと…)

 どうやら僕はミカエルの嫁になるらしいし、できればフィリップに王様になってほしい(めんどくさいから)

 よし、じゃあフィリップのとこ行って説得しに行こう。

 ミカエルもレイもいなくて暇だったので僕はフィリップを探しに出た。












 フィリップを探してもなかなか見つからなくて僕は城を五周はした。
 僕の体力がないのと城が広いせいで四時間かかった。
 
 フィリップは図書館で本を読んでいた。

「…」

 どう話しかけようか迷っていたらフィリップが僕に気づいて本から顔を上げた。

「俺になんか用か?」
「えっと…」

 いきなり王様になってと頼むのも変だし…

「本読むの、好きなの?」
「あぁ…いや、本を読むのは好きじゃないが…」

 僕はフィリップに近づき本を覗き込んだ。

「わぁ…綺麗な絵、これどこ?」
「……隣の国のハカメリ港の風景画だ」

 意外だった。
 フィリップはクールなイメージがあったけどこんな可愛い本を読むなんて。

「こういうの好きなの?」
「あぁ、異国とか、下町とか、自分が行ったことがない所のことを知るのが好きなんだ」

 フィリップは本を閉じて本棚にしまってしまった。

「王族らしくないだろ。民衆とは一番遠い存在なのに、民衆のことばかり考えてる…」
「え?むしろ逆じゃない?国民のことを考えるのが国主の務め……あ!!!」
「あ?」

 思い出した!!!

 フィリップが王位を継ごうとしない理由。
 フィリップは民衆思いで王子の頃から貴族に厳しくしすぎて、不満に思った貴族が批判しまくっていた。

 それでフィリップは自信が無くなってしまったんだ。

 民衆はフィリップの政策(とはいっても現国王が施行してる)に喜んでたけどそれをフィリップは知らなかった。

「たぶん町の人はフィリップに感謝してると思うよ。自信持って!」

 なんとも上から目線で僕はフィリップにそう言った。

「……ありがとな」

 フィリップは僕の頭をわしゃわしゃとすこし乱暴になでた。

「ところで」

 僕を撫でてた手が止まってガシッと僕の頭を掴んだ。痛い。

「なんでお前は十年以上引きこもってたのに俺が民衆の負担を軽くする政策を出したことを知ってるんだ?」
「え…?」

 すごい近距離にフィリップの顔が迫って僕の顔を覗き込まれる。

「しらばっくれるな。いま言っただろ。町の人は俺に感謝してるって。俺が民衆になにか感謝されるようなことしたって知ってるてことだろ?」
「あ…」

 口が滑ったぁぁあ!
 動揺が顔に出ないように頑張って笑顔を浮かべる。

「えへへ…」
「笑って誤魔化すな」

 頭を掴んでる手とは逆の手でほっぺたを掴まれた。

「よ、妖精さんが教えてくれたの!」

 焦った僕は咄嗟にそう言った。
 魔法があるなら妖精もいるだろうという安易な予測だ。

「そんなんで俺を騙せると思ってるのか…?」

 どうやらダメだったらしい。

 ぎちぎちと頭とほっぺたが締め付けられていく。痛い痛い痛い。

 ま、まじでどうしよう。
 僕は焦った。焦ったらあの悪癖が現れる。

 うりゅうりゅと僕の目に涙が込み上げてきた。

「ちょ、おま、まっ…」
「ひっく…」

 僕の悪癖兼必殺技、ギャン泣きだ。

「ほんとだもぉおおおおおおお!!!!」
「あぁあ!泣くな!!おねがいだから」
「ふぇえええええ!」





 僕はその後かけつけたミカエルによしよしされるまで泣き続けた。
 フィリップはげっそりした顔で、
「その赤ちゃんにちゃんとしつけしろ」
 とミカエルに言っていた。
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