6 / 32
相談(ミカエルside)
しおりを挟む
どうしよう
さっきからミカエルの頭にはその言葉ばかり浮かんでいた。
学友のマリウスとアザゼアが婚約すると言うことで、少しの間公務を抜け出して婚約パーティーに顔を出した。
仕事があるから早めに帰ろうとしたら廊下でアザゼアそっくりの美少年に出くわして、しかもその子はなんと監禁されていたと言う。
少年の怯えようからしてどうやら嘘ではない。
とりあえず保護はしたけど、これからどうしよう…
とりあえず頼りになる兄、フィリップに相談しようと会場に戻った。
「兄上!」
「え、ミカエル?お前帰るって言ったよな。忘れ物か?」
「少し話が…あって…」
そう言いつつミカエルは周りを見回した。
会場にはジオルドがいる。
と言うことはあの子が逃げ出したのもまだバレてない。
「実は…」
ミカエルは兄にあったことをそのまま話した。
「…にわかには信じがたいな。あのジオルドがそんなことをしてるなんて。新手の暗殺者だったりしないか?」
「こんなめんどくさいやり口で?なにより、彼はアザゼアにそっくりでしたよ。驚くほどに」
「…分かった。とりあえずそいつを匿ってやれ。もしもその話が本当だったら大変だからな。そいつが本当にアザゼアの弟がどうかはアザゼアと親に聞けばわかる」
アザゼア達の両親はアザゼアが幼少の頃から国内外を飛び回って仕事をしている。確認には時間がかかるかもしれない。
「とりあえずアザゼアに聞こう。パーティーに水を差すようで悪いが」
「じゃあ僕が聞いてきます」
ミカエルはマリウスと話しているアザゼアの方に向かった。
「アザゼア、ちょっといいですか?」
「なに?」
ミカエルはジオルドを気にして小声でアザゼアの耳元にささやいた。
「あなたに、監禁されている同い年の弟っていますか?」
アザゼアは真っ赤な目を丸くして、それから微笑んだ。
「良かった、ジオルドに見つかる前に助けてもらえたのね」
「じゃあやっぱり…」
「そうよ、ユキは私の双子の弟」
まさか本当にジオルドが弟を監禁してたなんて。
「本当によかった。ずっと解放してあげたいと思っていたの。でも、失敗したら2度目はない。今日はジオルドも油断していて、しかもユキを助けてくれそうな人が屋敷に来てくれるチャンスだったの」
アザゼアは安心したようにため息をついた。
「ミカエルなら安心だわ。面倒ごとを押し付けるようで悪いけど、ユキのことをお願いしてもいい?」
美しいアザゼアに首を傾げてお願いされると悪い気はしない。
「わかった、責任を持って彼は僕が守ります」
ミカエルはアザゼアとマリウスに礼をして兄の元へ戻った。
「兄上、どうやら本当だったみたいです」
「そうか…」
「彼を城に連れて行きます。いいですか?」
「あぁ」
ミカエルは馬車の中で震えて待っているだろう少年のために挨拶もそこそこに会場を後にした。
さっきからミカエルの頭にはその言葉ばかり浮かんでいた。
学友のマリウスとアザゼアが婚約すると言うことで、少しの間公務を抜け出して婚約パーティーに顔を出した。
仕事があるから早めに帰ろうとしたら廊下でアザゼアそっくりの美少年に出くわして、しかもその子はなんと監禁されていたと言う。
少年の怯えようからしてどうやら嘘ではない。
とりあえず保護はしたけど、これからどうしよう…
とりあえず頼りになる兄、フィリップに相談しようと会場に戻った。
「兄上!」
「え、ミカエル?お前帰るって言ったよな。忘れ物か?」
「少し話が…あって…」
そう言いつつミカエルは周りを見回した。
会場にはジオルドがいる。
と言うことはあの子が逃げ出したのもまだバレてない。
「実は…」
ミカエルは兄にあったことをそのまま話した。
「…にわかには信じがたいな。あのジオルドがそんなことをしてるなんて。新手の暗殺者だったりしないか?」
「こんなめんどくさいやり口で?なにより、彼はアザゼアにそっくりでしたよ。驚くほどに」
「…分かった。とりあえずそいつを匿ってやれ。もしもその話が本当だったら大変だからな。そいつが本当にアザゼアの弟がどうかはアザゼアと親に聞けばわかる」
アザゼア達の両親はアザゼアが幼少の頃から国内外を飛び回って仕事をしている。確認には時間がかかるかもしれない。
「とりあえずアザゼアに聞こう。パーティーに水を差すようで悪いが」
「じゃあ僕が聞いてきます」
ミカエルはマリウスと話しているアザゼアの方に向かった。
「アザゼア、ちょっといいですか?」
「なに?」
ミカエルはジオルドを気にして小声でアザゼアの耳元にささやいた。
「あなたに、監禁されている同い年の弟っていますか?」
アザゼアは真っ赤な目を丸くして、それから微笑んだ。
「良かった、ジオルドに見つかる前に助けてもらえたのね」
「じゃあやっぱり…」
「そうよ、ユキは私の双子の弟」
まさか本当にジオルドが弟を監禁してたなんて。
「本当によかった。ずっと解放してあげたいと思っていたの。でも、失敗したら2度目はない。今日はジオルドも油断していて、しかもユキを助けてくれそうな人が屋敷に来てくれるチャンスだったの」
アザゼアは安心したようにため息をついた。
「ミカエルなら安心だわ。面倒ごとを押し付けるようで悪いけど、ユキのことをお願いしてもいい?」
美しいアザゼアに首を傾げてお願いされると悪い気はしない。
「わかった、責任を持って彼は僕が守ります」
ミカエルはアザゼアとマリウスに礼をして兄の元へ戻った。
「兄上、どうやら本当だったみたいです」
「そうか…」
「彼を城に連れて行きます。いいですか?」
「あぁ」
ミカエルは馬車の中で震えて待っているだろう少年のために挨拶もそこそこに会場を後にした。
71
お気に入りに追加
2,173
あなたにおすすめの小説


【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話
gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、
立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。
タイトルそのままですみません。

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる