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夢現
しおりを挟む「真緒、久しぶりですね」
「……じ、ん…?」
眠る前に静のことを考えたからか、夢に静が出てきた。
「静、今まで何してたの?」
「特に変わりありませんよ。ただ、颯凛さんにあなたと会うなと言われてたので……会いに来れなくてすみません」
静が真緒の頭を撫でた。
颯凛も静も真緒の頭をよく撫でるけど、颯凛はペットみたく真緒を撫で回すのに対して、静は自分の子供を撫でるように優しく撫でてくれる。
夢のくせに、撫で方までちゃんと再現してて真緒は感心した。
「じゃあ、今日はどうして来たの?颯凛が良いって言ったの?」
自分の声が甘えてるのがわかる。
しかたない。夢の中なんだから、これくらい許して欲しい。
「いえ」
「え?」
静は真剣な目をして言った。
「今日は、あなたを連れ出すために来ました」
「…え?」
胸がすっと冷えるような感じがした。
「逃げましょう。俺と一緒に」
「に、げる…?」
胸の冷えは止まらず、嫌な汗が体に伝った。
(あれ、もしかしてこれ、夢じゃない…?)
「首輪もつけられてませんし、今が逃げるチャンスでしょう?」
「そう、だけど…」
逃げるって、ここから?
「ずっと逃げたかったでしょう。大丈夫です。俺がちゃんと逃してあげます」
「でも、でも…」
静が真緒に手を差し出した。
「ここから出ましょう」
どくどくと早鐘を打つ心臓が、これが夢じゃないと告げていた。
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