21 / 26
寛解
しおりを挟むその日から真緒の颯凛への接し方は変わった。
簡単に言えば、絆されたのだ。
「颯凛……もう仕事行くの?」
「ん、大人しく待ってな」
颯凛が部屋から出て行く時は扉まで追いかけてキスをして送り出した。
颯凛が辛そうにしてたら抱きしめてあげたし、颯凛の言うことは何でも聞いた。
颯凛も真緒を信用したのか、首輪は外されていた。
ただ、真緒には一つ、心配なことがあった。
(静はどうなったんだろう…)
あの日、部屋に来たっきり静とは会ってない。
もちろんその事を颯凛に問いただすことなんて出来るわけなかった。
部屋に来る人を待つことしかできない真緒は静がどうなったのか知ることはできなかった。
(僕のせいで酷いことされてないと良いけど…)
でも、あの日この部屋に来れたと言うことはたぶん颯凛は静に対しては怒ってないんだと思う。
真緒から見てもあの二人の間に深い繋がりがある気がする。
(静に会いたい…)
颯凛に同情してる。もしかしたら愛に近い感情なのかもしれない。
でも、真緒はたぶん静に恋してるのだ。
(もしも…)
もしも、颯凛か静を選ぶことになったとしたら、真緒はどっちを選ぶのだろう。
(……わからない)
颯凛は真緒が必要だし、真緒は静が必要だ。真緒はそう思っていた。
どっちを選ぶべきかなんて、分かるわけがない。
真緒はそんなとりとめのない事を考えて眠りについた。
0
お気に入りに追加
1,314
あなたにおすすめの小説
被虐趣味のオメガはドSなアルファ様にいじめられたい。
かとらり。
BL
セシリオ・ド・ジューンはこの国で一番尊いとされる公爵家の末っ子だ。
オメガなのもあり、蝶よ花よと育てられ、何不自由なく育ったセシリオには悩みがあった。
それは……重度の被虐趣味だ。
虐げられたい、手ひどく抱かれたい…そう思うのに、自分の身分が高いのといつのまにかついてしまった高潔なイメージのせいで、被虐心を満たすことができない。
だれか、だれか僕を虐げてくれるドSはいないの…?
そう悩んでいたある日、セシリオは学舎の隅で見つけてしまった。
ご主人様と呼ぶべき、最高のドSを…
皇帝陛下の精子検査
雲丹はち
BL
弱冠25歳にして帝国全土の統一を果たした若き皇帝マクシミリアン。
しかし彼は政務に追われ、いまだ妃すら迎えられていなかった。
このままでは世継ぎが産まれるかどうかも分からない。
焦れた官僚たちに迫られ、マクシミリアンは世にも屈辱的な『検査』を受けさせられることに――!?
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
淫愛家族
箕田 はる
BL
婿養子として篠山家で生活している睦紀は、結婚一年目にして妻との不仲を悩んでいた。
事あるごとに身の丈に合わない結婚かもしれないと考える睦紀だったが、以前から親交があった義父の俊政と義兄の春馬とは良好な関係を築いていた。
二人から向けられる優しさは心地よく、迷惑をかけたくないという思いから、睦紀は妻と向き合うことを決意する。
だが、同僚から渡された風俗店のカードを返し忘れてしまったことで、正しい三人の関係性が次第に壊れていく――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる