マフィアのペットになりました。

かとらり。

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反抗

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「ん…これで大丈夫かな」

 ある程度ナカから掻き出してやると颯凛は真緒を起こした。

「おい、起きろ」
「ん…?」

 ほおを叩くと真緒がゆったり瞳を開ける。

「身体、洗ってやったから…風呂浸かるなら浸かんな」
「え…あ、うん…ありがと」

 真緒には颯凛と風呂に入ってることも、あの颯凛が自分の身体を洗ってくれたことも信じ難いことだった。

 でも身体は綺麗になっていた。

 お風呂にも浸かりたいと思ってたので大人しく浸かることにした。

 颯凛はもう真緒を見てなくて、自分の髪やら身体を洗ってる。

(なんだ、多少は優しいところもあるんじゃん…)

 お風呂に浸かりながら真緒はぼーっと颯凛を見ていた。

「なに?そんなに見て。俺に惚れた?」
「そんなわけ…あ」

 つい本心が出てしまって慌てて口を塞いだ。
 寝起きのせいで頭が回っていないみたいだ。

「ははっ、いいよ、正直に言って。俺嘘つくやつが一番嫌いだから」
「……でも、反抗すると…怒るじゃん」
「反抗するやつは躾ける楽しみが残ってるからいいけどさぁ、嘘つくやつは俺にとって害しかないから」

 じゃあ嘘つかなくても『躾』と評して酷いことされるのには代わりないじゃないか。

(でも、頑張って嘘ついて颯凛が不機嫌になるより、正直に言って酷いことされたほうがましかも…)

「静に何聞いたか知らないけど、俺に気に入られるようにしても無駄だよ」
「っ…」

 バレてた。
 真緒は颯凛が怒ってるのかどうか掴めなくて様子を伺う。

「お前はなんもしなくていいの。俺が俺好みに育ててやるから」
「僕、絶対あんた好みにならないと思うよ」
「ふふ、さっそく嘘つくの辞めたの?」

 シャワーを浴びた颯凛が真緒の隣に入ってきた。
 ゆらゆら水面が揺れる。

「僕、元から従順な性格じゃない。誰かの言うこと聞かないタイプだもん」
「俺もそういうタイプ。俺に口出ししてくるやつは皆殺しちゃう」

 全然同じじゃない。真緒はそう思ったけど黙っていた。

「じゃあ僕のこと放してよ。俺お前に口出しするよ」
「やだね。お前は俺の今一番のお気に入りのペットだから」

 颯凛は真緒の肩を抱いて耳を喰んだ。

「ひ…」

 そしてそのまま耳を舐め始める。

「あ、やぁ…」
「耳も感じるの?敏感だね」

 低い声で囁くように言われてお腹の下の方がむずむずした。

「えっちな猫だね。これじゃあ家から出したらすぐそこら辺のオス猫に孕まされちゃうんじゃない?」
「そんなこと、な…ぁあ」
「ふは、全然説得力ないよ」
「ふぁ……ん」

 颯凛は真緒の耳から離れると今度は唇にキスした。

「ん、ぅう」

 ひとしきり口の中を舐め回すと満足したのか真緒を解放した。

「蕩けた顔しちゃって…全然反抗的じゃ無いみたいだけど?」
「うるさっ…」
「反抗的なのはこのお口だけみたいだね」

 ぷにゅ、と人さし指で唇を突かれた。

「じゃ、俺は風呂出るから。外で静が待ってるから部屋に連れてってもらいな」

 一応言っとくけど逃げようとしも無駄だよ、この家には俺側の人間しかいないから。

 そう言い残して颯凛は出て行った。

「むかつく…」

 真緒は顔の半分までお湯に浸かってぶくぶくと息を吹いた。

 颯凛は肉体だけではなく、精神的にも真緒より上手だった。

(お風呂に入れてくれてちょっと良いやつって思ったのに…)

 でもいい。本人が反抗して良いって言ったんだ。これからは反抗してやる。

 真緒は颯凛が出てからしばらくして風呂から上がった。
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