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入浴
しおりを挟むお風呂はとても広くて綺麗だったけど、もちろんそれを楽しむ余裕は真緒にはなかった。
「大丈夫ですか」
真緒を運んだ男は丁寧に真緒の服を脱がして風呂の椅子に座らせた。
「うん」
真緒は小さな声で返事をした。
この人には真緒があんなものを突っ込まれて喘いでいたのをずっと見られていたんだ。
そう思うと気恥ずかしくて仕方なかった。
「身体、洗いますね」
男の人は髪の毛から爪先まで真緒の身体を丁寧に洗ってくれた。
両腕いっぱいに刺青が入っていて、筋肉もついていてすごく怖く見えるけど優しい人なのかもしれない。
「ありがとう…その、名前…なんて言うの」
「王静(ワン・ジン)です」
「ジン…ありがとう」
静ははにかんで俯いた。
純粋なその仕草に胸がきゅう、とした。
「ねぇ、僕はこのあとどうなるの?」
「……颯凛さんはあなたを愛人にするつもりだと思います」
「あいじん…!?僕男だよ?」
「あの人はどっちもいける人なので……あなたみたいに美しい人なら特に」
どうかしてる。
そうはいっても真緒もうすうす気づいてた。
そもそも普通男の尻にバイブなんて突っ込まない。
「話はもういいですか?」
「う、うん…」
「じゃあ失礼します」
「えっ…ひ」
静は真緒のすっかり蕩けたアナルに指を埋めた。
「気持ち悪いかもしれないですけど我慢してください。準備をしないと痛いので」
「じゅんび…?」
静はある程度なかをかきわまして、次にローションを入れた。
「もう随分柔らかくなっているので大丈夫だと思いますけど…颯凛さん、アレだから」
(あれ?あれってなに?)
そう思ったけど怖くて聞けなかった。
そのあと静は真緒をお風呂からだして体を拭いて綺麗な服を着せた。
丈の長いTシャツのようなものを一枚だけ。
下着は?と聞いたら
颯凛さんは服脱がすの面倒くさがるので、と言われた。
そう言われると、このあとあの人に抱かれるという実感が湧いてきて、身体が震えた。もちろん恐怖のせいでだ。
「抵抗はしないほうがいいです。痛い目に遭いたくないなら」
「っ……なんで、なんで僕がこんな目に…」
ぽろぽろと真緒の瞳から涙がこぼれ落ちる。
刺青がいっぱいの静の手が伸びてきて真緒の涙を拭う。
「泣くのもやめたほうがいいですよ。あの人、泣き顔に欲情するらしいので」
涙を拭う仕草は優しいのいい言うことはとても残酷だ。
なんとか真緒が泣き止むと静は真緒を抱き上げて、あの部屋へと向かった。
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