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二十二話 新しい生活
しおりを挟む「ノアちゃーん、こっちも直してー!」
「はーい」
カイトくんが居なくなってから…もう8年ぐらい経ったのかな?
僕はすっかり森の近くの村に馴染んでいた。
「またおばさん壊したの?」
「いや、そこのそいつが馬鹿力で引っぱったからさぁ」
水車につながる歯車を壊れてしまったらしい。
この村の水車やらは僕が加工したので修理は僕担当なのだ。
水車は元からあったんだけど、非効率だったところを最適化したり、いろんな用途で使えるようにいじったりした。
「あちゃ、またここか…もしかしたらここの歯車は金属の方がいいかもね」
「じゃあ、今度金属が手に入ったらそこの歯車作ってもらえるかい?」
「いいよー」
「それまではこいつに動かしてもらうわ」
おばさんは歯車を壊してしまったらしい、魔物の肩をバシンと叩いた。
僕の作った物のほとんどは魔力でも動くように出来てる。
というか、この村には僕が作った魔法機械の試作品が置いてあるから、むしろ魔力が主エネルギー。
そのためか魔力の強い魔物たちは機械の操業、手先の器用な人間が耕作や手工業をするという分業をしてるらしい。
「じゃあ、ノアちゃんにはご褒美にこれあげるね」
「わーい」
おばさんはそう言ってぼくにチェリーパイをくれた。
「ありがとうー!」
「これも持って行きなさい」
なんとはちみつまで付けてもらってしまった。
「ノアちゃんのおかげて暮らしも楽になったし、魔物たちともうまくやっていけるようになってよかったよ…本当にありがとうねぇ」
おばさんはそう言って僕の頭を撫でる。
年齢的に言えば僕の方が上なんですけどね…
でも、可愛がられるとこうして得することもあるので、僕は村ではこの可愛いポジションに甘んじていた。
こうして村で可愛がってもらえることは僕を癒してくれたし…
「じゃ、さよなら!」
はちみつとチェリーパイをもって僕は森に戻った。
食べ物があまり必要のないこの体となったいまも甘いものは好きだ。
るんるんしながら僕は塔に向かった。
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