大魔法使いに生まれ変わったので森に引きこもります

かとらり。

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二十話 お別れ

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「ん…」

 目を覚ますと、僕はカイトくんのベッドで寝ていた。
 隣にはカイトくんはいなくて、昨日の出来事は夢だったのかと思ったけど、重だるい腰がそうでないと言っていた。

「なんで、あんな…」

 恥ずかしさや悲しみが溢れてきて、僕は涙を流した。
 カイトくんと僕のあったかい関係は昨日の夜、無惨にも壊れてしまった…

 音もなくぽろぽろと涙を流していたらドアが開いた。

 入って来たのはカイトくんだった。

「…ノアさん」

 カイトくんがホットミルクを持って、僕の方に近付いてくる。

「すみません、あんなことをしてしまって…これ」

 僕はカップを受けとったけど、飲むこともできなかった。
 涙ばかりでてきて喋ることもままならない。

「……ノアさん」

 泣いてばかりの僕をカイトくんはまっすぐに見つめる。

「僕…出て行きます、ここから」
「ぇ……?」

 するりと僕の手からコップが滑り落ちる。

 でもそのコップは落ちる前に宙で止まった。
 カイトくんが魔法で止めたのだ。

「こんなことをした僕と一緒にいたくないでしょう?それに、もとからあなたは僕にそうして欲しかったらしいし」

 カイトくんは宙に浮いたコップをベッドサイドの机に置いた。

「ただ…世界中回って、それでもあなたのことを忘れられなかったら…その時は罪を償いにここへ戻って来てもいいですか?」

 カイトくんが何を言っているかわからなかった。
 ただ、カイトくんとはお別れだと言うことはわかった。

「自分勝手なことを言っていることは分かっています。でも、あなたのことが好きなんです」
「…わかっ…た」

 こんな別れ方になるとは思ってもいなかった。
 でも、仕方ない。
 あんなことをされてもこの子を愛しているのだから。

「ばいばい、カイトくん…気をつけて」
「…はい」



 その日のうちにカイトくんは森から出ていった。
 
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