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二話 ど、どうしよう
しおりを挟むそもそも、なんで大魔法使いは勇者と戦うことになったんだっけ。
普通に考えたら大魔法使いって味方になるべきじゃない?
そうでなくても魔王側の人間ではないはずだ。
「えっと…たしか」
軽く三十回はリトライした大魔法使い戦を思い出す。
確かここは森の中の塔で、攻略しなきゃ次のステージに進めなくて…
それで塔のなかに入ると大魔法使いが
『いきなり入り込んでくるとは無礼なやつ。まぁよい、ちょうど試作品の使い魔ができたところだ。実験台にしてやるわ』
とか言って喧嘩売ったんだ。
ん?ちょっと待って。
『ちょうど試作品の使い魔ができたところだ』
って言ってたよな。
試作品の使い魔ってのはもしかしなくても、あそこに転がってるやつのことで。
僕は失敗して大魔法使いの体に入っちゃったけど、本来はたぶんアレに入れられてたんだよな…
ってことは、勇者、もうすぐ来るのでは?
(え、え…ど、どうしよ、どうしよう!!)
僕は急に焦り出した。
大魔法使いとはいえ僕は魔法の使い方を知らない。
この大魔法使い、見るからにひょろくて非力だ。
魔法がなかったら勇者にいちころにされてしまう。
どうしようとおろおろと動き回っていたら魔法陣の上に木の棒があるのを見つけた。
「これって、魔法の杖?」
いやもしかしたらただの木の棒かもしれないけど。
でもその杖を拾ってみた。
なにをしたらいいか分からないけど、とりあえず振ってみる。
すると杖の先から光が飛び出して、棚に並んでいた瓶の一つに当たった。
パリンッ
瓶は割れて、中に入っていたスライムみたいなものが出てきてしまう。
「や、やば…でも魔法使えた…」
杖を振ればなんか出てくることが分かったのでひとまず安心だ。
僕は割れた瓶と溢れたスライムを片付けることにした。
瓶の破片を集めて、スライムを捨てようとしたその時、
スライムに手が触れた瞬間、スライムは自ら意志を持ったように僕の手に巻きついた。
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