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「着替え頼む」
エンマにメッセージを送るとすぐに返信があった。
「夕飯は?」
「カップ麺」
「あと三十分くらいで行くわ」
卒研で研究室に缶詰になっている。別に家に帰ってもいいんだけど、一度帰ったらそのまま寝るかやる気がなくなりそうで、このまま終わらせてしまいたい。もう三日帰っていない。
「メシ食いに行くどー!」
ゼミ友の佐倉が唐突に立ち上がって叫んだ。彼もここ二、三日ろくに寝ていないので若干尋常じゃなくなっている。
「俺今日無理」
「ブッチに合わせてられるかー! 俺は今日肉が食いたいんじゃ! 誰か車だせよ」
同じゼミの奴らはぼちぼち終わりが見えてきて、家に帰り始めた。今日はまだ終わってない奴らも外に飯を食いに行くらしい。戻ってくるんだろうけど。
「あー……つらい……」
腹も減った。しばらくどの欲求も満たしていない。もう少しなんだけど……。
ガヤガヤと俺を置いてゼミのやつらが出て行く。見送って一人進まない論文を眺めていたら、エンマから「今入り口」とメッセージが来る。「OK」と送るとすぐにコンコンとノックの音がした。
「よう。悪かったな」
エンマが荷物を持って入ってきた。
「着替え」
「ありがとう」
「弁当」
「まじで!」
「夜食」
「神?」
「ろくなもん食ってないなと」
「あたり! ここ三日カップ麺しか食ってない」
「風呂とかどうしてんの?」
「知らん? 健康支援センターん中にシャワールームあっから」
「……あっそ。ふふ。ひげ……」
エンマが俺のあごに触れた。だいぶ無精ひげが伸びている。
「他のひとたちは?」
「あー、どっか行った。しばらく帰ってこないんじゃね?」
「そっか。よかった。変だろ、俺が着替えとか持ってきたらさ」
「そーかな」
エンマは少しトーンを落としてささやくようにしゃべる。なんだかものすごくエロくてついキスしてしまう。
「……ん」
ちょっとのつもりが火がつく。エンマの額に額をくっつけて唇を離す。くそが。
「……お前エロすぎんだよ……勃っちまっただろーが」
「はっ……なんか文句あんのかよ……」
このかわいくねーとこが無性にかわいい。でもさすがにここではなんもできねえ。舌打ちをして息を整える。
黙ってじっとしていたエンマが片手で俺のジッパーを下ろす。
「ちょっ……」
「早くいけよ。時間ないんだろ」
エンマは実験椅子に座っていた俺の足の間に膝をついて俺のものを咥えた。口の中が熱い。
「くぁ……」
エンマの左手が俺のものに添えられ、右手はエンマのジッパーの中に。上目遣いに大きな目がこちらを見上げている。
……絵面が……エロすぎる……。
「……ん……またおっきくなった……」
しばらく抜いてもいなかった。痛いくらいになったそれを、彼はもう一度口に含み直した。その頬も紅潮している。
「あつっ……」
エンマが少しだけ口を離してコートを脱ぎ捨てた。
「ん……ふっ……」
エンマの薄い舌が俺のものを下から上に舐め上げる。かと思うと深く咥えて喉の奥で締め付ける。そしてピストン。やばい。
「ごめ……出る」
「んっ」
ごくん。
エンマの白いのどが鳴る。
「濃……」
「……大丈夫か?」
「ティッシュ……」
そこらにあったティッシュを二、三枚取って渡すと、エンマは自分の右手を拭った。
「じゃ、卒研がんばってな」
「おう。サンキュ……」
バタバタと数人がこちらに近づいてくる足音がした。
「やべ。もう戻ってきたわ。非常階段からかな」
エンマはさっと俺の洗濯物を持って出て行った。間一髪で同じゼミのやつらが戻ってくる。
「早くね?」
「肉って言ったじゃん! 牛丼うまかったわ~。てか、お前! 弁当? 手作り? 彼女呼んでんじゃねぇーーよ! 死ね!」
「おおー、ブッチのマボロシの彼女か。実在したんだ……」
「このコート誰の?」
「あ!」
エンマのコートが実験台に置いたままになっていた。
「ちょっと……」
コートをひっつかんで非常階段に出る。もう姿は見えない。名前を呼ぶわけにもいかない。
「コート」
メッセージを送る。すぐ返信がある。
「寒いわ。まあこのまま家に帰るんで預かってて。上着他にもあるから」
やっちまった。仕方がない。
研究室に戻ろうと振り向くと、ゼミのやつらがニヤニヤしながら非常口のドアから覗いていた。
「ブッチがそんな慌ててるとこ初めて見たわ~」
「ヒューヒュー!」
「うぜーんだよお前ら! 家に帰れ!」
卒研はとりあえず翌々日に終わった。二月まで直しがあるけど。家に帰ってすぐエンマを呼んでめちゃくちゃ抱いた。
※おまけです。本編に入れるには露骨すぎたもの。
続編の'practical disguise'は来週水曜日から公開します
エンマにメッセージを送るとすぐに返信があった。
「夕飯は?」
「カップ麺」
「あと三十分くらいで行くわ」
卒研で研究室に缶詰になっている。別に家に帰ってもいいんだけど、一度帰ったらそのまま寝るかやる気がなくなりそうで、このまま終わらせてしまいたい。もう三日帰っていない。
「メシ食いに行くどー!」
ゼミ友の佐倉が唐突に立ち上がって叫んだ。彼もここ二、三日ろくに寝ていないので若干尋常じゃなくなっている。
「俺今日無理」
「ブッチに合わせてられるかー! 俺は今日肉が食いたいんじゃ! 誰か車だせよ」
同じゼミの奴らはぼちぼち終わりが見えてきて、家に帰り始めた。今日はまだ終わってない奴らも外に飯を食いに行くらしい。戻ってくるんだろうけど。
「あー……つらい……」
腹も減った。しばらくどの欲求も満たしていない。もう少しなんだけど……。
ガヤガヤと俺を置いてゼミのやつらが出て行く。見送って一人進まない論文を眺めていたら、エンマから「今入り口」とメッセージが来る。「OK」と送るとすぐにコンコンとノックの音がした。
「よう。悪かったな」
エンマが荷物を持って入ってきた。
「着替え」
「ありがとう」
「弁当」
「まじで!」
「夜食」
「神?」
「ろくなもん食ってないなと」
「あたり! ここ三日カップ麺しか食ってない」
「風呂とかどうしてんの?」
「知らん? 健康支援センターん中にシャワールームあっから」
「……あっそ。ふふ。ひげ……」
エンマが俺のあごに触れた。だいぶ無精ひげが伸びている。
「他のひとたちは?」
「あー、どっか行った。しばらく帰ってこないんじゃね?」
「そっか。よかった。変だろ、俺が着替えとか持ってきたらさ」
「そーかな」
エンマは少しトーンを落としてささやくようにしゃべる。なんだかものすごくエロくてついキスしてしまう。
「……ん」
ちょっとのつもりが火がつく。エンマの額に額をくっつけて唇を離す。くそが。
「……お前エロすぎんだよ……勃っちまっただろーが」
「はっ……なんか文句あんのかよ……」
このかわいくねーとこが無性にかわいい。でもさすがにここではなんもできねえ。舌打ちをして息を整える。
黙ってじっとしていたエンマが片手で俺のジッパーを下ろす。
「ちょっ……」
「早くいけよ。時間ないんだろ」
エンマは実験椅子に座っていた俺の足の間に膝をついて俺のものを咥えた。口の中が熱い。
「くぁ……」
エンマの左手が俺のものに添えられ、右手はエンマのジッパーの中に。上目遣いに大きな目がこちらを見上げている。
……絵面が……エロすぎる……。
「……ん……またおっきくなった……」
しばらく抜いてもいなかった。痛いくらいになったそれを、彼はもう一度口に含み直した。その頬も紅潮している。
「あつっ……」
エンマが少しだけ口を離してコートを脱ぎ捨てた。
「ん……ふっ……」
エンマの薄い舌が俺のものを下から上に舐め上げる。かと思うと深く咥えて喉の奥で締め付ける。そしてピストン。やばい。
「ごめ……出る」
「んっ」
ごくん。
エンマの白いのどが鳴る。
「濃……」
「……大丈夫か?」
「ティッシュ……」
そこらにあったティッシュを二、三枚取って渡すと、エンマは自分の右手を拭った。
「じゃ、卒研がんばってな」
「おう。サンキュ……」
バタバタと数人がこちらに近づいてくる足音がした。
「やべ。もう戻ってきたわ。非常階段からかな」
エンマはさっと俺の洗濯物を持って出て行った。間一髪で同じゼミのやつらが戻ってくる。
「早くね?」
「肉って言ったじゃん! 牛丼うまかったわ~。てか、お前! 弁当? 手作り? 彼女呼んでんじゃねぇーーよ! 死ね!」
「おおー、ブッチのマボロシの彼女か。実在したんだ……」
「このコート誰の?」
「あ!」
エンマのコートが実験台に置いたままになっていた。
「ちょっと……」
コートをひっつかんで非常階段に出る。もう姿は見えない。名前を呼ぶわけにもいかない。
「コート」
メッセージを送る。すぐ返信がある。
「寒いわ。まあこのまま家に帰るんで預かってて。上着他にもあるから」
やっちまった。仕方がない。
研究室に戻ろうと振り向くと、ゼミのやつらがニヤニヤしながら非常口のドアから覗いていた。
「ブッチがそんな慌ててるとこ初めて見たわ~」
「ヒューヒュー!」
「うぜーんだよお前ら! 家に帰れ!」
卒研はとりあえず翌々日に終わった。二月まで直しがあるけど。家に帰ってすぐエンマを呼んでめちゃくちゃ抱いた。
※おまけです。本編に入れるには露骨すぎたもの。
続編の'practical disguise'は来週水曜日から公開します
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