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05 追跡
07 Baltroy (わからないこと)
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判決文の写しを眺める。
ハックルトンは今回は実刑になった。それはそうだ。何回同じことをやるんだ。それはウーナにも言える。何度同じことをやるんだ。あの男はだめなんだよ。
オーナーだからか?
そうなのかな? とヴェスタは首を傾げた。お前はどうなんだ? ヴェスタ。俺がもし、もしもお前にやったことをまたやったらお前はどう思うんだ。お前は俺に夢みたいだと言う。
──俺のこと好きだなんて嘘なんでしょ?
俺の方が聞きたい。俺も夢の中にいるみたいだ。お前とこうなってから、ずっと地に足が着いていない気がする。本当に俺が好きなのか? 何かの間違いじゃないのか? お前はいきなりお前を強姦した男を、本当に好きになれるのか? そういう気持ちにすり替えて、堪えてるだけじゃないのか?
それともレプリカントは、オーナーのことを全部赦すようにできてるのか? ウーナみたいに。
「バル、疲れてる?」
「いや。大丈夫」
「……明日土曜日だろ。どこか行こうか?」
「ん……」
ヴェスタの瞳が覗き込んでくる。あの時、ベッドの上で壊れた人形みたいに、無表情で涙を流していた瞳。シーツに点々とついたヴェスタの血。
「………」
「家でゆっくりしてもいいし」
「うん」
もうあんなことは絶対にない。でも俺はウーナとハックルトンを見ると何かを突きつけられている気がする。何も言わずに寄り添うレプリカントと、支配するオーナー。レプリカントはオーナーの罪から目を逸らす……。
彼らは、俺がヴェスタにしたことを思い出させる。
俺じゃだめなんじゃないか。
ハックルトンは今回は実刑になった。それはそうだ。何回同じことをやるんだ。それはウーナにも言える。何度同じことをやるんだ。あの男はだめなんだよ。
オーナーだからか?
そうなのかな? とヴェスタは首を傾げた。お前はどうなんだ? ヴェスタ。俺がもし、もしもお前にやったことをまたやったらお前はどう思うんだ。お前は俺に夢みたいだと言う。
──俺のこと好きだなんて嘘なんでしょ?
俺の方が聞きたい。俺も夢の中にいるみたいだ。お前とこうなってから、ずっと地に足が着いていない気がする。本当に俺が好きなのか? 何かの間違いじゃないのか? お前はいきなりお前を強姦した男を、本当に好きになれるのか? そういう気持ちにすり替えて、堪えてるだけじゃないのか?
それともレプリカントは、オーナーのことを全部赦すようにできてるのか? ウーナみたいに。
「バル、疲れてる?」
「いや。大丈夫」
「……明日土曜日だろ。どこか行こうか?」
「ん……」
ヴェスタの瞳が覗き込んでくる。あの時、ベッドの上で壊れた人形みたいに、無表情で涙を流していた瞳。シーツに点々とついたヴェスタの血。
「………」
「家でゆっくりしてもいいし」
「うん」
もうあんなことは絶対にない。でも俺はウーナとハックルトンを見ると何かを突きつけられている気がする。何も言わずに寄り添うレプリカントと、支配するオーナー。レプリカントはオーナーの罪から目を逸らす……。
彼らは、俺がヴェスタにしたことを思い出させる。
俺じゃだめなんじゃないか。
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