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04 (e)VAC(u)ATION
15 Vesta (朝食)
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目を覚ますと、自分の部屋で一人だった。
あ。やっぱ夢……。
裸だ。それに、手のあちこちにぱりぱりになったのがこびりついている。え。夢精? もう頭おかしいよな。バルが好きすぎてあんな夢を。あんなにいやらしい、リアルな。
「うわ」
体を少し起こしたら、中から溢れてきた。え?
「起きた?」
ドアの向こうから、バルが入ってきた。シャワーを浴びてきたらしい。髪が濡れている。
「…………」
「昨日あのまま寝ちまったからひどいだろ」
「夢……?」
「まだ言ってんのかお前」
バルがベッドに腰を下ろして、俺の髪を撫でる。
「体痛くないか?」
「痛くない……」
「ぽかんとしてんなよ。どうすりゃいいんだ」
バルは思いついたように俺の左の手を取って、手首と肘の内側、ちょうど真ん中あたりに唇をつけた。
「……ん…」
唇と舌の感触にぞくぞくする。ほんと?
「ほら」
赤い丸い跡がついた。
「夢だと思ったらこれ見ろ。現実。消えたらまたつけてやるよ。シャワー浴びてきな」
俺が服を掴んで裸で立ち上がったベッドから、バルはシーツを抜いてほとんど一緒に部屋を出た。
「昨夜はお楽しみでしたね」
レッダが言った。
「うるせえ! 二度と言うなよ」
「一度言ってみたかったんです」
「ふふっ」
ほんとなんだ。
熱いシャワーを頭から浴びる。左腕の内側のしるし。緑の髪。昨夜の跡……。夢じゃない。顔がほころんでしまう。着替えてテーブルにつくと、青いマグと緑のマグから湯気が上がっている。サラダとエッグマフィン。
席に着くけどなんだかバルと目を合わせられない。恥ずかしい……。
「今日何する? まだ休暇が……一週間ちょい残ってる」
「おばさんのところにも行かないとね。迷惑掛けちゃったから」
「またエアランナー借りてくれよ。オートキャリアで行くと半日かかるんだ」
「いいよ」
うわ。しあわせ。
「レッダ、マットレス……ヴェスタの部屋のやつも乾かしといてくれよ。あとシーツ、防水加工にしてくれ」
「そういうところがうざがられるんですよ」
「ほんとにうるっせーな」
「ふ……ふふふっ」
秋の黄色味を帯びてきた朝の光がテーブルを暖める。バルがブリングで何かをチェックする。エアランナーを予約して、天気と風向きを調べる。大丈夫みたい。ついでにユースモローの観光地と美味しいお店も。おいしいお店は、バルが入れるかどうかは行ってみないとわからない。
「バル、B&Bの近くに水族館があるよ! 行ってみたい」
「水族館かよ。遠足みてえ」
「俺、魚ってほんとには見たことない。……あ、鶏とヤギは見たことあるけど」
「そうか。そうかもな。じゃあ行ってみっか」
顔を上げる。目が合う。
「ほかに行きたいとこあっか? どこでも行けるわけじゃないけど……」
「うん」
優しい目。いいんだ、行けなくても。入り口まで行って無理だねで構わない。
「夢じゃない感じがしてきた」
「おせーよ」
バルは白い歯を見せて笑った。
<To be continued in the next number →>
あ。やっぱ夢……。
裸だ。それに、手のあちこちにぱりぱりになったのがこびりついている。え。夢精? もう頭おかしいよな。バルが好きすぎてあんな夢を。あんなにいやらしい、リアルな。
「うわ」
体を少し起こしたら、中から溢れてきた。え?
「起きた?」
ドアの向こうから、バルが入ってきた。シャワーを浴びてきたらしい。髪が濡れている。
「…………」
「昨日あのまま寝ちまったからひどいだろ」
「夢……?」
「まだ言ってんのかお前」
バルがベッドに腰を下ろして、俺の髪を撫でる。
「体痛くないか?」
「痛くない……」
「ぽかんとしてんなよ。どうすりゃいいんだ」
バルは思いついたように俺の左の手を取って、手首と肘の内側、ちょうど真ん中あたりに唇をつけた。
「……ん…」
唇と舌の感触にぞくぞくする。ほんと?
「ほら」
赤い丸い跡がついた。
「夢だと思ったらこれ見ろ。現実。消えたらまたつけてやるよ。シャワー浴びてきな」
俺が服を掴んで裸で立ち上がったベッドから、バルはシーツを抜いてほとんど一緒に部屋を出た。
「昨夜はお楽しみでしたね」
レッダが言った。
「うるせえ! 二度と言うなよ」
「一度言ってみたかったんです」
「ふふっ」
ほんとなんだ。
熱いシャワーを頭から浴びる。左腕の内側のしるし。緑の髪。昨夜の跡……。夢じゃない。顔がほころんでしまう。着替えてテーブルにつくと、青いマグと緑のマグから湯気が上がっている。サラダとエッグマフィン。
席に着くけどなんだかバルと目を合わせられない。恥ずかしい……。
「今日何する? まだ休暇が……一週間ちょい残ってる」
「おばさんのところにも行かないとね。迷惑掛けちゃったから」
「またエアランナー借りてくれよ。オートキャリアで行くと半日かかるんだ」
「いいよ」
うわ。しあわせ。
「レッダ、マットレス……ヴェスタの部屋のやつも乾かしといてくれよ。あとシーツ、防水加工にしてくれ」
「そういうところがうざがられるんですよ」
「ほんとにうるっせーな」
「ふ……ふふふっ」
秋の黄色味を帯びてきた朝の光がテーブルを暖める。バルがブリングで何かをチェックする。エアランナーを予約して、天気と風向きを調べる。大丈夫みたい。ついでにユースモローの観光地と美味しいお店も。おいしいお店は、バルが入れるかどうかは行ってみないとわからない。
「バル、B&Bの近くに水族館があるよ! 行ってみたい」
「水族館かよ。遠足みてえ」
「俺、魚ってほんとには見たことない。……あ、鶏とヤギは見たことあるけど」
「そうか。そうかもな。じゃあ行ってみっか」
顔を上げる。目が合う。
「ほかに行きたいとこあっか? どこでも行けるわけじゃないけど……」
「うん」
優しい目。いいんだ、行けなくても。入り口まで行って無理だねで構わない。
「夢じゃない感じがしてきた」
「おせーよ」
バルは白い歯を見せて笑った。
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