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03 トライアル (2)エア・ランナー
09 Vesta (同伴者)
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「パーティってふつうでいいの?」
「スーツでも着ろよ。持ってねえか。買わないとな」
「楽しみだな。初めてだ」
ザムザの結婚パーティまであと一週間になっていた。ザムザからの招待状は、ホログラムで新郎と新婦が並んで手を振る仕掛けがしてあって、何度も開いてしまう。結婚かあ。マリーンさんと。いいなあ。
結婚パーティってどんな感じなんだろう。パーティ自体、あんまり行ったことがない。少し前にレプリカント人権保護局設立三十周年パーティがあったけど、仕事の延長って感じですごく気を遣って疲れた思い出しかない。今回はだから、楽しいといいなと思う。
「アラスターにもちゃんと言っておけよ。俺は誰と行くかな」
「え?」
「ユミンかな。暇そうだし」
「なんで? 俺とバルで行くんじゃないの?」
バルはザムザの招待状から目を上げた。
「結婚パーティとかは、基本的に招待されたら自分のパートナーと二人で行くんだ。お前のパートナーはアラスターだから、俺は別なやつと行くんだよ」
「………」
「お前に言っときゃ良かったな。まあアラスターなら大丈夫だろ」
「知らなかった」
「悪かった。俺も忘れてた」
バルはすぐにコールを始めた。
「よ、ユミン。来週土曜日ひま? 助けて欲しいんだ」
『高くつくよ。どうしたの?』
「結婚パーティでパートナーがいねえんだよ」
『ヴェスタは?』
「あいつ今アラスターと付き合ってるから」
ユミンの笑い声がした。ふられたのね、バル。あはは、アラスターならしょうがないわ。
「最初っから付き合ってねえって言ってるだろ! それでさ……」
笑わないで。ユミン。
なんだか聞いていられなくて部屋に入る。バルと二人で行くんだと思ってた……。アラスターに言わないといけないんだ。どうせ明日会うけど、コールする。
『どうしたの? ヴェスタ』
「あのね、来週、友達の結婚式なんだ。呼ばれてて……」
『エスコートがいるんだね。いいよ』
「何着て行ったらいいかな?」
『明日見に行こうか』
アラスターは優しい。たぶんもう大丈夫。何も心配いらない。俺のことを全然見てくれないバルより、アラスターをちゃんと好きになった方が。バルとは一緒に仕事して、たまに休みの日にゲームして、そういう友達になった方が。
きっと幸せ。早く切り替えないと。
「スーツでも着ろよ。持ってねえか。買わないとな」
「楽しみだな。初めてだ」
ザムザの結婚パーティまであと一週間になっていた。ザムザからの招待状は、ホログラムで新郎と新婦が並んで手を振る仕掛けがしてあって、何度も開いてしまう。結婚かあ。マリーンさんと。いいなあ。
結婚パーティってどんな感じなんだろう。パーティ自体、あんまり行ったことがない。少し前にレプリカント人権保護局設立三十周年パーティがあったけど、仕事の延長って感じですごく気を遣って疲れた思い出しかない。今回はだから、楽しいといいなと思う。
「アラスターにもちゃんと言っておけよ。俺は誰と行くかな」
「え?」
「ユミンかな。暇そうだし」
「なんで? 俺とバルで行くんじゃないの?」
バルはザムザの招待状から目を上げた。
「結婚パーティとかは、基本的に招待されたら自分のパートナーと二人で行くんだ。お前のパートナーはアラスターだから、俺は別なやつと行くんだよ」
「………」
「お前に言っときゃ良かったな。まあアラスターなら大丈夫だろ」
「知らなかった」
「悪かった。俺も忘れてた」
バルはすぐにコールを始めた。
「よ、ユミン。来週土曜日ひま? 助けて欲しいんだ」
『高くつくよ。どうしたの?』
「結婚パーティでパートナーがいねえんだよ」
『ヴェスタは?』
「あいつ今アラスターと付き合ってるから」
ユミンの笑い声がした。ふられたのね、バル。あはは、アラスターならしょうがないわ。
「最初っから付き合ってねえって言ってるだろ! それでさ……」
笑わないで。ユミン。
なんだか聞いていられなくて部屋に入る。バルと二人で行くんだと思ってた……。アラスターに言わないといけないんだ。どうせ明日会うけど、コールする。
『どうしたの? ヴェスタ』
「あのね、来週、友達の結婚式なんだ。呼ばれてて……」
『エスコートがいるんだね。いいよ』
「何着て行ったらいいかな?」
『明日見に行こうか』
アラスターは優しい。たぶんもう大丈夫。何も心配いらない。俺のことを全然見てくれないバルより、アラスターをちゃんと好きになった方が。バルとは一緒に仕事して、たまに休みの日にゲームして、そういう友達になった方が。
きっと幸せ。早く切り替えないと。
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