攻略対象から悪役令息にジョブチェンジしちゃう？

もしかして、ハピエン？前編

    「ぜひやりましょう！」
なぜか研究室の休憩スペースにいるディオンが握りこぶしを振り上げた。
「手伝うわよ！」
コーヒー片手にアデーレも握りこぶしを作った。なんだ、このテンション。
「アルフォンス、私のウエディングドレス、着る？」
背の高いマルグリットがのってきた。ディオンの目がキラキラ輝く。
「貸してください！」
「やめてくれ」
すぐさま口を挟んだ。はっきりさせておかないと危険な気がする。
「正礼装でいいだろう？」
ディオン、残念そうな顔をするのはやめてくれ。
「レストラン借り切ってー、飾り付けさせてもらってー、指輪の交換はするわよね？」
なぜアデーレが一番乗り気なのだ？
「指輪、今からオーダーして間に合うでしょうか？」
「いい所を紹介しますよ」
ディオン、マルグリットとも仲良くなったのかい？
「プラチナで、メレダイヤ入れるのなんかいいわよね」
アデーレの指輪なんだろうか。
「準備は３人に任せるから、」
なんだろう、寒気がする。
「常識的●●●な式を頼む」
３人の目が光った、ような気がしたが、大丈夫だろうか・・・

    人前式をすると転生友達のクラウスに連絡したら、出席してくれると返事がきた。注意書きが付いていて、伴侶の公爵閣下には丁寧な言葉遣いをしてるから笑うな、だそうだ。ふだんは『オレ』と言っているのに、閣下の前では『私』と言ってるのだと。いつまで猫をかぶっているのやら。
    ディオンも『私』と言うが、友達の前でもそうなのだろうか？学生の時は『僕』だったような？『俺』と言ってるかもしれないディオンを想像しながら、僕は研究に戻った。